常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

あがりこ

2019年05月20日 | 日記

ブナの寿命は300年と言われている。木には老衰というものはないらしく、風倒木になったり、立ち枯れになる直前まで成長を続ける。杉などの針葉樹に1000年を超えて生きながらえているのがあるのにに比べると寿命は短い。しかし、なかに若い木に交じって、300年をはるかに超える長寿のブナがある。樹高はさほどではないが、幹回りが図抜けて太い。途中の幹がこぶ状になっていて、そのコブの上に出た枝が成長する。いわゆる「あがりこ」といわれるものである。

積雪などである高さで幹が切られ、修復のためにこぶが形成され、そこから枝が生え、またその枝が切られることを繰り返すうちに、写真のような異様な形状になっていく。植物学者の話では、この若い枝のおかげで、木全体が若がえっているという。

ブナは普通にはどれほどの大きさになるのだろうか。調査では胸高直径110㌢、樹高では35mが最大となっている。ヨーロッパのブナは、種が違っていて寿命も大きさも日本に比べると格段長く、大きい。周囲6m、樹高40mの例がある。しかし、一本に木として見れば、ミズナラで枝張り直径35mという途方もなく大きい木がある。ブナは一本の木として見るより、ブナ林全体の荘厳さが際立っている。ブナ林は、一本一本の木が最大になる間隔で立ち並ぶ。こうした見事なブナ林が形成されていく過程では、激しい木どうしの生存競争がある。林床には笹や低灌木しか生える余地を残さず、太陽はブナ林だけで独占する。そして出来上がるの息をのむような美しいブナ林である。

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