漱石夫人の夏目鏡子さんが口述し、娘婿の松岡譲さんが筆録した「漱石の思い出」を読んでいると、関係者しか知り得ない漱石作品の「behind the scenes」を見るようでなかなか興味深い。
その中の一つ、「草枕」の一節、画工が「那古井の宿」の浴場に入っている時、湯煙の中に「那美さん」が手拭いを下げて湯壺へ降りてくる場面についての鏡子夫人の証言が面白い。
小説の登場人物は画工と那美さんの二人だけだが、実際には漱石と同行した山川信次郎の二人が浴槽に入っているところへ裸で入って来た前田の姉さん(那美さんのモデル)がびっくりしてあわてて逃げ出したが、実は別の女中さんも裸になりかけていたというのが真相のようだ。また、漱石と山川信次郎は、名士を迎えるために造られたというこの前田家別邸で一番上等の「三番の部屋」に逗留したが、家の人たちはみな「三番のご夫婦さん」と呼んでいたそうで、二人の関係性がうかがわれる。
「三番の部屋」と呼ばれた漱石が逗留した部屋
小説にはこう描かれている。
松岡映丘筆「草枕絵巻・湯煙の女」
浴槽
その中の一つ、「草枕」の一節、画工が「那古井の宿」の浴場に入っている時、湯煙の中に「那美さん」が手拭いを下げて湯壺へ降りてくる場面についての鏡子夫人の証言が面白い。
小説の登場人物は画工と那美さんの二人だけだが、実際には漱石と同行した山川信次郎の二人が浴槽に入っているところへ裸で入って来た前田の姉さん(那美さんのモデル)がびっくりしてあわてて逃げ出したが、実は別の女中さんも裸になりかけていたというのが真相のようだ。また、漱石と山川信次郎は、名士を迎えるために造られたというこの前田家別邸で一番上等の「三番の部屋」に逗留したが、家の人たちはみな「三番のご夫婦さん」と呼んでいたそうで、二人の関係性がうかがわれる。
「三番の部屋」と呼ばれた漱石が逗留した部屋
小説にはこう描かれている。
松岡映丘筆「草枕絵巻・湯煙の女」
浴槽
草枕で印象に残る場面です。松岡氏の日本画も初めて見ました。こういう場面は日本画しか表現できないですね。
朝から良いものを見せていただきありがとうございます。
おっしゃるように「草枕」の中でも印象深いシーンの一つですよね。
鏡子夫人の話を読んだうえで、松岡映丘の絵を見ながら原文を読みますと、漱石が遭遇した出来事をどういう風に小説化したのかがわかるような気がして面白いですね(^^♪
私も時々、ブログから離れて思考回路をリセットしたくなり、実際何日か離れてみたことがあるのですが、そうすると不思議にいろんなアイディアが湧いてきてすぐに再開したことがあります。
お早い復帰をお待ちいたします!