
寒に入って寒い日が続いたが、気温が上がって春先のような気候になってきた。東京などの太平洋岸で雪が降り、今夜から明日にかけてこの地方に雨が降るという予報が出ている。やはり、気候は温暖化の傾向をはっきりと示している。知事選挙の記述前投票に市役所に行ってきた。コロナ禍で初市が中止になり、初飴やダンゴ木などの小正月の縁起物を市役所前の広場で売っていた。農家でも最近は、小正月を祝う行事もだんだん見られなくなりつつある。
1月の15日が小正月にあたり、農家の豊年を願う行事が行われてきた。先ず二日前に餅を搗く。搗きあがった餅は、20㌢ほどに伸ばして、箸を添えて紐で巻いておく。一晩おくと餅はほどよい硬さになるので、箸を外して餅をちぎったダンゴを作る。これに食紅で色をつけて、山から採ってきたミズキの枝に餅をつけていく。神棚の前に、餅花が咲いた枝が飾られる。たくさん餅をつけると、それだけその年は豊作になると信じられた。どの家でも、家族総出で餅花づくりに励む。これが昔の農家の小正月の行事だ。この日は、正月には忙しかった女たちに休暇を与えた。女正月とも呼ばれた。誰に遠慮もせずに、焼餅などを食べながら、好きな話に花を咲かせた。
餅花をつくりし日より春動く 新井信子