鉱物に宇宙の神秘を観た宮沢賢治が観たら歓喜するに違いないのが、糸魚川産の金華石。
原石は茶色い地味な姿だが、中身は泥岩と石英の海に黄鉄鉱と瑪瑙の華が浮かび上がるアバンギャルドさ。
表面の窓の中に、瑪瑙の葡萄状結晶が覗く趣向を凝らしてみたが、どうですか宮沢さん!
ヒスイは複数の鉱物が集まった多結晶鉱物だが、金華石は更に極端に物理特性の違う鉱物の集まりだから、石笛の音質も重層的な響き。
プロの演奏家も同じ意見で、その倍音特性は豊潤で馥郁たる「倍音キング」の異名を持つ(ヤマダ談)
堅さの違う鉱物の集まりだからルースのような平面的なモノなら誤魔化せても、立体造形だと形が歪になったり表面が平滑ではなかったりと、モロに技術が露呈する勉強になる石。
加工すると硫化水素の匂い(いわゆる硫黄質の温泉の匂い)が漂い温泉気分が味わえるので、注文仕事に疲れたら箸休め的に遊ばせてもらう。
旅に出たくても出れないので、工房に籠ってしばしの宇宙旅行のつもり。
それがゲイジュツというものなのでR!と自分を納得させる(笑)