常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

氷柱

2021年01月11日 | 日記
寒気が居座っている。毎日、最低気温は-5℃を下回る。今年の大雪の被害は日本海側の新潟以南に出ている。富山、福井などで雪中で車が動けなくなる立往生が、千台~500台とある。自衛隊の災害派遣で、雪を除いて車を動かす作業が夜を徹して続く。気温が下がる中、運転席でエンジンをかけたまま過ごすのも容易ではない。雪がつもると、排気ガスが車内に逆流して二酸化炭素ガスの中毒で命を失う人も出ている。

屋根に雪が積もると、室内の気温が上がると溶け出して滴る水が凍って氷柱ができる。子どものころから見なれて風景だが、今年の大雪であちこちで氷柱を見ることができる。懐かしい風景だ。鈴木牧之の『北越雪譜』には、家のなかに氷柱ができる話が出てくる。北越ではどの家の屋根も板葺きであったらしい。そのため古くなった板が損じると、春先に雪が解け始めると、室内に融けた水が洩ってくる。洩ってくる水の下に桶や鉢を置くが、気温が下がると、これが氷柱になる。部屋のなかにできた太い氷柱は、見たことのない暖国の人に見せたいもの、と記している。

朝、散歩に出かけた。公示された知事選挙の街宣車から、候補者の名前を告げる声が聞こえてくる。チラチラと雪のなかで、スピーカーから聞こえてくる声は現実ばなれした感じがする。どこか遠い国の出来事を聞いているようだ。「難局を克服して」と言われても、目の前で起こっている感染症は、スマホで定刻に感染者の人数が知らされる。ここにきて、20代、30代の人たちの感染が目立つ。低い気温と乾燥した空気が、コロナ菌を元気にするらしい。

軒氷柱丈余に育て人住めり 岩井完司
コメント
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