ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

「年齢と共に」 だが・・・

2020-01-18 20:31:31 | 思い
 ▼ 正月早々、孫の幼稚園行事に参加するため、
東京へ行った。
 この機会にと、
ショッピングモールでの買い物も楽しんだ。

 家内が会計レジに並んでいる間のことだった。
スポーツ用品売場をブラブラ歩いていると、
何やら強い口調が聞こえてきた。
 声の方に若干近寄り、様子をうかがった。

 売場通路の一角で、客らしい同世代の男性と、
店員らしい若者が向き合っていた。
 男性の言葉に店員は、何度も頭をさげ、
背中を丸くしていた。

 何か店に手違いでもあったのだろう。
それに男性が怒り、店員は詫びている。
 そう推測した。

 家内の会計レジも長かったが、
2人のやり取りも長く続いた。

 そしてついに、男性の怒鳴り声が大きくなった。
距離を置いていた私にもしっかりと聞こえた。

 「君は、そんなことも分からんのか。
店員の資格がないじゃないか。
 辞めてしまえ!」。

 男性は、今にも店員の胸ぐらを、
つかむかのような勢いだ。
 店員は、弱りきった表情で、
無言のまま再び深々と頭を下げた。

 私には全く関わりのないことだが、
男性の激高に異常さを感じ、不快に思えた。
 何とか怒りを収めてほしいと思いつつ、
その場をそっと離れるしかなかった。

 ▼ つい数日前のことだ。
『年と共に許容範囲が狭くなっているようだ。』
 こんな書き出しの某ブログがあった。

 筆者は、東京在住の方で、
きっと同世代だと思われる。
 彼は、以前と違い怒りへの許容範囲が狭くなったと、
自戒を込めながら、事例を上げていた。

 彼は怒っていた。
「歩きスマホ」「男のピアス」「女の鼻ピアス」
「若者のタトゥー」「男のポニーテール」が嫌いだと・・。

 そして次に、
「連れの女のハンドバックを持つ男」、
「優先席(外国語でも記載がある)に平気で座る中国人」
と、都会での1コマに苛立つ。

 さらに、自身の暮らしの周辺を取り上げる。

 電話をかける。
すると「一寸お待ち下さい」のその後、
聞き慣れた音楽がくり返し流れる。
 「こちらからかけ直します。」
電話口に長々と待たせるのなら、
「そんな気遣い位できないものか!」と・・。
 
 1人で飲食店の暖簾をくぐる。
すかさず店員が近づいて訊く。
 「何人様ですか。」
1人なのは見ればわかる。
 なのに、いつもどこでもそう訊いてくる。
彼は無言で指を1本出しながら、不機嫌になる。

 ▼ 某ブログにある全ての怒りに同調した。
そして、つい私の日常にある怒りを思い出した。
 これも、「年齢と共に」おとずれた感情に違いないと・・。

 冬のランニングは、
もっぱら総合体育館のコースでと決めている。
 館内では、多くの市民が、卓球やらバドミントン、
テニス、ウオーキングなどに汗を流している。
 
 ほとんどがマイカーで体育館までくる。
駐車場は、止める所がなくなるのが常だ。
 でも、歩いて5分もかからない駐車場は、
空きスペースがある。

 なのにだ。
「入り口付近への駐車はご遠慮ください。」
 そんな張り紙の前に、路駐する車が並ぶ。

 張り紙に気づかないの?
それとも、「今日だけは大目に見て」と、
甘えているの?     

 好天に恵まれた冬の朝だ。
明るい陽差しに誘われ、久しぶりに散歩に出る。

 深夜の降雪が、車道も歩道も真っ白にしていた。
私より先に、愛犬と一緒の足跡が続いている。
 しばらくその後を追って進む。

 すると、道路脇に新しい犬の糞がそのままあった。
もう、その後ろを歩く気になれず、道を変えた。
 「街中ではないから・・」。
そんな緩いマナーで、ペットを飼っていいのか。
   
 北海道は喫煙者率が高いと聞いた。
それに怒りなどはない。
 それぞれの嗜好の問題だ。

 しかし、子育て中のお母さんらしい方が、  
運転中にくわえたばこをしていた。
 これが、見苦しくてならない。

 確かに、喫煙場所が限られている。
マイカーの車内で一服は、最良なのかも知れない。

 時間に追われ、多忙な毎日での子育てだろう。 
だが、たばこをくわえた運転は、
私の許容範囲を超えている。
 つい、眉間にしわが寄ってしまう。
 
 ▼ ショッピングモールでの男性の激高も、
某ブログの筆者や私の許容範囲の狭さも、
年齢が招いていることと納得していた。

 ところが、
友人・知人から届いた年賀状の1通が気になり、
読み返してみた。

 毎年頂く大先輩からの今年の賀状に、
こんな言葉が並んでいた。
 大目玉をくらった気持ちになった。 

 ◎ 今回は 老いるショックの 特報便
 ≪今年中に92歳になるボクの生活報告です≫
 ◎ 腰痛に なりたくないと 背を伸ばし
 ≪「曲がったね」と、言われないように気を付けています≫
 ◎ 姿勢よく、してるつもりが、席立たれ
 ≪他人様の、温かい思いやりには、感謝です≫
 ◎ 教え子の「賀状遠慮」に また ショック
 ≪「80歳になったので」とのご挨拶を頂いたのでした≫
 ◎ ONE TEAM タピるもペイも 無縁です
 ≪どうしても、流行には、追い付けそうもありません≫

 20年も先を行く方の暮らしぶりだ。
腰痛への日々の心得、席を譲られた落胆、
ショックと言いながら80歳からの「賀状遠慮」をなげき、
さらには、流行には無縁としながらも、
興味津々さがありありと伝わってきた。
 
 『老いるショック』と言いつつ、
微塵も老け込んでいない。
 怒りの沸点を下げたことを年齢のせいにし、
それに共感する私。
 もう赤面するしかなくなってしまった。 

 

冬の洞爺湖と 
近持イオリ作「THE EARTH VIBRATION ーTOYAー」

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