久しぶり登場、園長です。
世の中は、新型コロナウイルス感染拡大中で大騒ぎです。青森県でも345名が感染したと発表されています。私たちが住む八戸市でも複数のクラスターが発生するなど感染者が増えている現状です。2020年はまさに新型コロナで右往左往の連続でした。年末を控え毎年恒例の「流行語大賞」も「三密」に決定されました。しかしこの「三密」、密閉・密接・密集は保育園では必要な現象なのです。密閉はあまり必要ないですが密接と密集は子どもの基本的活動の素となります。子どもが小さければ小さいほど密接(スキンシップ)が必要だし、子ども達が集まりコミュニケーションが深まります。子ども同士が競い合い、互いに尊重しあいながら成長するのは人間の特性です。そういう意味ではこの新型コロナは恐ろしい現象だと思います。
最近「三密」のほかにも「感染を拡大する5つのリスク」(飲食を伴う懇親会・大人数や長時間に及ぶ飲食・マスクなしでの会話・狭い空間での共同生活・居場所の切り替わり)が発表されました。園児には懇親会や飲食は心配いりませんが、狭い空間や共同生活は集団保育には欠かせないものだし、マスクなしの会話はとても困ります。目は口ほどにものをいう、と言われますが、子どもは顔全体の表情を見て、褒められているか、怒られているか判断します。年齢が低いほどマスクの障害は大きいと思います。そして保育園で今、一番悩んでいるのが「ソーシャルディスタンス」の問題です。2メートル離れて、椅子は一つ置きに座るなどいろいろ言われますが、物理的な距離は比較的簡単に取れますが、保育園のような場所での「精神的距離」はどうとればいいのでしょうか。「遠くの親戚より近くの他人」ということわざがありますが、この言葉は血縁関係にある親類よりも物理的な距離が近い他人の方が頼りになるという「距離」の重要性を表しています。子育てにも「親離れ・子離れ」と言われる心の距離を表す言葉があります。一概にソーシャルディスタンスと言いますが、物理的に離れる距離と心の支えになる精神的な距離もあることを改めて考えてみたいと思います。
さて、そんなコロナ喧噪のなか、2週に渡って長坂保育園の「発表会」が行われました。例年だと12月の第1週の土曜日に1回で行うのですが今年はソーシャルディスタンスも考え、0~2歳児と3~5歳児に分け、なおかつ11月28日と12月5日の行いました。保護者は前者が1家族2名まで、後者は年長に限り1家族2名まで、そのほかは1家族1名までとしました。祖父母や当日見られない保護者にはそれぞれの「総練習」に参加していただき1回の参加者を減らし対応しました。それでも総練習2回には約100名、本番2回で約200名の参加がありました。例年、「狭い」「見えない」とのご意見が沢山上がるのですが、今回は皆無でした。このくらいがちょうどよい人数なのだと思いました。ただ、祖父母の方々に遠慮いただいたので収まったので、来年からどうするか考えたいと思います。
11月28日の0~2歳児の発表会は「いるだけで可愛い~」という感じでした。0歳でも自分で返事をしたり、返事の代わりに手を揚げたりと自分を表現していました。約1時間終わりましたが、ゆっくりとみられたので保護者の表情は穏やかでした。一方、12月5日に行った3歳以上児の発表は長坂保育園の特色を生かした異年齢保育を中心に5つの種目に個性を発揮しました。「音楽遊び」(大きくなったらなにになろう)「発表」(日本の四季~春・夏・秋・冬)創作劇(11匹の猫)演芸(長坂エンターテイメント)「劇」(やまんばと三枚のお札)。それぞれ自分の個性を出し、楽しい出し物になりました。異年齢で行っているのでそれぞれの役割に見るほうはハラハラドキドキのようでした。
2部では「歌と合奏」を年齢ごとに発表しました。我が園では3歳になったら「メロディオン」をそろえてもらうので、全員がメロディオンを演奏します。その後木琴や鉄琴、バスマスター、太鼓などにパートに分かれて演奏します。3歳児は歌「うちゅうにむちゅう」合奏「とんとんとんひげじいさん」。4歳児は歌、「きみといっしょにいると」合奏「茶色のこびん」。5歳児は歌「ぴかぴかすまいる」合奏「糸」でした。それぞれの発達段階を確認できるいい演奏、いい歌声でした。特に5歳児の合奏「糸」が演奏されると、聞いていた保護者はほとんどが感動して手にハンカチを握りしめていました。選曲にもよるのでしょうが、この曲の持つ魅力を最大限に引き出し、これまでの子供たちの成長を思い出す工夫がされていたのだと思います。私は会場の後ろの方だったので保護者の顔は見えませんでしたが、正面で司会をしていた主幹保育士がいうことには「始まった瞬間から泣いている人がいた。お父さんお母さんのほとんどが泣いていた」と言っていました。私は初めて聞いたのが総練習の時でしたが、私も感動して涙が出そうになりました。そしてこの本番、やはり感動してしまいました。総練習よりもいい音を出していました。彼らのこれまでの保育園生活が瞼に浮かび、曲とともに感慨が押し寄せてきたようでした。合奏は一人ではできません。一人一人が心を合わせ、お互いを思いやりながら、自分の出番を全うします。息の合った演奏でした。終わった後の大きな拍手が子ども達の達成感を証明していました。サッカー大会でも子ども達の団結力を見てきましたが、この日は一つのことに全員が力を合わせ、全力で取り組んだ成果を私たちに見せてくれました。最近、年を取ったせいか、涙腺が緩くなり、子ども達が一生けん命に努力している姿に感動してしまいます。コロナウイルスでいろんな行事が中止、縮小になりましたが、今回の発表会はそれらを補い、まだあまりある結果を見せてくれました。子ども達の持つ可能性を改めて思い知らされた発表会でした。参加していただいたすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。