花と緑を追いかけて

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いっぱいの主婦の日記です

「パルマ・イタリア美術、もう一つの都」展

2007年08月24日 | 美術館&史跡巡り
暑さが一段落した昨日の23日・・・
上野にある国立西洋美術館で開催されている「パルマ展」に、中学時代の友人のtomokoさんを誘って行ってきました。

一年の半分を、歳老いたご主人のお母様がいらっしゃる島根に、ご夫婦で通っているtomokoさんの「田舎は周囲に親戚がたくさんいて、毎日のように採りたて野菜などが届く人情味豊かな所だけど、文化や芸術的な刺激がないのが辛い!」という言葉を聞いていたので、この美術展の招待券が手に入った時、真っ先に彼女を誘おうと思いました。

上野駅の公園口で待ち合わせ。
島根から帰ったばかりのtomokoさんは、余りの人の多さに驚いていました。
親子連れのほとんどは「上野動物園」に行くのでしょう。
まだ夏休みの最中ですものね。



上野の森に入ってすぐの所にある「国立西洋美術館」は行列を作るほど混んではいませんでしたが、会期が8月26日までと迫っていたので、それなりに人が入っていましたね。
有名画家の超有名な絵画が展示されているわけではなく・・・
でも「見応えたっぷり!、行って良かった!」と言うのが私の印象です。




「16世紀から17世紀にかけてイタリアの北中部の都市パルマに花開いた美術を紹介。コレッジオやパルミジャニーノといった優れた芸術家が活躍したルネッサンス期から、独特の文化がファルネーゼ家の庇護の下に栄えたバロックの初期までを視野に入れながら、パルマの芸術文化を絵画、素描などの約100点の作品が並んでいます」とチラシに書かれていました。




この展覧会は一応、六つのセクションに分かれています。
 1 15世紀から16世紀のパルマ-「地方」の画家と地元の反応
 2 コレッジョとパルミジャニーノの季節
 3 ファルネーゼ家の公爵たち
 4 聖と俗の絵画-「マニエーラ」の勝利
 5 バロックへ-カラッチ、スケドーニ、ランフランコ
 6 素描および版画

こちらのチラシにも紹介されていますが、六つのセクションの絵画はそれぞれに興味深いものでした。

特に一番上の右端の「キリストの墓の前のマリアたち」(スケドーニ)は、作品が目に入った瞬間tomokoさんと2人で声を上げてしまいました。
光と影の手法が1613年に描かれたものとは思えないほど新鮮で強烈でした


布地に当たる光の鮮烈な明暗が、イエスが墓から甦ったことを告げ、知らされたマリアたちの驚きを効果的に表現しています。
ほぼ同じ時期に活躍したガラヴァッジョの画風を連想しますね。








個人的に一番好きな作品はこちらの「幼児キリストを礼拝する聖母」(コレッジョ)です。
何ともいえず優美で気高い作品です。
フィレンツェのピッティー宮・パラティーナ美術館で、ラファエロの「大公の聖母」を見て大感激した時と似たような感情が湧きました。

このコレッジョの作品は、フレンツェのウフィッツィー美術館所蔵だそうです








「載冠の聖母」(コレッジョのフレスコ画の模写)
アンニーバレ・カラッチ&アゴスティーノ・カラッチ

こちらも気に入った作品で絵葉書を買いましたが、優雅な柔らかい色彩が絵葉書ではちょっと失われていて残念です。

この作品は、もともとコレッジョが1522年パルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂のフレスコ画の聖母を模写したものを、カラッチ兄弟によって複製されたものだといいます。







もう一つ印象的だったのが、パルミジャニーノ作「ルクレティア」です。

貴族出身の女性ルクレティアはローマ王タルクイニウスの息子セクストゥスに乱暴され辱めから逃れるために父と夫の前で剣を自らさして自害します。

パルミジャニーノのルクレティアは凛とした表情と上に向けられた視線、そして優美な宝石で飾られた髪形と赤い頬がとても印象的です。
女性の尊厳と意思の強さが感じられますね。




第3章の「ファルネーゼ家」の公爵たちも興味を惹かれました。
1545年にパルマの領主となったファルネーゼ家の歴代君主たちの肖像が紹介されています。

イタリアが国家として統一されたのは19世紀に入ってからです。
それまでは都市国家として栄えてきた各地方はそれぞれに個性が強く特色がありますが、このパルマは「ファルネーゼ家」の隆盛により、芸術文化が花開いたのでしょう。

特に三代目のアレッサンドロ・ファルネーゼは、人質として忠誠を誓っていたスペインで頭角を現し、その肖像画もたくさんありました。
後に后となるのがハプスブルグ家の姫・・・
ヨーロッパの歴史をもう一度ひも解きたくなるような宮廷婚姻図ですね。

又、キリスト教の宗教画は旧約聖書などの題材が多く、それらを理解していないと難解ですが、それでも1時間半以上を費やしてジックリと堪能しました。
招待券を送ってくださった昔の美術館仲間のTさん、ありがとうございました
一足早い芸術の秋を味わいましたが、この催しも明後日の26日(日)で終わりです。

テノール歌手の錦織健さんの音声ガイド(500円)も、分かりやすく音楽も入って良かったですね。お薦めです。

パルメザンチーズが有名で、サッカーのナカタが最初に移籍したのがこのパルマでしたね。
その街をノンビリ訪ねてみたくなるような美術展でした



朝降っていた雨も午前中にやんで、お昼過ぎには太陽が顔をだしました。
美術館前にある文化会館2階のレストランで食事をし、その後オープンカフェでお茶しながらもっぱらお喋り・・・

「島根に住み着いてしまえば体は楽かもしれないけど、70歳を過ぎている一人者の義兄も取りあえずはまだ元気だし、義母も施設にお世話になっているし・・・、だからこうして1年の半分は、東京の自宅に戻ってきて気持ちの切り替えをしているの」
年老いた親や兄弟の問題、そして定年後はどこでどう過ごすか・・・?
どのご家庭も深刻ですよね
去年の秋に、越後湯沢に一緒に旅をして以来の再会に、話はつきませんでした。

何ていったって、12歳の時からのお付き合いですもの
tomokoさん、又機会を作って会いましょうね。



コメント (12)
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