常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

庄内柿

2021年10月13日 | 日記
柿の実があちこちで目立つようになった。昔はどこの家でも柿の木を植え、秋になると生った実を焼酎で渋抜きをして食べたが、家族が少なくなったり、ほかの果物がたくさん手に入るようになったせいか採らずに鳥のために木にならせたまま冬を迎える家が増えている。実際、写真のような大木になると、老人が一人で脚立をかけて収穫するのは難しい。山形大学農学部で教鞭をとっていた阿部襄先生に『庄内の四季』という随想があり、庄内柿の産地松山地区での柿採りの記事があって興味深い。昭和54年に書かれたものだが、先生の追想で戦後まもないころの光景も入り混じっている。むろん先生は柿農家ではなく、庭に植えた柿の木は、知り合いの農家の人が消毒や施肥をやってくれた。先生は、赤くな柿をもぎ、木箱に詰めて渋抜きをして知り合いに送る作業をする。

羽黒町にある松ヶ岡開墾地がある。ここには農業の研修道場があり、地区の青年が入所して実地の訓練が行われた。最初に始めたのが柿作りであった。
「農場の柿林は実にみごとなもので、柿の葉が広く、緑色が濃く、つやつやと光っているのをみるとこうもなるのかと思われた。柿の肥料には化学肥料は使用せず全部堆肥堆肥を施しているということであった。こうした栽培をしているので、ここの庄内柿は、粒も大きくとくに甘味が強く、庄内地区の最高品と言われている。」

入所していた青年たちが、自分の農地に帰って、習得した技術をもとに作らたのが名声高い庄内柿である。そろそろ、coopの店頭に庄内柿が並ぶ季節がやってきた。

丘の家に柿かがやけり田の家も 水原秋桜子
コメント
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