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一向に安定しない気候であるが、わずかな晴れ間を盗むようにして月山に登った。今年初めて山の会の仲間になった3人と、安心して行ける月山の初心者コースを歩いた。降雨を覚悟して行ったのだが、雨に降られることもなく、のんびりとした山行になった。平日であったが山には多くの登山者が入っていた。しゃれたスタイルの若い登山者に多く逢えたのはうれしい誤算であった。
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登山道は整備されて歩きやすい。木道を過ぎても石畳が続き、その後は石を歩きやすい大きさに並べてある。登山者をもてなしてくれるうれしい心遣いだ。木道の脇にはニッコウキスゲ、ヨツバシオガマなどが咲き、チングルマ、アキノキリンソウなどの花を楽しむこともできた。時おり霧が晴れて山容の大きさを垣間見せてくれる。風もなく、ピリカンの太陽まない登山向きの天気である。ひとつ惜しいことは、眺望がとれなくシャッターチャンスに恵まれなかったことだ。
夏の日の海に落つるまで月山のお花畑にわれあそびおり 結城哀草果
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雪渓のあたりから霧が立ち込めている。初めてここに登る三人は、一様に山の風景の雄大さに感服している。目の前に広大な高原が続き、名も知らぬ山々がうち並ぶ風景は確かに日常の中では見られぬものだ。月山は一名を臥牛と呼ばれる。牛を臥せたような姿である。頂上への岐路には、牛首と呼ばれる起伏がある。鳥海山の山容に比べると、屹立したところがなくどろっと牛が横たわっているような姿なのだ。山形にある我が家から遠望すれば円な月のような山に見える。月山とはなるほどうまく名づけたものである。
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頂上付近に来て芭蕉の句碑が立ててある。「雲の峯いくつ崩れて月の山 桃青」と刻まれている。1689年6月、松尾芭蕉はこの山に登り、「おくの細道」に書き込んでいる。
「8日、月山にのぼる。木綿しめ身に引かけ、宝冠に頭を包、強力と云ものに道びかれて、雲霧山気の中に氷雪を踏てのぼる事八里、更に日月行道の雲関に入るかとあやしまれ、息絶身こゞえて頂上にいたれば、日没して月顕る。笠を舗、篠を枕として、臥して明るを
待つ。日出て雲消ゆれば、湯殿に下る。」三百数十年前、芭蕉がこの場所に足を踏み入れていたことを思うと不思議な気がする。
涼しさやほのみか月の羽黒山 芭蕉
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頂上の小屋の脇にハクサンフウロが咲いていた。標高1984m、すでに樹林限界を超えて矮生の高山植物ばかりだが、花の色彩の濃さに驚く。一輪アップにしてカメラに収める。ここに来るまでの草地には、ニッコウキスゲ、ミヤマシオガマ、ヒナウスユキソウ、トウヤクリンドウなどこのやまならではの花々に出会った。
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月山神社にてお祓いしてもらう。祓い料500円。ほかに女性2名は、灯明をたて家内安全の祈願を受ける。山周辺はもとより、全国からこの神社を参拝に訪れる人は多い。成人の祈願で15歳になると男子は親に連れられてこの山に登るのが恒例であった。日本のこうした信仰は時を経てなお衰えることはないように思える。
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