コスモス
2018年09月21日 | 花
コスモスの茎はやわらかい。秋風に吹かれる
と縦横に揺れ動いてしなやかだ。ふと、人の
心のゆらぎのようでもある。真っ先に思い浮
かぶのは、与謝野晶子の短歌である。
心中をせんと泣けるや雨の日の
白きこすもす赤きこすもす 与謝野晶子
晶子が、どこまで真剣に心中を考えたかは、
知らぬが、その心中は風に吹かれて大きく揺
らいでいたに違いない。
コスモスは外来種だが、日本語で秋桜と書き、
随分長く親しまれている。花壇に植えられて
いたものが、街の空き地、路傍や垣根の脇に
自生しているのをよく見かける。
名はギリシャ語で秩序を意味する。ここから
星が整然と座す宇宙を意味する。この花の舌
状花が整然と並ぶので、この名がつけられた
のであろうか。
秋風が吹くと、樹は倒れやすい。あわてて支
柱を立てて、直そうとする気になるが、もの
の本によるとそうした手入れは必要ないと、
書かれている。花は倒れても、茎はたちまち
天に向かって伸びていくという。この花を見
るたびに思い出すのは、子供たちが小学校の
校庭で運動会にうちこんでいた遠い昔である。
校庭の隅には、ぽつんぽつんと、コスモスが
秋風に吹かれていた。