能登半島・災害ボランティアと視察 ③ ~「ボランティアキャンプすず」
被災した自治体では「災害ボランティアセンター」を開設して、被災者のニーズの集約やボランティアとのマッチングを行っている。
その運営主体は社会福祉協議会である。
珠洲市社会福祉協議会による災害ボランティアセンター。
ボランティア募集が実施され、コーディネートされた上で金沢などの主要都市からボランティアバスにて、現場に向かうのが一般的である。
個人が闇雲に被災地に向かうのでは逆に地元に迷惑をかけることになるからだ。
ところが、能登半島最先端の珠洲市ではバスの場合、終日ボランティア活動に参加するのが難しく、その解消のため、滞在拠点となるベースキャンプ「ボランティアキャンプ すず」が「鉢ヶ崎オートキャンプ場」内に開設されている。
キャンプ場を運営するのは「ボランティアキャンプすず運営協議会」、テントの設置は「アウトドア義援隊」で(株)モンベル等が協力している。
「ボランティアキャンプ すず」に行く前にメールにて様々な問い合わせをしたのだが、受け答えをしてくださったのは実は東京にいる法政大学の先生だった。
(到着するまで、てっきり、キャンプ場の管理者相手にメールしているのだと思っていた。)
法政大学も運営に協力されているようだ。ありがとうございました。
今回、私は直接、「ボランティアキャンプ すず」に予約したが、活動についても社協とコーディネートしてもらえた。
できるかぎりの装備も揃えた。
ところが、現地に到着した9月21日、線状降水帯発生により天気は急変し、まさかの豪雨災害が発生した。
到着時は雨も小降り状態だったのだが。
食事場所や備品置き場のため、5連の大テントが繋がって設置されており、ボランティアの交流場所となっている。
またの名を宴会場ともいうが、この日は緊迫感に溢れていた。
テントには様々な備品が用意されている。多くは皆さんの寄付である。
宿泊はテント泊、車中泊、どちらでも自由なのだが、夜になると雨足が激しさを増してきたため、私は車中泊することに。
そのうち、報道により事態が切迫していることを知る。
ついには避難警報が発令されたので、テント泊しかできない方は別所に避難した。
その夜、滝のような雨を経験することになる。
雨音がショパンの調べなら、よかったのだが、車の屋根をドラムを連打するように雨が叩きつけ、結局、殆ど、眠れなかった。
もしかしたら、この雨でキャンプ場が孤立するのではないかと危惧した。
「裏山が崩れるのではないか、側の川が氾濫するのではないか」と危惧している人たちの気持ちを実感することになった。
翌日、昼前に雨は上がったがキャンプ場は泥だらけ。テント内にも排水溝を掘らねばならない。
各地から、ツワモノ・ボランティアが集まっていた。
21日夜、能登のニュースを聞いて、関西から豪雨のなか、夜中に車を飛ばして早朝にキャンプ入りしたボランティアさんがいた。
何回もボランティアに来ている人は地元の人との繋がりができているので他人事とは思えないのだろう。
彼女は横浜から雨の中、スクーターで駆け付けた。一週間ほど、会社を休むという。
翌々日はボランティア日和だったが早朝から、断水したのでキャンプ場に備蓄している雨水を使う。
AM8時、ボランティア出発前の打ち合わせ。
今日は市内の食品倉庫から庫内の泥を掻きだして欲しいという依頼だった。
断水しているので、使用する水をタンクに詰める。
鉢ヶ崎オートキャンプ場の近くには、瓦礫や流木の集積場があった。
都会では考えられないがスペースがあるというのは利点である。
豪雨による被害は正月の地震以来の惨事になっていた。