常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

悠創の丘、秋色

2020年11月11日 | 芭蕉
昨日、瀧山に2度目の冠雪。里は時雨模様であったが、3時過ぎに青空が広がってきたので悠創の丘を散策した。吹く風は冷たく、瀧山に三度雪が積もると、里に雪という俚諺に説得力が増している。カエデが紅く輝き、芝生が黄色に色づいていた。三々五々、カメラを携えた人たちが、晩秋の景色を探索していた。丘からは、夕暮れが近づく市街が広がり近くには芸工大の校舎の屋根が見えていた。

しぐるゝや田のあらかぶの黒むほど 芭蕉

句には「旧里のみちすがら」とあり、晩年に立冬のころ、故郷を訪ねるときに詠まれたものだ。芭蕉には時雨を詠んだ句が多い。なかでも「旅人と我名よばれん初しぐれ」や「初しぐれ猿も小蓑をほしげ也」の句が記憶に残る句だ。晩秋から初冬、芭蕉の句境にふさわしい、景色があったのであろう。高浜虚子はそんな芭蕉に親しんでいたせいか、京都で時雨を求めて散策したことがあった。祇王寺、高雄、高山寺を散策するが、やっとぱらぱらと時雨が来たときはすっかり日がおちていた、と随筆に書いている。今年は、何故か時雨模様になる日が多い。多分、虚子が羨むほどに時雨が多く、気温も低い。その分郊外の悠創の丘の付近では、晩秋の紅葉がひときわ鮮やかだ。
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