紅葉の栗駒山を見たい、とこの山の山行を計画して3年越しになる。ことごとく、山行と悪天候が重なって中止となっている。今年もまた計画の当日は雨天で、天気の回復を待っての実行となった。しかし、栗駒山の紅葉がこれほど有名になったのは近年のこ
とだ。特にいわかがみ平の登山口は、駐車する車が多すぎて、ここへの乗り入れを止めてしまう日さえあるという。テレビに映し出される全山が紅葉に包まれる光景を目にして、全国から登山者や観光客が集まっているらしい。この山には3度ほど登っているが、記憶にあるのは秋田の湯沢から須川温泉から登ったものだ。もう20年も前になる。
とだ。特にいわかがみ平の登山口は、駐車する車が多すぎて、ここへの乗り入れを止めてしまう日さえあるという。テレビに映し出される全山が紅葉に包まれる光景を目にして、全国から登山者や観光客が集まっているらしい。この山には3度ほど登っているが、記憶にあるのは秋田の湯沢から須川温泉から登ったものだ。もう20年も前になる。
栗駒山は標高1626m、それほど高い山とは言えない。コニーデ型の火山で、その裾野に湧く硫黄温泉や山のところどころに噴出する湯煙が見られてそのことに得心する。東北に移り住んで栗駒山の山麓にある演習林の管理者として、 森林の研究をしている西口親雄先生がいる。その西口先生が紅葉の調査にを始めたのは樹種の確認からであった。最も早く紅葉を始めるのがベニヤマザクラ。9月中旬には始まる。紅葉現象の一番乗りはヤマウルシ。これは赤いだけで単調、次が浅い赤に黄緑を交えたウリハダカエデ。これに続いてイタヤカエデなどの黄色が目立つようになる。赤に黄色を交えた時期を第一紅葉期、やがて黄色が落ちて真紅の深い赤に主役を交代するのが第二紅葉期とされている。
この日、紅葉は第二紅葉期を終え、草紅葉も枯色を見せ始めたいた。山道は前日までの雨が残り、汚泥を混ぜたような道でやや期待に沿えない面もあった。それでも、やっとの思いで栗駒山の山行を実現できた一行7名には、願いがかなった満足が感じられた。この日のコースは須川コースが火山ガスで閉鎖されているため、蒸し風呂付近から三途の川を渡り、産沼へと迂回するコースである。
産沼は丁度中間点、帰路ここが昼食をとる地点となった。8時の出発時点ではやや曇り、産沼を過ぎてから、ごろごろした石の山道になる。高い丈のある石の前には、足をかける小さな石が置かれ、登山者への温かい配慮が見える。比較的なだらかな坂だが、四苦八苦の坂など面白い名がついている。稜線に出て坂が少し急になる。下山してきた人が声をかけてきた。「ここが最後の胸突き八丁のさかですよ。頂上までもう少しです。上は風が強く、展望もないので、早々に下山してきたのだという。昨日からの天気の好転もあってか、入山の人は多い。ここは若者ばかりではなく、老夫婦の二人連れも、お互いを気遣いながら登っている姿も見られた。多分、お昼にかけて100人前後の人が登頂したように思う。頂上で記念撮影の頃には、小ぬか雨のような雨が降ってきた。時刻は10時半。コースタイム通り、二時間半ほどの登りであった。
帰路、名残りの原分岐から賽の河原に向かう。石が積まれているわけではないが、草紅葉の向うにそれらしい石がポツンポツンと姿を見せている。あたりには温泉の硫黄の匂いがたちこめている。その向うに奇岩が、このあたあり景色を特徴づけている。山中に比して紅葉の色が鮮やかに見える。帰路は秋田の湯沢への道を通ったが、紅葉前線が麓の山へと下っているのが手にとるように分かる。今夜からは雨、しばらくぐずついた天気が続く。