薬師寺・双塔 ~白鳳時代の “凍れる音楽”
薬師寺は日本で初めて東西に二つの塔を建立した双塔式伽藍として有名だが、子どものころ、初めて、薬師寺に連れて来てもらったときは東塔だけしかなかった。
東塔は730年造営の国宝で各層に裳階(もこし)を付けているため六重にもみえる三重塔。
そのとき、解説いただいたのは名物管長の高田好胤さんだったと思うのだが、明治時代の美術研究家フェノロサが、この東塔を見上げて「凍れる音楽」だと絶賛したと教えていただいた。
そのあと、それは都市伝説だったと聞いたが、この「凍れる音楽」という言葉がずっと耳に残っていた。
「凍れる音楽」とは東塔の真上に掲げられた水煙に描かれている天女が奏でる音楽のことだと今まで思い込んでいた。
それから、焼失していた西塔が再建されたが、今度は東塔が修理のため解体され、何度か参詣したのに、12年間にわたり双塔を同時に見ることは叶わなかった。
今回が東塔の修理が完了してから、初めての薬師寺参詣となった。
遠くからではなく、まじかで双塔を同時に見るのは初めてだった。
「凍れる音楽」の「凍れる」とは「不朽の」という意味で建造物を称賛する言葉だという。
それでも、私は白鳳時代の天女が奏でる「凍れる音楽」を聴いてみたいと思うのだ。
西塔から東塔を遠望する。
薬師寺を鎮守する休ヶ岡八幡宮。
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