先週の大雪が治まったのでやれやれと思っていたが、今週もまた雪の予報である。テレビでは横浜に雪が降る景色が映されていた。東京の降雪量予想が15センチというから、先週にくらべると少ないようである。だが、その後に大荒れとなり暴風雨の予報である。
いざゆかむ雪見に転ぶ処まで 芭蕉
現在でも東京の雪は珍しいが、江戸でも珍しく人々は花見のように雪見に出かけた。雪見の名所として知られるのは、隅田川堤、三囲、上野寛永寺、不忍池、神田明神、吉原などなど。山の手の雪の名所もまた多い。谷中の浄光寺は「江戸名所図絵」に、「当寺の書院は、高崖に架し、眼下に千歩の田園を見下せり。風景もっとも幽雅にして、四時の眺望たらずと言うことなし。中にも雪のながめ勝れたれば、世に称して雪見寺ともなづくとかや」と書かれている。
万延元年の桃の節句。この日は前夜からの大雪であった。井伊大老は朝9時ころ邸を出て、50人ほどの供侍に守られ粛々と江戸城へ向かっていた。行列がさいかち河岸の松平邸にさしかかったとき、水戸浪士18人が鉄砲を合図に斬りこんできた。雪の中、供侍は、刀を柄袋にしまっていた。突然の襲撃に刀を出すことが遅れ、次々に斬り殺された。大老の駕籠は外から刺され、有村治左衛門の手で首を取られた。桜田門外の変である。
時ならぬ雪に立花もろく折れ
立花は井伊家の紋所である。雪の少ない冬かと思っていたが、ここへきて太平洋側に珍しく雪が降る。これ以上転んで怪我をしないことを祈るばかりである。
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