
雲がない冬の青空は気持ちいい。放射冷却で-5℃まで気温が下がっても、戸外に出て、身体を動かしたくなる。こんな空が長く続かないのも、冬空の特徴だ。それだけに、朝の光のなかに少しでも身を置きたい。そもそも何故、冬の青空はかくも澄みわたっているのか。ものの本によると、空気中の水蒸気の量が少ないことである。波長の長い青系の光りが、空気に当って拡散、乱反射するためであるという。塵も少ない高山では、青空はより深度を増す。因みに、気温がさらに下がって、-15~-20℃になると、空気中の水蒸気が氷って遊泳する。そこに光が当たってキラキラと光る。ダイアモンドダストと呼ばれる現象だ。先日の山形神室で見えたし、北海道では平地の湖などでよく観察される。
普段見なれている周りの山も、空気が澄んだ日は近くに見える。これも、空気中の水分が少なく、光を拡散させないためと言われている。冬の晴れ間も、すばらしい景色が見えることはすばらしい。山の表情や空の色に、季節の移ろいを感じながら、一日を豊かな気持ちで過ごすことができる。
冬晴れをすひたきかなや精一杯 川端茅舎