常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

霜降

2021年10月23日 | 日記
鞘に被われたいた辛夷の実が赤い実を見せた。今日は二十四節季の霜降。色々な木に赤い実がなるのは、冬の到来が近いことを示している。この一週間で一気に季節が進んで、山の頂には雪が見えてきた。部屋には暖房、着るものも次第に冬物になっていく。見ごろになった紅葉が、この寒気であっという間に散っていく。それにしても、高山で見事な紅葉に出会うことは難しい。本当に美しい紅葉に出会えるのは、生涯に何度あるであろうか。かって見たあの紅葉を今一度と思いながら秋の山に行くが、その願いはなかなか叶わない。

平家物語の巻6。高倉天皇の逸話が語られている。天皇が好んでいた宮中の紅葉が、嵐で散ってしまった。宮廷の召使たちが、落葉をかき集めて焚火をし、その火で酒を温めて飲んだ。天皇の近臣が、お咎めを恐れたが天皇はにこにことして怒る様子もない。天皇は白氏文集のこんな詩を読んでいたからだ。

林間に酒をあたてめて紅葉を焼き
石上に詩を題して緑苔を払う

白居易が仙遊寺という寺で、友人と楽しく過ごした時の思い出である。紅葉した木の葉を燃やして酒の燗をして飲んだり、石の上の苔を除いて、そこへ詠んだ詩を書きつけるなど、優雅な遊びを詩に詠んでいる。天皇にとって、召使の身でありながら、唐の国の風流な詩を心得いたことに驚きもし、感心もしたのであった。
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