明日5月3日は憲法記念日です。
きょうの毎日新聞夕刊の特集ワイドには、
東大教授で憲法学者の石川健治さんの、
「「クーデター」で立憲主義破壊」という記事が
掲載されていて、とても説得力のある内容でした。
特集ワイドは有料記事なのでブログで紹介できませんが、
憲法記念日を前に、中日新聞が特集を組んでいる、
<いま読む日本国憲法>(1)と、憲法関連の社説を紹介します。
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きょうの毎日新聞夕刊の特集ワイドには、
東大教授で憲法学者の石川健治さんの、
「「クーデター」で立憲主義破壊」という記事が
掲載されていて、とても説得力のある内容でした。
特集ワイドは有料記事なのでブログで紹介できませんが、
憲法記念日を前に、中日新聞が特集を組んでいる、
<いま読む日本国憲法>(1)と、憲法関連の社説を紹介します。
<いま読む日本国憲法>(1) 前文 不戦の決意 2016年4月29日 中日新聞 今、憲法が問われている。夏の参院選では、改憲問題が大きな焦点となる。安倍晋三首相らは改憲を訴えるが、憲法は本当に変える必要があるのか。守らなければならないものではないのか。施行から六十九年となる憲法を今こそ読み、主な条文の意味や価値を考えてみたい。 戦争は国家権力が引き起こすもの。国民が主権を持って国家権力の暴走を抑えることで、戦争を二度と起こさせない-。 日本国憲法全体を貫くこの思想を、最初にはっきりと宣言したのが前文です。第一段落の「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」「主権が国民に存することを宣言」というくだりに、端的に表現されています。多大な犠牲を生んだ先の大戦への反省が込められています。憲法によって権力を抑える「立憲主義」を言い表した文章とも言えます。 第二段落の「日本国民は、恒久の平和を念願し」以下は、軍事的手段ではなく、諸国民を信頼することで自国の安全を保つという決意を示しています。戦争放棄や戦力不保持を定めた九条につながる考え方です。「全世界の国民」以下は、日本国民だけでなく人類全体に平和が保障されるべきだとうたっています。 ちなみに憲法は連合国軍総司令部(GHQ)が起草を進めたため、前文は英文を直訳したような表現が多いです。「そもそも国政は」以下は、十六代米大統領リンカーンの演説「人民の、人民による、人民のための政治」を引いたと言われます。 自民党は前文を「翻訳調で違和感がある」「ユートピア的発想による自衛権の放棄」と批判。二〇一二年四月に決定した党の憲法改正草案(改憲草案)では全面的に書き換えました。草案には国民主権という言葉はありますが、政府が戦争を起こさないように国民が抑えるという考え方は見当たりません。諸国民への信頼によって安全を保つとの決意も削られ、国民が国と郷土を自ら守ると定めています。 現行憲法より短い割に、「国家」という言葉や、歴史・文化を誇る表現が目立ちます。総裁の安倍首相は前文について、敗戦国の「わび証文」のような宣言があると自著で評したことがあります。 ◇ 「いま読む日本国憲法」は、憲法の主な条文を解説し随時掲載します。 |
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社説:「押し付け論」を越えて 憲法記念日を前に 2016年5月2日 中日新聞 日本国憲法の公布から今年で七十年。改憲論者は占領下に押し付けられたことを改正が必要な根拠に挙げますが、本当に押し付けだったのでしょうか。 今月下旬に開催される主要七カ国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けて欧州各国を歴訪中の安倍晋三首相にとって、夏の参院選は負けられない戦いでしょう。 憲法改正の発議に必要な三分の二以上の議席を、衆院に加えて参院でも確保して改正発議に道を開くというのが、首相の改憲シナリオです。参院選は、その道を開くかどうかの分岐点になります。 「自主的改正」を党是 安倍首相が率いる自民党は一九五五(昭和三十)年の結党以来、「現行憲法の自主的改正」を党是に掲げてきました。自民党が「改憲政党」と言われる所以(ゆえん)です。 敗戦と占領の記憶が生々しい当時、いわゆる「保守」政治家にとって日本国憲法は、連合国軍総司令部(GHQ)に強いられたものであり、自らの手で作り替えたいとの思いが強かったのでしょう。 結党時に採択された自民党の「政綱」には「現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う」と明記されています。 しかし、憲法改正はこれまで必ずしも最優先の政治課題ではありませんでした。「国民政党」を自任する自民党内には、憲法改正に慎重な人たちもいましたし、幅広い支持を得るためには、経済政策や社会保障を優先させなければならない事情もあったからです。 一変するのは二〇〇六年、「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍首相の登場です。 憲法改正を目指しながら、日米安全保障条約の改定後、志半ばで退陣した、祖父である岸信介元首相の「遺志」を受け継ぎたいとの思いもあったのでしょう。 帝国議会で修正重ね 首相が憲法改正を必要とする理由の一つとして挙げているのが、その制定過程。憲法はGHQに押し付けられたとの見方です。 首相は国会で、次のように述べています。 「日本が占領下にある当時、日本国政府といえどもGHQの意向には逆らえない中、この憲法が極めて短い期間につくられた」 今の日本国憲法は、明治期に欽定(きんてい)された(天皇が制定した)大日本帝国憲法を改正したものです。 憲法改正案は首相の指摘通り、終戦直後、マッカーサー最高司令官率いるGHQの強い影響下で作成されたことは事実でしょう。 しかし、改正案を作成した日本政府が、GHQ案をそのまま受け入れたわけではありませんし、改正案を審議した当時の帝国議会では、衆議、貴族両院で修正するなど、活発に議論されました。 例えば、憲法九条です。戦争放棄はGHQの指示ではなく、当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力です。 第一項の冒頭にある「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という部分や、第二項の冒頭に「前項の目的を達するため」との文言を加え、自衛権を保持しうることを明確にしたとされる「芦田(均)修正」はいずれも、衆院での修正です。 貴族院の修正では、公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する、ことなどを盛り込みました。前文は、両院で修正され、文言が練られています。 GHQが押し付けたものを、唯々諾々とそのまま受け入れたわけではありません。むしろ圧力を利用して旧弊を一掃し、新生日本にふさわしい憲法を自らの手でつくり上げたのです。 「斯(カ)クノ如(ゴト)キ良イ憲法」 「憲政の神様」と呼ばれる尾崎行雄衆院議員は改正案を審議する本会議で新憲法を高く評価し、実行する大切さを説きました。 なにより重要なことは、公布後七十年もの長きにわたり、主権者たる国民自身が憲法改正という政治選択をしなかったことです。憲法に耐えがたい不都合があるのなら、賢明なる先人は憲法を改正する道を選んだはずです。 戦後の繁栄・信頼の礎 憲法の理念である国民主権や平和主義、基本的人権の尊重は、公布七十年を経て日本国民の血肉と化しました。戦後日本の経済的繁栄と国際的信頼の礎です。 改正手続きが明記されている以上、現行憲法は改正が許されない「不磨の大典」ではありません。議論を深め、必要なら国民に堂々と問い掛ければいい。 しかし、改正を求める意見が国民から澎湃(ほうはい)と沸き上がっている政治状況とは、とても言えません。 にもかかわらず、改正を強引に進めるとしたら、内容よりも改正自体が目的になってはいないか。誤った「押し付け憲法論」は乗り越えなければならないのです。 |
憲法の岐路 首相の姿勢 民主社会が壊される懸念 2016年5月2日 信濃毎日新聞 中野市の中山晋平記念館に古いレコード盤が展示されている。1947(昭和22)年の憲法施行に合わせ、その意味を広めるために制作された「憲法音頭」のレコードだ。作詞はサトウハチロー、晋平が作曲した。 〓(歌記号)古いすげ笠(がさ) チョンホイナ さらりとすてて/平和日本の 花の笠 盆踊りで使ってもらうための歌である。踊りも付いている。 晋平の子息から寄贈された。最近はこのレコード目当てに記念館を訪ねる人も多いという。 <解釈改憲の乱暴さ> 参院選が7月に迫る中で、69回目の憲法記念日が巡ってくる。選挙結果によっては、改定を「私の任期中に成し遂げたいと考えている」と明言する安倍晋三首相の下で、改憲が一段と具体性を帯びてくる可能性がある。 憲法の規定も時代に合わない面が出てくることはあり得る。本当に都合の悪いところがあれば惰性に任せず、改憲の是非を議論するのは構わない。 ではあっても、私たちは自民党、とりわけ安倍首相が主導する形で改憲論議を進めることに反対する。理由を二つ挙げる。 第一は、憲法に向き合うときの首相の姿勢が乱暴なことだ。 安倍政権は2年前、集団的自衛権について憲法解釈の変更を閣議決定し、行使を容認した。歴代内閣が維持してきた「憲法に照らし行使できない」とする解釈の一方的な変更だった。 「政府の法律顧問」とも呼ばれる内閣法制局長官の首をすげ替え、専門的立場からの異論をあらかじめ封じる強引さだった。 <掘り崩しが進む> 「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」 この発言も忘れるわけにいかない。憲法解釈の変更をめぐる国会答弁だ。選挙で勝てば全てが許されるかのような言い方は民主主義と相いれない。 仮に条文に変更が加えられない場合でも、安倍政権が続けば憲法は掘り崩されていくだろう。首相による憲法秩序の破壊である。 首相は2012年の総選挙の前、野党自民党の総裁だったときに改憲手続きを定めた96条の改定を目指す考えを表明している。 こう述べた。「たった3分の1を超える国会議員の反対で発議できないのはおかしい。そういう横柄な議員には退場してもらう選挙を行うべきだ」 どこの国も、憲法の改定には他の法律よりも高いハードルを設けている。憲法が国の在り方の根幹を定める以上、当然のことだ。 日本の場合、衆参両院の総議員の3分の2以上が賛成しないと改定を国民に向けて発議できない仕組みになっている。 改憲規定の見直しは憲法の安定性を損なう。改憲に反対する議員に「横柄」のレッテルを貼り、排除しようとするのは間違いだ。 安倍首相主導の改憲論議に反対する第二の理由は、首相が憲法を変えることを自己目的化している節があることだ。どこをどう変えるかはっきり説明しないまま「任期中の改正」を繰り返す。 首相は自著に書いている。 「国の骨格は、日本国民自らの手で、白地からつくりださなければならない。そうしてこそはじめて、真の独立が回復できる」 日本はこれまで独立国でなかったかの書きようだ。 日本人は戦後、今の憲法の下で国造りを進めて、平和で豊かな社会をつくってきた。そうした努力をおとしめるかの首相の言い方は受け入れられない。 <世の中が変わる> 先の戦争に敗れ、今の憲法を持つことによって、日本は明治憲法とは別の基本原理を持つ国になった。天皇は「神聖にして侵すべからず」とされた存在から「象徴」になり、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を三大原則とする国に生まれ変わった。 安倍首相によって憲法が変えられれば、日本にはもう一度根底的な変化が訪れるだろう。その結果やって来る世の中がどんなものになるか。自民党の改憲草案を読むとイメージがわく。 日本は「天皇を戴(いただ)く国家」になり、国民の権利には「公益および公の秩序」の観点から制限が加えられる。集会、言論など表現の自由も、「公益および公の秩序を害すること」を目的とする場合には認められない。 世界の人々が長い年月をかけ、時には血を流して築き上げてきた民主的、近代的な価値観とは一線を画した国になる。その方向に進むのを許すかどうか、私たちはいま分かれ道にいる。 69年前の5月3日、県内では施行を祝う演芸大会などが行われたと当時の本紙にある。戦争の傷跡が残る中、国民は平和憲法を心から歓迎した。そのことが持つ意味をいま、改めて思い起こしたい。 (5月2日) |
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明日もまた見に来てね
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