ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

日本最古のてん茶工場がある、百年以上続く茶生産農家でもある「京都宇治茶房 山本甚次郎」へ。

2015-03-06 | 老舗

3月3日の雛祭の日、ミモロは、朝から京都駅八条口のバスターミナルへ向かいました。「あ、このバスだ~」バスの前には、「日本最古のてん茶工場と山城の茶畑をめぐる旅」というサインが。
ミモロが、参加したのは、「京都府山城広域振興局」主催のツアーで、宇治茶のおもてなしを広く多くの人に知ってほしいという企画により実現したツアーです。

呼びかけ人は、魅力的な観光ツアーを企画する「トラベル京都」の近藤芳彦さんと、コンシェルジュとして世界各国のゲストのおもてなしをする小山明美さん。お二人とも、ミモロとは仲良しです。今回のツアー参加者は、13人。ツアーガイドや旅行会社、料理人など、京都を訪れた人たちのおもてなしの専門家ばかりでした。「京都の山城エリアや、宇治茶の魅力を、このツアーで味わって、多くの人に伝えてください」と近藤さん。

バスは、一路、宇治を目指して進みます。
 

宇治は、銘茶のふるさととして全国に知られるところ。特に、高級茶葉で作る抹茶の生産は、全国1。宇治では、茶葉の生産量の80%が抹茶で、20%が玉露なのだそう。

さて、ミモロたち一行が向かったのは、宇治でもお茶店が軒を連ねる「平等院表参道」。そこに100年以上も茶葉を生産している「京都宇治茶房 山本甚次郎」です。
 
「さすが歴史を感じさせる佇まい…お店の中も、お茶の香りと一緒に歴史が香る…クンクン」とミモロは、店内を見回します。

宇治は、宇治川という大阪への物資の運搬に適した水路に恵まれた場所。古くから、近郊の山で栽培された茶葉を加工し、大都市へと流通させていました。


ミモロたちは、まずお店の中で、五代目店主の山本晃一郎さんに、宇治のお茶について、いろいろ教えていただくことに…。
  ミモロは、最前列で、熱心にお話しを伺います。

「当家は、伝統的な宇治茶の生産技術「本ず」を継承し、抹茶の原料である『てん茶』の栽培、製造をしています」と。

「本ず」というのは、お茶の新芽が出始めるころ、茶木の上によしずを載せて、繊細な新芽を遅霜から守るとともに、日光を遮断することで、お茶の旨みを高めるという、昔ながらの手間のかかる生産技術です。
 「これが、本ずのやり方だって…」と模型と写真で学ぶミモロ。

「近年は、多くの茶農家が、遮光ネットなどを掛けて生産していますが、やはり昔ながらのよしずと藁(わら)を使った本ずで作られた茶葉は、その美味しさが違います」と。全国茶品評会で上位を独占するのは、この「本ず」による栽培茶なのだそう。

「これがてん茶なんだって~クンクン、いい香り、このままでも食べたくなっちゃう・・・」
ところで「てん茶」というのは、何かといえば…。

本ずで栽培された茶葉を蒸して、てん茶機という大きな乾燥機で、乾燥させた茶葉。それを石臼で挽いて抹茶にします。つまり、抹茶のもと。玉露や煎茶のように揉む工程がないので、茶葉は、広がったままの形です。(ちなみに中国の甜茶とは別物です)

「では、さっそくてん茶の製造工場にご案内します」と山本さん。ミモロたちは、店の奥にある工場へと向かいます。
そこで工場内の説明を伺います。
蒸気で蒸された茶葉は、ネットが貼られた散茶機という茶葉を下から起こした風で吹き上げ、冷却する機械にいれ、高温の炉の中で乾燥させます。下から、熱風が、炉の中に…。

ベルトコンベアーに、葉が重ならないように散布された茶葉は、レンガ造の炉の中をグルグル巡って、カラカラに乾燥してゆきます。


「へぇ~中ってこうなってるんだ~」
 このネットに乗って茶葉が進みます。

この機械は、「堀井式碾茶製造機」と呼ばれ、ここには大正14年に設置され、以来、ずっと使われているもの。実用機としては、最古のものだそう。ほかの店でも使われていたそうですが、今も活躍するのは、ここだけ…。

「この機械が動くのは、年間で2週間程度です」と。茶摘みをする初夏に行われる作業は、さぞや暑いことでしょう。

茶農家は、ほとんどの時期を、茶木や茶畑のケアに、励みます。年間を通じ、大切に世話された茶畑だからこそ、美味しい茶葉ができるのです。

「では、さっそくてん茶を味わっていただきましょう」と、ミモロたちは、再びお店へと戻ります。
「はい、どうぞ~」水出しのてん茶を頂くことに。
 まろやかな茶の味わいが、ミモロの口に広がります。「美味しいね~」と、目を細めて味わうミモロ。

「あの~もっと飲みたいんですけど…」と。ミモロは、喉が渇いたよう。
でも、てん茶や玉露は、お茶の風味や旨みを味わい楽しむもの。喉の渇きを潤すお茶とは、違います。

お茶文化を、楽しむために、店内には、抹茶セットや、てん茶の販売も…。
  
「おうちでも飲むんだ~」とミモロもてん茶を求めました。

茶葉は、周囲の香りを吸収しやすいデリケートな性質があるので、保管は、冷凍庫で。冷蔵庫では、周囲の食品の匂いを吸収してしまうそう。くれぐれもご注意を…。

「美味しいお茶を頂くと、心が癒されるね~」と、てん茶のまろやかな味わいにうっとりしたミモロでした。


*「京宇治茶房 山本甚次郎」京都府宇治市宇治妙擽36 0774-21-2241 11:00~19:00 不定休






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