徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

いまに生きるハーン

2024-11-16 21:07:24 | イベント
 今日は「小泉八雲没後120年記念事業」としてホテル熊本テルサで行われた小泉凡さん(八雲の曽孫)の講演を聴きに行った。凡さんは島根県立大学などで教鞭をとっておられるのでどんな講話になるのか楽しみだった。すると汎さんはパワーポイントを使ったビジネス・プレゼンテーションのようなスタイルで進行された。お話を聴きながら曽祖父・ハーン先生の五高時代の授業の話を思い出した。五高の教え子である村川堅固氏は五高の「 龍南会雑誌第二百号)の中で「母校に於ける小泉八雲先生」と題してハーン先生の教授法を次のように語っておられる。

――先生の教授法は一種独特のものであった。例えば文法を教えらるるにも教科書を用いらるるでなし、また口授筆記をさるるでなし、教場に入られて、出訣(欠)をつけらるる。それからクルリと振り返って、黒板に向い、チョークを取って、左の上の隅から文法を書き始められる。生徒は黙々としてそれを写す。その書かるるのはいささかの渋滞なく、時間の終わりの鐘のなるまで続く。鐘が鳴ると一礼して退出さるる。かくして写しきった筆記帳を放課後読んでみると、秩序整然、しかも日本学生にとって最も適切な文法上の注意が与えられている。先生は一片の原稿もなく、全時間いささかの淀みなく書き続けられ、しかもそれが極めて整ったものであったのは驚くべき技倆と思う。これは先生の天稟の文才もあったろうが、教場に出らるるまでには、頭の中で十分練って来られたことと思う。――

 時代背景が異なるので一概にどうとは言えないが、もしハーンの時代に、パソコンやパワーポイントやプロジェクターがあったなら、同じような使い方をされたかもしれない。
 講話の内容は現代社会と呼応する新しいハーンの世界が見直されているという話が中心だったが、それについては別の機会に取り上げたい。
 ハーンが10年間を過ごしたニューオーリンズでは、毎年2月に行われるマルディグラ・カーニバル(謝肉祭)において、ハーンにちなんだ山車がつくられ、100万人の観客の前を練り歩いたという話があったので「マルディグラ・イン・ニューオーリンズ」を聴いてみた。