定年退職を迎えると、人はどんな立場に立たされるのか考えてみた。
1、社会とのつながりがなくなり、最悪は閉じ篭り状態になる。
2、義務から解放され、目標を失う。
3、家庭での自分の役割がなくなり、居場所を失う。
4、収入がなくなり発言力がなくなる。
5、孤独感と、無力感に襲われる。
デメリットはいくつも思い浮かぶ。今になって自分の親を思い起こすと、このデメリットをそのまま生きて人生を終えたのではないかと気付かされる。
まるで役目を終えた何かのように、砂をかむような空しい余生を送ったのではなかったか。
子である私は自立し、親に眼を向けることなど考えもしなかった。たまに田舎に帰った時に、親父が「いるやろ」とふところから千円札を出して差し出した姿を今も眼に焼きついている。
「いらんさか、自分で使えよ」と断ったら、差し出した手が宙に浮いたままだった。その震えるような手が心に妙に悲しく残り続けているのだ。
その理由が、自分が定年を目前にして始めて本当に理解できたような気がする。
役目を終えて、世捨て人のような意識から抜け出せず、デメリットの中で空しい人生を送っている人々は一体どれほどいるのだろうか。
絵はこのデメリットをメリットに変える。それをうまく人に伝えられたら、親父のような人の手助けになるのではないか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます