紅葉が平地でもかなり目立ちはじめた。高山では自分だけが紅葉を楽しんでいるので、きのう妻を連れて名所のもみじ公園に行ってきた。見ごろまであと一週間というところか。結婚式の前撮りに臨むカップル、七五三の着物を着こんだ男の子など、晴れがましい姿の人たちが、紅葉を背景に記念写真の撮影が行われていた。平地では、楓の紅葉が美しい。その美しさを見せるのは、春の花と同じで刹那である。その時に出会えてはじめて本当の美しさを知る。
紅葉の色きはまりて風を絶つ 中川宋淵
紅葉の美しさは、昼と夜の温度差が大きな条件となる。夜の気温が高いと昼のうちに葉に蓄えた澱粉が呼吸などのために使われてしまうからだ。葉にたまった澱粉や糖は葉から茎への移動が止まると、低温によって分解されアントシアニンという色素が合成されて赤くなる。今日は昼に日がそそぎ、夜に気温が低くくなる変化は、楓などの紅葉の発色にもってこいの条件ということができる。