『秘密の花園』を読み終えた
西條奈加の『曲亭の家』は嫁の路（みち）が主人公だったが 今回は馬琴の人生が描かれているために最後の方に出てくるだけだ
とはいえ 予備知識があったおかげで馬琴についてはよくわかった
もっとも私は彼の作品をひとつも読んだことが無い
有名な『南総里見八犬伝』でさえ 昔NHKで人形劇をやっていたものの それを見るにはすでに大人だったし 知っているのは八犬士がそれぞれ珠を持って活躍するという程度だ
今秋 偶然だが 映画となって公開されるらしいことを知った
確かに映画化しても ゲーム仕立てにしても 歌舞伎であっても 見せどころの多い面白い作品に仕上がるのは間違いのないほどの原作だ
それだけの読本を28年という長きに渡って書き続けたというのもすごいが でも 今の時代であれば長寿アニメのようなものなのだろう
私はこの先も多分『八犬伝』は読まないだろうが 物語を紡ぐ作家たちが彼の人生を書きたくなる気持ちはわかるような気がする
それだけの魅力のある物語であり その作者が曲亭馬琴という人なのだ
八犬士はそれぞれ体にあざを持っている
馬琴がまだ若き頃 お小姓として仕えた主君の孫にいじめられ その時に尻にあざができたという話がこの小説の最初のほうに出てくる
それを八犬士のあざにつなげたのは 馬琴の体験からなのか それとも作者である朝井まかての想像なのか
どちらでもよいことだけれど
