寒牡丹の咲くころ ~中将姫伝説と石光寺 ①
中将姫伝説が残る葛城市の石光寺(せっこうじ)は奈良で、もっとも好きなお寺のひとつである。
石光寺は中将姫の蓮糸曼荼羅織成伝説ゆかりの地として知られ、境内には伝説にちなむ「染の井」と「糸掛桜」がある。中将姫は伝説上の人物で、大納言藤原豊成の娘とされる。説話によれば、美貌で知られた中将姫は17歳で出家した。ある日、中将姫は、蓮の茎を集め、糸を採り出し、石光寺の庭に掘った井戸に糸を浸したところ5色に染まった。中将姫はそのハス糸で一夜のうちに当麻曼荼羅を織りあげた。天平宝字7年(763年)のことという。その井戸は、染の井と呼ばれ、その際、糸を掛けた桜が糸掛け桜であるという。(Wikipedia「中将姫伝説」より)
その石光寺に”寒牡丹”を見に行った。
寒牡丹と冬牡丹は別品種であり、寒牡丹が見れるのは、私の知る限り、ここ、石光寺だけ。
春に咲く華麗な牡丹を促成栽培技術により、冬に咲かしているのが”冬牡丹”。
これに対して、”寒牡丹”は春と初冬に花をつける二季咲きの変種(冬と知って育ち、冬と認識しながら咲いた)で、葉っぱがほとんどない。
また、茎や枝が黒く、30年の寿命を持つものもある。
厳しい冬を乗り越えて咲く”寒牡丹”だけに、その美しさも格別である。
菰を被った寒牡丹に中将姫を偲ぶ。