サザン・バタフライ ~宮古島・旅紀行 ⑮
(閑話休題)
宮古島で出会った蝶類を振り返ってみた。
南国の蝶ということで、関西で見かけることは一部を除いて、まずない。
一番、多く見かけたのが「ベニモンアゲハ」と「シロオビアゲハ」の黒いアゲハチョウ。
「ベニモンアゲハ」は、名前の通り後翅の周縁に紅色の小紋と中央の白い紋があるのが特徴で特に鮮やかな紅色はひときわ目を引く。
南西諸島に分布し、幼虫は食草ウマノスズクサ科植物に含まれる毒成分アルカロイドを体内に蓄えるため、成虫にも毒がある。
鳥などが食べるとまずくて吐き出し、鳥は以後食べるのを避けるようになる。
毒々しい色合いは鳥に対する目印になっていると考えられている。
翅が損傷してくると、「シロオビアゲハ」と混同しそうになるが、この記事を書くため調べていると、驚愕の事実が明らかになった。
「シロオビアゲハ」は後翅に白い斑点が列を成していて、翅を縦断する白い帯模様を形成する。
熱帯域に広く分布し、日本ではトカラ列島以南の南西諸島に分布する。
驚愕の事実というのは「シロオビアゲハ」の雌は遺伝的に2型があるということ。
2型とは雄と同じく後翅に白い帯がある「通常型」、そしてもう1つが、後翅に白い帯に加えて赤色の斑点がある「ベニモン型」である。
つまり、毒のない「シロオビアゲハ」が毒のある「ベニモンアゲハ」に成りすましているのである。
人間にも、逆に毒があるのに、毒がないふうにみせている奴、力がないのに力があるようにみせかけている奴等々いるが、生物界では更に上手がいるということだ。
「リュウキュウアサギマダラ」は奄美大島以南の南西諸島に分布する。
この幼虫もガガイモ科の植物を食べ、アルカロイドを取り込んで有毒になり、 成虫にも毒がある。
「ナミエシロチョウ」は沖縄県やトカラ列島に分布する。
モンシロチョウ、モンキチョウの南方系である。
写真はメスの個体だが、翅の表側はシロチョウの名前の通り、白色になっており翅の裏側の大部分が黄色になっている。
「スジグロカバマダラ」は宮古島以南の南西諸島に生息するマダラチョウの一種。
この幼虫も有毒のリュウキュウガシワを食べ、この植物の毒を体内に蓄積している。
成虫になってからも毒を保有しており、それをアピールするために派手な模様をしている。
「ルリタテハ」は全国的な蝶ではあるが、私は当地で初遭遇。
紺色地にルリ色のラインが特徴的なタテハチョウで翅の裏側は樹肌そっくり。
夫々に生きるのも楽じゃない。
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