畑に行っていると、同じところで野菜を作っている人との朝の挨拶は、「雨が降らないねえ」といい交わすことだ。それほど、今年の春は雨が少ない。山登りには好天は必須だが、畑の野菜たちには雨が待ち焦がれる。昨日雨の予報が出たので、開いたところへ、野菜苗を定植し、遅まきの種を蒔いた。午後になって、風が強くなった。山形市で風速18mが観測された。メイ・ストームである。この季節には、南の暖気団と北の寒気団の間に低気圧が発生するが、この低気圧が発達するとこれに向かって、南からの風が吹き込む。いわゆる春の嵐だ。
一夜明けて、外を見ると、風は止みしとしとと、大地を濡らして雨が降っている。慈雨である。野菜たちは喜び、植えた苗もしっかりと根を広げたに違いない。杜甫は詩に詠んだ。「好雨、時節を知り、春にあたって発生す」そしてその様子は、「風にしたがってひそかに夜に入り、物を潤して細やかにして声なし」とある。今日の雨を詠んでいるかのようだ。雨の予報にしたがって、昨日行った作業が、時機を得たものとなった。