薬師山は標高437m、杉の町金山町の里山である。朝からの霧が山頂を隠し、紅葉の景色も霧のなかであった。近くの公民館に車を置き、徒歩で15分ほどの車道を登山口に向かうと、杉の木にが聳える薬師山が見えてきた。杉は丁寧に枝打ちされて、見事に真直ぐに伸びている。地形の関係であるのか、雨が多く湿度が高いために杉の生育に適している。杉の植林が始まったのは、明治の後期であるが、すでに江戸時代、ここを治めていた戸沢氏が藩の財政を支えるために山林に手を入れ、苗木を植えることを奨励したことが、今日に繋がっている。
以前山友会で大美輪地区にある杉林を見たことがある。享保年間に植えられたもので樹齢300年を超える大杉が100本以上があり、何人もが手をつないで、幹回りを計った。樹高60m、直径150の大杉は見事というほかはない。町では、市内の景観にも気を配っている。白壁に地元の杉材を使った住宅の建設を奨励し、街に入ると、どっしりとした重厚な建物が市内を埋め、金山町ならではの景観となっている。
落葉で埋まった細い山道にお気づきだろうか。赤い鳥居をくぐると、すぐに急登となる。高度を上げると次第に霧が深くなる。霧のなかに見える赤や黄色の木々の葉は、霞んで幻想的な風景だ。だが、この雰囲気をスマホのカメラで出すのは難しい。撮影を諦め、登りに集中する。山形でいえば千歳山ほどの高さのため、いかに急登でも一歩一歩道を踏みしめれば、50分ほど頂上である。途中、危険を防ぐためのロープがあるが、経年ですり切れた部分もあり、かえって危ない思いがする。登りの苦労より、霧に濡れた木の葉や根や粘土が滑り安く、転倒に要注意だ。下りを登りとほぼ同じ時間をかけ全員無事下山。昼近くになって、山頂を残して、三山の紅葉が姿を現した。杉の町、金山の秋の風景である。山の向いの神社のある公園で弁当。本日の参加者11名、内男性3名。青空は見えなかったが秋らしい季節のいい山登りになった。