
新年2度目の山行は、仙台の西北、秋保と関山街道近くの戸神山(504m)だ。不思議な偶然というのか、2度とも寒波が去った晴天。放射冷却凍てついた雪の上を被うさらさらとした新雪が朝日に光っている。戸神山という山は、各地にある。山形市にも二つ、群馬県の沼田、そして仙台近郊。この山に共通しているのは、街から近く、その山容が三角錐で切り立っていることだ。名の由来をたずねると、尖っていること、神が宿ることを名に込めているらしい。何か語呂合わせのような気がしないでもない。
この山で撮った写真で一枚でこの山の特徴を表すとしたら、頂上から海へ広がる眺望か、杉の美林か、空へ突き出る山頂か。選ぶのに迷ってしまう。選んだのは近隣の山並みから海へ広がる広々とした眺望です。山形に住むものには、やはりこのどこまでも広がっていく景観は得難いものだ。

9時過ぎに笹谷トンネルを通過したが、この辺り風が強く、道路に吹雪が舞っている。ホワイトアウトで多重事故事故を起こした昨日の東北道が頭に浮かぶ。釜房湖を越えて、川崎の辺りまで来ると、急に積雪が少ない。登山口のゲートは観光道路にする予定が中止された跡であると、登山ガイドにある。山中に入ると、さすがに雪はあるものの、積雪の状態は山形に比べてぐんと少ない。10時18分に登山開始。車が入れる広い林道のような道を進む。先行のトレースもあり、新雪のしたは凍った融けかかった雪だ。目の前に、三角錐の雑木が繁る雄戸神山が見えている。その裾野を周回するようにしながら女戸神山のコースをとる。傾斜が少しづつきつくなるに従って、新雪の下の氷が滑りやすくなってくる。11時47分、女戸神山の頂上でアイゼンをつける。そこから一気に鞍部まで、アイゼンの効果で快調な歩き。鞍部からは、急な斜面を頂上へ。熊落ち坂の看板がある。熊も落ちるほど急な坂という意味か。

この斜面の所要時間、わずか10分。頂上からは360度の眺望。やはり、海へと広がる近くの山並みが印象的だ。鞍部で吹いていた冷たい風は、頂上にはない。三々五々、思い思いの場所で持参した弁当を開く。本日の参加者10名、別のパーティー3名。仙台近郊の人たちは3人ほど。この日に限って、山形からの遠征組が、頂上を占有した。
1時7分、下山開始。山中の冬景色を堪能する。雑木林から、植林した杉林へ。思わずその見事な美林にカメラを向ける。寒さにも負けず、杉の雄姿が目に焼き付く。

下山、2時3分。年明けて20日。その間の寒波や時ならぬ雨などを経て、めぐり会えた里山の懐かしさ。手入れされた木々を見るだけでも、近辺の人々がこの山に愛着を持っていることが知れる。