常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雨の栂峰

2018年09月16日 | 登山

栂峰は山形百名山のひとつに数えられ

ている。だが、どの登山地図を見ても

登山道の記載はない。国道113号線の

手の子から、県道4号線に入り、白川

ダムを過ぎ、小屋林道の終点に登山口

がある。小屋の集落は、かつてこの山

の木を伐りだし、木地から椀など作っ

で生計を立てていた。この山を登ると、

集落の人々が、いかに山の木々を信仰

の対象としていたかが分かる。

登山口には、天照大神をを祀る黒滝神

社、頂上には栂峰大神を祀る石碑が2

基建てられている。そして要所に蔵王

神社、御室神社などの祠、オオシラビ

ソの木には、市祥島姫神、伊弉諾晨神

など神の名を記した立て札が多く置か

れている。春から生え茂った笹や木々

を刈り払い、ここを登山できるのも、

秋白露の日に行われる例大祭のために

礼拝する道が作られるためである。町

役場に聞くと、この例大祭も、集落の

人々の高齢化で、そろそろ中止なると

の話であった。あるいは、この登山が

我々のグループでは最後の計画になる

かも知れない。

9月15日、予報では午前小雨、午後か

ら曇りと出ていたが、参加希望が多く

あったため、計画通り実行。

7時14分。登山口着、準備をして登り

始める。登山口では小雨、雨具を着た。

杉林の急登あたりから、雨が強くなる。

雨とはいえ、刈り払いした登山道は歩

やすい。時に小雨、やや強めの雨が降

り続く。最初から雨に降られるのは珍

しい。今日の参加者は10名、内男性3

名である。途中、行きかう人とていな

い。あくまでも静かな山中である。沢

の音も途絶え、風もなく、雨がしとし

と降り続く。

歩きながら、この集落では、例大祭は

どんな風に行われたか、想像をめぐら

せる。あの御柱のように、「奥山の大

木里に下りて神となる。」人々は、雨

をものともせず、酒を汲み、歌い、踊

りながら、家内安全を祈ったか。

つい先週であろう、例大祭のために藪

は取り払われ、我々の足元は安全であ

る。

2時間ほど休憩を入れながら登りつめ

と、雨は次第弱くなり、降り止むこと

も多くなった。蔵王神社のあたりまで

来ると、頂上を気にする人が多くなる。

あと、30分と、地図の記載から予想を

立てる。突然、道をふさぐシラビソの

大木。刈り払いのあと、台風の通過で

吹いた強風に根こそぎにされている。

最後の急坂を登りつめても、目指す頂

上はまだ来ない。ここで、ヤマップの

GPSを見る。あと1㌔。どの山道も疲

れた足には遠い。11時24分、頂上着。

途中リタイアした2名を除いて8名が頂

上を踏んだ。雨が上がる。近くに見え

る木々の緑が輝いている。帰路は、往

路をたどって下りる。その勾配の大き

さに驚く。3時、車を置いた地点に戻

る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする