快晴、朝から雲ひとつない。風もなく、陽ざしがふりそそぐと、小春日和という表現がぴったりの日だ。散歩道ではヒヨドリが鳴き、山茶花の花が咲く。永井荷風の詩「小春」より
小春の空の晴れつヾき。
返りさく山吹に蝶も舞うふなり。
いつはりの春。
去りゆく秋の名残り。
やるせなき思出の痕。
きのう、業スーからおでんを買う。おでんに熱燗のシーズンでもある。つゆごと袋に入ったのを温めるだけだが、妻は大根や卵、生昆布などを加えて自家風にアレンジ。夕方から気温が下がっておでんが丁度いい。昨年は両国の3番ホームで、「おでんと熱燗ステーション」というイベントがあったが、今年はコロナで、これも中止やむなしか。そもそもおでんは、豆腐を串に刺し、味噌をつけて焼いた田楽。江戸で田楽法師が、白ハカマを着けて高足に乗って舞う姿からこんな名がついた。田楽の田に「お」をつけるのは女房言葉。こんな伝統のある食べ物が今なお好まれているところが、日本の食文化の不思議でもある。
玉の如き小春日和を授かりし 松本たかし