徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

枕草子 by 清少納言

2014-10-02 14:26:22 | 文芸
 「100分 de 名著」(NHK-Eテレ)は昨夜から「枕草子」が始まった。作者の清少納言の名前とともに、中学生の頃から知っているが、じっくり読んだことはない。ほんの数年前から父親の肥後国司を務めた清原元輔に興味が湧き、そのついでに娘の清少納言の「枕草子」も断片的ではあるが、時々目を通すようになった。そういうわけで今回の番組は僕にとってとてもタイムリーである。

【第1回のシノプシス】
 清少納言は宮中で使われた名前で本名はわかっていません。出仕した時の年齢は30歳くらい。10年連れ添った夫と離婚した後でした。注目すべきは父親です。清原元輔(きよはらのもとすけ)といえば和歌の世界にその名をとどろかせたスーパースター。勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)に100首を超える歌が選ばれるほどの偉大な才能です。娘の清少納言もまた和歌や漢文の深い教養を身につけていました。まさに宮中が探していた人材だったのです。
 天皇は宮中の清涼殿に住んでいました。そしておきさきは登花殿という部屋を使っていました。そこでおきさきが主催するサロンが重要な役割を果たしていたのです。サロンとは天皇や他の貴族を歓待するための社交の場です。清少納言もその文才を活かしてサロンの一員として活躍できると見込まれたのです。サロンの中心は定子(ていし)。17歳の美しいおきさきでした。和歌や漢文に通じ、見事な手腕でサロンを運営するスーパーウーマン。清少納言はそんな定子に魅了されてしまいます。枕草子には二人の関係を表す興味深いエピソードが記されています。
 ある冬の日のこと。雪が深く降り積もっているのに窓の格子が下されたままでした。清少納言たちがくつろいでいると、定子が突然、「香炉峰の雪はどんなであろう?」とおたずねになられたのです。みんながポカンとしているなか、清少納言は定子の意図を察し、格子や御簾を上げて外の雪が見えるようにしました。定子の問いかけは中国の詩人白居易の詩の一節「香炉峰の雪は簾をかかげてこれを看る」を踏まえたものだったのです。中国の古典に精通した者同士ならではの「あうん」の呼吸。こうしてその才能を高く評価された清少納言。定子の勧めもあって宮中での出来事を「枕草子」にしたためていったのです。