熊本県を代表する民謡の一つ「五木の子守唄」。貧しさゆえに幼くして親元を離れ、子守に出された悲しい境遇の子どもたちを歌ったこの唄は、日本一悲しいメロディと言ってもいいだろう。テレビでアフリカの貧しい子どもたちの実態を見ても、身近な出来事とは思えないが、ほんの50数年前まで日本も同じように貧しかった。幼い頃、父や母方の祖父から聞いた話では、身売り同然で働きに出された子どもは戦後までたくさんいたという。「ザ・わらべ」の妹分、「こわらべ」ちゃんたちの踊りがあまりにも可愛いがゆえに、贈られる歓声と拍手を聞きながら、いっそう複雑な想いを禁じえなかった。