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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

蕗の薹の味噌汁

2016年04月11日 | グルメ


山歩きの楽しみに季節の食材を採ることがある。蕗の薹は毎年雪解けのころ、雪がなくなったばかりの土手で入手していた。ところが今年は例年にない暖冬で、近くの丘に出てみるとすでに花が開いて、本来の蕗の薹を採る時期を逃してしまった。先週末、宮城県の泉ヶ岳の岡沼周辺でまだ蕾の状態の蕗の薹をゲットした。

花芽の硬い部分を除き、苞の部分を茹でて細かく刻んで豆腐汁に散らすだけのシンプルなものだが、亜麻仁油をスプーンに一匙たらすとまろやかな春の味になる。辰巳浜子の『料理歳時記』には蕗みその作り方が書いてある。「まず塩湯で蕗を茹でて水にさらし、かたく水気を絞って、とんとんと細かくきざみ、別に和くるみを摺り鉢で摺り、同量の田舎味噌を加え、味醂を加え、細かくした蕗の薹を混ぜ合わせます。蕗の薹の分量はくるみと味噌を合わせたものと同量くらいがちょうどいいでしょう。とにかくやみつきになるほどの早春の香りと味です。」

辰巳の選ぶ料理は、自宅の庭に自生する素材を使ったものが多く、まさに季節の移り変わりを料理によって知らせてくれので、いつまでも重宝する。ぱっと見ただけでも、薺、嫁菜、蒲公英、芹、土筆、薊、木の芽など早春の里山で採れるものがたくさんある。この本が書かれたのは、昭和37年のことであるから、その時代の日本人の食卓の様子が分かる。我が家の食卓では、そのころの懐かしい味が今なお健在だ。妻は料理本などは読まないが、辰巳浜子が選ぶ食材の調理法を自前のものしている。おふくろの味が世代を超えて受け継がれている。
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