初夏の花
2019年05月27日 | 花
起てば芍薬、座れば牡丹と唄われているように、芍薬は花の王、牡丹と並び称される。昔からその美しさが愛でられていた。中国から渡来した花であるが、その名を示すように薬用としても用いられたようだ。効能は滋養強壮というところであるらしい。私の生まれた家の庭には、この花があり、毎年春が来て花のつぼみが膨らんでいくのを楽しみにしていた。その脇には、植えたのでもないケシが花を咲かせた。栽培が禁じられていることを知りながら、咲く花を見たさにそのままにしていたようだ。北の国では、寒い冬が去り、花を見るのは大きな楽しみであった。
あけぼのの芍薬にむかひ憂なし 水原秋桜子
この季節、芍薬よりも多く見られるのが紫蘭だ。日本原産のこの花は、千葉県以西の各地の山地などに自生している。栽培も容易で、陽当りのよい庭先に植え放しで、毎年この美しい花を見せてくれる。丸い球根は漢方として用いられ、火傷や止血の治療に利用される。次々と咲く花々、藤村の詩句が思い出される。
梅の花さくころほひは
蓮さかばやと思ひわび
蓮の花さくころほひは
萩さかばやと思ふかな