3月3日の雛祭の日、ミモロは、朝から京都駅八条口のバスターミナルへ向かいました。「あ、このバスだ~」バスの前には、「日本最古のてん茶工場と山城の茶畑をめぐる旅」というサインが。


バスは、一路、宇治を目指して進みます。


宇治は、銘茶のふるさととして全国に知られるところ。特に、高級茶葉で作る抹茶の生産は、全国1。宇治では、茶葉の生産量の80%が抹茶で、20%が玉露なのだそう。
さて、ミモロたち一行が向かったのは、宇治でもお茶店が軒を連ねる「平等院表参道」。そこに100年以上も茶葉を生産している「京都宇治茶房 山本甚次郎」です。


「さすが歴史を感じさせる佇まい…お店の中も、お茶の香りと一緒に歴史が香る…クンクン」とミモロは、店内を見回します。
宇治は、宇治川という大阪への物資の運搬に適した水路に恵まれた場所。古くから、近郊の山で栽培された茶葉を加工し、大都市へと流通させていました。

ミモロたちは、まずお店の中で、五代目店主の山本晃一郎さんに、宇治のお茶について、いろいろ教えていただくことに…。



「当家は、伝統的な宇治茶の生産技術「本ず」を継承し、抹茶の原料である『てん茶』の栽培、製造をしています」と。
「本ず」というのは、お茶の新芽が出始めるころ、茶木の上によしずを載せて、繊細な新芽を遅霜から守るとともに、日光を遮断することで、お茶の旨みを高めるという、昔ながらの手間のかかる生産技術です。


「近年は、多くの茶農家が、遮光ネットなどを掛けて生産していますが、やはり昔ながらのよしずと藁(わら)を使った本ずで作られた茶葉は、その美味しさが違います」と。全国茶品評会で上位を独占するのは、この「本ず」による栽培茶なのだそう。
「これがてん茶なんだって~クンクン、いい香り、このままでも食べたくなっちゃう・・・」

本ずで栽培された茶葉を蒸して、てん茶機という大きな乾燥機で、乾燥させた茶葉。それを石臼で挽いて抹茶にします。つまり、抹茶のもと。玉露や煎茶のように揉む工程がないので、茶葉は、広がったままの形です。(ちなみに中国の甜茶とは別物です)
「では、さっそくてん茶の製造工場にご案内します」と山本さん。ミモロたちは、店の奥にある工場へと向かいます。



ベルトコンベアーに、葉が重ならないように散布された茶葉は、レンガ造の炉の中をグルグル巡って、カラカラに乾燥してゆきます。

「へぇ~中ってこうなってるんだ~」


この機械は、「堀井式碾茶製造機」と呼ばれ、ここには大正14年に設置され、以来、ずっと使われているもの。実用機としては、最古のものだそう。ほかの店でも使われていたそうですが、今も活躍するのは、ここだけ…。
「この機械が動くのは、年間で2週間程度です」と。茶摘みをする初夏に行われる作業は、さぞや暑いことでしょう。
茶農家は、ほとんどの時期を、茶木や茶畑のケアに、励みます。年間を通じ、大切に世話された茶畑だからこそ、美味しい茶葉ができるのです。
「では、さっそくてん茶を味わっていただきましょう」と、ミモロたちは、再びお店へと戻ります。
「はい、どうぞ~」水出しのてん茶を頂くことに。


「あの~もっと飲みたいんですけど…」と。ミモロは、喉が渇いたよう。
でも、てん茶や玉露は、お茶の風味や旨みを味わい楽しむもの。喉の渇きを潤すお茶とは、違います。
お茶文化を、楽しむために、店内には、抹茶セットや、てん茶の販売も…。



「おうちでも飲むんだ~」とミモロもてん茶を求めました。
茶葉は、周囲の香りを吸収しやすいデリケートな性質があるので、保管は、冷凍庫で。冷蔵庫では、周囲の食品の匂いを吸収してしまうそう。くれぐれもご注意を…。
「美味しいお茶を頂くと、心が癒されるね~」と、てん茶のまろやかな味わいにうっとりしたミモロでした。

*「京宇治茶房 山本甚次郎」京都府宇治市宇治妙擽36 0774-21-2241 11:00~19:00 不定休

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