白馬村逍遥 ③ ~雪形が見える里
桜が今年最後の花びらを煌かせた。
北アルプスの雪形は春の残り香。
そして、この村では夕陽を見ることができない。
なぜなら、3000mクラスのアルプスがブラインドになるから。
映りこみは、ときとして、現実より、美しいときがある。
それは、往々にして、我々の周りに、よくある。
この路の先に大雪渓がある。
かつての記憶がそう告げる。
「おびなたの湯」・・・日本屈指の強アルカリ泉。極上の湯。
里の暮らしがいつも、穏やかだとは限らない。
鳥人たちが空に駆け上がった、あの日。皆が歓喜したジャンプ台。
雪形が見える里にて。
八方尾根、遠望。