▼ 銀座キリンシティのビールが飲みたい。
今どき、あの店の『旬のメニュー』は何だろう。
今年1月と2月に東京へ行った。
その時は、こんなコロナ禍は想像してなかった。
だから、次の機会にと立ち寄っていない。
東京が、GoToトラベルの対象になった。
息子たちにも、孫にも、知人・友人にも逢いたい。
ついでに、キリンシティにも・・。
しかし、「じゃ!」と腰を上げる気には、
なかなかなれない。
高齢者は重症化のリスクが高い。
しかも、ここは小さな町だ。
感染したら、「噂に噂が膨らみ」大変な騒ぎになる。
東京行きのハードルが下がるのは、先の先のようだ。
それにしても、酒席がない。
年齢とともに、酒量は減った。
だが、お酒を酌み交わしながらの、
ワイワイガヤガヤが好きだ。
感染防止策として、マスクと手洗いと共に、
三蜜が強調される。
だから、家内と2人で外食することはあっても、
3月以降、誰とも飲み会などしていない。
「寂しい!」。
だが、これまた、1歩を踏み出すにはハードルが高い。
いつか再び、酒席での楽しい会話を望みながら、
あの時のあの席での、食の会話を思い出し、
今夜の酒のつまみにしようかな・・・。
▼ 数年前の初夏だ。
ワンボックスカーをレンタルし、
美瑛のパッチワークロードへ行った。
宿は富良野の郊外にとった。
男女8人だが、全員酒好きだった。
夕食は、ゆっくり飲みたいからと、
ホテル近くの居酒屋にした。
2階の広間に案内されたが、
他に客はなく、遠慮なく会話しながらお酒が進んだ。
しばらくして店員さんが、追加注文を訊きに来た。
お店のお勧めメニューを尋ねた。
「きょうは、アスパラのいいのがありますよ。」
迷わずそれを頼むことにした。
「茹でますか。焼きますか。炒めますか。天ぷらにもできます。」
店員さんの問いに、全員が沈黙した。迷った。
しばらくして、「じゃ、全部、一皿ずつ!」と声が上がった。
店員さんが2つ返事で退室してから、
話題は、『茹で、焼き、炒め、天ぷら』へ進んだ。
「どの食べ方が美味しいんだ?」。
お酒が入ってからの会話だ。
銘々が好き勝手に自分の好みを言った。
「どの食べ方でもいいじゃないか!」。
「人それぞれだ!」。
だが、アスパラはどれが一番美味しいのか。
気になった。結果がほしくなった。
そこで、提案があった。
「4皿を食べ比べて、多数決で決めよう」。
全員が同意した。
その後、トイレに立つ者はいたが、
なぜか、静かにアスパラの登場をみんなで待った
調理法の違う極太のアスパラ4皿が、
同時に運ばれてきた。
生ビール、日本酒、焼酎のお茶割、ハイボール等々、
それぞれ好みのお酒と一緒に、
4皿のアスパラを順々に、黙って食べた。
遂に評決の時が来た。
私は迷った。
炒めが一番と主張していたが、
食べ比べると違った。
素直に茹での美味しさを認め、
挙手することにした。
「茹で」が圧勝した。
「でも、焼きも美味しかった!」。
「焼きよりは、天ぷらだった」。
「オレは、茹でと炒めがきん差だった」。
その後も、その話題は長々と続いた。
以来、アスパラは茹でたのが一番美味しいと、
思い込んでいる。
▼ 自治会で催し物があると、
その後の懇親会はいつもいろいろな話題が沸騰し、楽しい。
その2次会の席だった。
10数人で残り物と、誰かが持ち込んだ一升瓶を囲んだ。
たまたまそのオードブルに、
カニかまがいくつも残っていた。
それが、引き金になった。
「蟹はなにが美味しいか」。
そんな話題になった。
全員、北海道民だ。
松葉ガニやタカアシガニを主張する者はいない。
毛ガニ派とタラバガニ派に大別された。
中には、蟹の部位について長々と語り、
『ザブトン』の美味しさのみを主張する者もいた。
私は毛ガニ派だが、
タラバのボリュームと大味さにも惹かれていた。
好みは二分し、意見は拮抗した。
そんな時、いつも物静かな方が突然言いだした。
「蟹は、花咲だべ。
あれは美味い。他の蟹は食べる気にならない。」
実は、店頭で花咲ガニを見たことはある。
だが、値も張り、食べたことがなかった。
興味がわいた。
彼は、長らく根室で暮らしていた。
花咲ガニの本場だと言う。
鮮度抜群のものを食べていたに違いない。
機会があったら、ご当地に出向き、
食べてみたい。
彼の一言に、心が動いていた。
相当、お酒が回っていた。
だから、その後の言葉の信ぴょう性は疑わしいが、
記す。
「きっと、花咲ガニって美味しいんだろうなあ。
毛ガニやタラバの味に比べ、どこが違うの?」
彼に向け、尋ねた方がいた。
彼は即答した。
「他は食べたことないから、わからない。
でも、蟹は花咲きがいい。」
大いに納得しながら、笑ってしまった。
嗜好はそれぞれだ。それでいいのだ。
何だって、比べることに、必ずしも真理はないのだから・・。
『アッパレ!』
ホオズキも実る <歴史の杜・野草園>
今どき、あの店の『旬のメニュー』は何だろう。
今年1月と2月に東京へ行った。
その時は、こんなコロナ禍は想像してなかった。
だから、次の機会にと立ち寄っていない。
東京が、GoToトラベルの対象になった。
息子たちにも、孫にも、知人・友人にも逢いたい。
ついでに、キリンシティにも・・。
しかし、「じゃ!」と腰を上げる気には、
なかなかなれない。
高齢者は重症化のリスクが高い。
しかも、ここは小さな町だ。
感染したら、「噂に噂が膨らみ」大変な騒ぎになる。
東京行きのハードルが下がるのは、先の先のようだ。
それにしても、酒席がない。
年齢とともに、酒量は減った。
だが、お酒を酌み交わしながらの、
ワイワイガヤガヤが好きだ。
感染防止策として、マスクと手洗いと共に、
三蜜が強調される。
だから、家内と2人で外食することはあっても、
3月以降、誰とも飲み会などしていない。
「寂しい!」。
だが、これまた、1歩を踏み出すにはハードルが高い。
いつか再び、酒席での楽しい会話を望みながら、
あの時のあの席での、食の会話を思い出し、
今夜の酒のつまみにしようかな・・・。
▼ 数年前の初夏だ。
ワンボックスカーをレンタルし、
美瑛のパッチワークロードへ行った。
宿は富良野の郊外にとった。
男女8人だが、全員酒好きだった。
夕食は、ゆっくり飲みたいからと、
ホテル近くの居酒屋にした。
2階の広間に案内されたが、
他に客はなく、遠慮なく会話しながらお酒が進んだ。
しばらくして店員さんが、追加注文を訊きに来た。
お店のお勧めメニューを尋ねた。
「きょうは、アスパラのいいのがありますよ。」
迷わずそれを頼むことにした。
「茹でますか。焼きますか。炒めますか。天ぷらにもできます。」
店員さんの問いに、全員が沈黙した。迷った。
しばらくして、「じゃ、全部、一皿ずつ!」と声が上がった。
店員さんが2つ返事で退室してから、
話題は、『茹で、焼き、炒め、天ぷら』へ進んだ。
「どの食べ方が美味しいんだ?」。
お酒が入ってからの会話だ。
銘々が好き勝手に自分の好みを言った。
「どの食べ方でもいいじゃないか!」。
「人それぞれだ!」。
だが、アスパラはどれが一番美味しいのか。
気になった。結果がほしくなった。
そこで、提案があった。
「4皿を食べ比べて、多数決で決めよう」。
全員が同意した。
その後、トイレに立つ者はいたが、
なぜか、静かにアスパラの登場をみんなで待った
調理法の違う極太のアスパラ4皿が、
同時に運ばれてきた。
生ビール、日本酒、焼酎のお茶割、ハイボール等々、
それぞれ好みのお酒と一緒に、
4皿のアスパラを順々に、黙って食べた。
遂に評決の時が来た。
私は迷った。
炒めが一番と主張していたが、
食べ比べると違った。
素直に茹での美味しさを認め、
挙手することにした。
「茹で」が圧勝した。
「でも、焼きも美味しかった!」。
「焼きよりは、天ぷらだった」。
「オレは、茹でと炒めがきん差だった」。
その後も、その話題は長々と続いた。
以来、アスパラは茹でたのが一番美味しいと、
思い込んでいる。
▼ 自治会で催し物があると、
その後の懇親会はいつもいろいろな話題が沸騰し、楽しい。
その2次会の席だった。
10数人で残り物と、誰かが持ち込んだ一升瓶を囲んだ。
たまたまそのオードブルに、
カニかまがいくつも残っていた。
それが、引き金になった。
「蟹はなにが美味しいか」。
そんな話題になった。
全員、北海道民だ。
松葉ガニやタカアシガニを主張する者はいない。
毛ガニ派とタラバガニ派に大別された。
中には、蟹の部位について長々と語り、
『ザブトン』の美味しさのみを主張する者もいた。
私は毛ガニ派だが、
タラバのボリュームと大味さにも惹かれていた。
好みは二分し、意見は拮抗した。
そんな時、いつも物静かな方が突然言いだした。
「蟹は、花咲だべ。
あれは美味い。他の蟹は食べる気にならない。」
実は、店頭で花咲ガニを見たことはある。
だが、値も張り、食べたことがなかった。
興味がわいた。
彼は、長らく根室で暮らしていた。
花咲ガニの本場だと言う。
鮮度抜群のものを食べていたに違いない。
機会があったら、ご当地に出向き、
食べてみたい。
彼の一言に、心が動いていた。
相当、お酒が回っていた。
だから、その後の言葉の信ぴょう性は疑わしいが、
記す。
「きっと、花咲ガニって美味しいんだろうなあ。
毛ガニやタラバの味に比べ、どこが違うの?」
彼に向け、尋ねた方がいた。
彼は即答した。
「他は食べたことないから、わからない。
でも、蟹は花咲きがいい。」
大いに納得しながら、笑ってしまった。
嗜好はそれぞれだ。それでいいのだ。
何だって、比べることに、必ずしも真理はないのだから・・。
『アッパレ!』
ホオズキも実る <歴史の杜・野草園>
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