「今年も、伺ってみよう…」と、ミモロは、3月2日に、西陣の千両が辻というエリアにある「町家写真館」に出かけました。


「町家写真館』は、日本を代表する写真家の水野克比古先生の写真を展示している写真館。そこで3月1日~3日に毎年、所蔵するお雛様が飾られます。

「こんにちは~」とミモロは、ご挨拶。「あ、ミモロちゃん、今年も来てくれたんだ~。どうぞ上がってよく見て行ってくださいね」と、いつもおしゃれな水野先生に…。「はい、お邪魔します」


「わ~今年もたくさんお雛様並んでる~」



京都らしい奥行きのある町家。そのお座敷にずらりと並ぶお雛様…水野先生のお宅に伝わるものを中心に、頂いたものなど、さまざま。江戸時代から昭和にかけて、京都の家庭で愛された雛たちです。
「お雛様のお道具もいろいろある~」ミモロは、小さなお道具に興味津々。

「お茶のお道具…わ~文机もある~」それはそれは小さな品々…でも本当に精巧にできています。


「へ~こんなものもある~」とミモロは、雛段に近づいて、何やら見ています。

ミモロ、なに見てるの?
「美味しそう…」

「あ、このお雛様、どういう関係なんだろ?」と、首をかしげたのが、最上段に飾られた3人。

「どっちが奥様?」と近くで見ていた人も…。「たぶん向かって左の二人がカップルなんじゃない?」とミモロ。
「そうね~。右側の方、お姑さんかしら…」と、その方。「そうかなぁ~」と、ミモロとお客様の話を聞いていた水野先生が「右側のお雛様の雄雛は行方不明なんです。どうやら、どこかに行っちゃったみたいですね~」と。水野先生のお宅に来た時から、1体しかなかったそう。「黒い衣装の方が、傷みやすいので、きっとボロボロになって、処分されたのかも…」と。
お雛様にも、それぞれさまざまな運命があるのでしょう。今は、水野先生のお宅で、静かな平穏な時を過ごしています。
「わ~細かいお雛さまもいっぱい…」
御殿飾りのお雛さまや、小さな芥子雛なども並びます。


「ホント、みんな細かいでしょ…これ、飾るの、実は、大変なんです」と水野先生。これだけの規模の雛飾りをするのは、一苦労。箱から出すだけでも大変。それをキレイに飾って、また、雛祭りが終わったらおかたづけ…。
「大変だって思いますが、でも、1年に一度、箱から外に出してあげたいし、みんなに見てもらいたいし…」と、きっと想像以上の手間がかかることなのです。
「でも、たった3日間じゃ、もったいない…4月まで展示しないんですか?」とミモロ。
「そういう声も多いんですが、ここは、美術館じゃないから、エアコンで乾燥して傷みが進んでしまうんです。だから、できるだけ、窓を開けて、外の湿った空気が入るように調整してるんです。でも、長期間、飾るのは無理だと判断しました」と。
「でも、お雛様たち、外に出してもらえて、すごく喜んでる…」と、雛壇の前に座って、まるでお雛様の声を聴いているようなミモロ。

そう、確かに、家の中にしまわれっぱなしのお雛様って、結構大勢いらっしゃる気がします。
出したり、しまったりするのが面倒…と、思われ飾ることがないお雛様たちです。
そもそも、なんでもお節句の行事は、季節の花を飾ったり、特別なお料理を作ったりと、手間がかかること。でも、それをすることで、日本人は、昔から生活にひとつの区切りをつけて来たのです。
「お雛様を飾る心の余裕って欲しいよね~」とミモロ。家には、ミモロの小さなお雛様が、飾られています。
「奥の方にも飾ってますから、そっちも見てきて…」と水野先生は、そういうとご用事でお出かけに…。
ミモロは、坪庭を経て、家の奥へと進みます。



「あ、ホント、ここには新しいお雛様がいらっしゃる…」

京都らしい町家の造り。表通りからは、想像できない空間が広がっているのが、素敵です。
西陣で生まれ育った水野先生、地元の活性化のために、いろいろなイベントを企画・実施なさっています。秋にも伝統文化祭などを。通常、この「町家写真館」は、水野克比古、秀比古、歌夕、親子2代の写真家の作品が展示されて、事前予約で拝見することができます。
*「町家写真館」 京都市上京区大宮通元誓願寺下ル 075-431-5500 開館時間11:00~17:00 日曜・祝日休み 入場無料 事前に予約が必要
「あ~楽しかった…やっぱり雛祭りって、ウキウキしちゃう…」
ミモロが、写真館から出て、通りを歩いていると、偶然、ご用事からもどられた水野先生にバッタリ…。
「あ、水野先生…ありがとうございました。またね~」「はい、またね~」と手を振ってお別れしました。

すごく有名な写真家さんなのに、すごく気さくに接してくださる水野先生。ミモロも大好きな先生です。

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