徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

花道のはなし。

2015-02-16 21:21:06 | 音楽芸能


 歌舞伎の舞台には花道と呼ばれる道がある。観客席を縦に貫いて正面の舞台へ役者が出入りする道のことだ。江戸時代初期、出雲阿国によって創始されたという歌舞伎は、江戸前期にはほぼ今日と同じような舞台の形が出来あがったという。出雲阿国は能舞台と同じ形の舞台を設えて興行していたらしく、歌舞伎の花道は、能舞台の「橋掛かり」の形を変えたものという説もある。たしかに「阿国歌舞伎図屏風」を見ると地方の四拍子の左側に「橋掛かり」があり、その説もうなずける。
 一方、花道は芝居を野天でやっていた時代の名残りで、もともと役者に花や祝儀を贈るための通路であったという説もある。おそらく屋根付きの芝居小屋が普及し始めた頃、その両方の性格を併せ持った道が考案されたのかもしれない。
 いずれにせよ、花道は客席に近く、役者を間近で見ることができるし、何といっても出と入の客の視線を集めて華やかな雰囲気づくりには欠かせないものとなっている。


阿国歌舞伎図屏風(一部)