小さい頃から空瓶を見ると片っ端から息を吹込んで音を出す遊びが好きで、いい歳をして今でもついやってしまう。
だから石笛を初めて吹いた時も最初から簡単に音は出た。
プロの音楽家が半年かかってやっと音が出るくらいに石笛の演奏は難しいと聞いてビックリしたことがあるが、音楽の素養があっても子供時代に自分で遊びを見つける能力を身につけていない人は空き瓶を観ても単に空き瓶でしかないということだろう。
今日は手元にあった一升瓶を何気なく電球に透かして見たらとても綺麗だった・・・中に入ってみたいなあと、我ながら子供のような感想を持った。
そこで中に入る代わりにデジカメで撮った写真がこれ!
茶色の一升瓶!・・・まるでタイムトンネルみたいだ(実物は知らん)
緑の一升瓶・・・ピントを底に合わせたら満月みたいになった。
横から撮影したら、未知との遭遇みたい!
面白くなってガラス瓶を探して歩いて発見した青いガラス瓶・・・ガニメデ星雲?
どうですか?説明が無いととても一升瓶とは思えないでしょ?
ピントや光源を工夫したりで一時間は遊んでしまったが、まだまだアイデアは尽きないのだ。
俺ってもしかしたら天才かも・・・。
友人が糸魚川の海岸で拾った赤碧玉をプレゼントしてくれた。
別名を鉄石英、英語だとレッドジャスパーと呼び、縄文時代には黒曜石、チャート、頁岩と並んで矢尻が作られていた。
特に佐渡産は「赤玉」と珍重され、古墳時代には勾玉や管玉が作られていた。
これから勾玉も作る予定だが、まず小手調べに石笛を作ってみた。
切断してみたら流石に硬い・・・しかもダイヤモンドカッターの摩擦抵抗を減らすための水が血のように真っ赤になった!
最初はヒスイ以上に時間がかかったが、俺はヒスイ以外にも色んな石材を加工しているからそんな場合のノウハウがあるから工夫したらスイスイと切断完了!
研磨してみたら、最初の180番だけで光沢が出た。
肌理の細かい石質・・・よしよし、いい子だ・・・とニンマリする。
世界初?の赤碧玉の石笛は、硬質な音色。
透明な石英部分も混ざっていて、いい景色だ・・・売りたくないなあ(笑)
下の写真は、赤碧玉・ヒスイ・珪質頁岩の石笛揃い踏みだ。
ヒスイの石笛は、明るい灰色に黒いゴマ粒状の霞模様が入っているが、これでもラベンダーヒスイの仲間である。
このヒスイもあまり製品にする人はいないが、渋い味があって俺は好きだ。
もっと詳しくご覧になりたい場合は「ぬなかわヒスイ工房」を検索して下さい。
http://nunakawa.ocnk.net/
ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ!
今回は軽トラキャンピングカーの居住性をよくする工夫である。
キャンピングカーだから、快適に寝る工夫は必須だ。
快適に寝るには敷物が肝心。
敷物にはキャンプ用のマットの利用は誰でも考えること。
しかしキャンピングマットは収納性がよい反面、ロールになっていたりジャバラになっていたりの収納時のクセが付いていて、寝ないと平らになってくれない欠点がある。
また高価である点、狭くて薄いという点も欠点といえば欠点だ。
イチオシはホームセンターで売っている発砲ウレタン製のお風呂マット(風呂スノコ)で、俺はかなり前からアウトドア遊びの友としている。
まず非常に安い。
俺の愛用品は長さ80×幅60×厚み2㎝の固めのウレタン製で、1枚たったの498円也!
柔かいマットは、高価なクセにだんだんとヘタってくる。
縦に2枚使用時。
こいつを4枚並べると軽トラの荷台に丁度うまい寸法に収まってくれるので、カップルでも寝るスペースが確保できる(と思われる・・・笑)。
スノコ状になっているから、多少の雨漏りや結露も安心できるし、外で焚火する時には尻の下の敷物にしても具合がいい。
寒い時にはお風呂マットを一番下にして、中間に炬燵の下に敷くギンマット、更に毛布かキャンプ用マットを敷くとかなり快適だ。
キャンプ用マットに比べて嵩張るのが難点だが、普通車に乗っていた時にもトランクの下敷きにしていた。
こうすれば荷物の緩衝材にもなるし、突然のアウトドア遊びにも使えるのである。
例えば大雨や雪の中でパンクしたタイヤを交換する時なんかも膝が付けて重宝する。
もちろん、スタックした時にはタイヤの下に入れてスリップ防止材にすることもできる・・・やったことないけど・・・。
俺はマリンスポーツもするが、砂浜ではお風呂マットの上でウエットスーツを脱ぐと、砂がウエットに付き難いので便利だ。
地べたに座ってバーベキューをする時の敷物には、キャンプ用マットだと薄くて狭いので、お風呂マットの方が断然いい。
地面の多少の凸凹や小石があっても気にならないし、汚れが傷がついても丈夫で安いので気楽な点も有難い。
突然のアウトドア遊びに使えるということは、突然にサバイバル状況になった時にも活躍するということだ。
それなりの浮力もあるから、掴まっていれば助かるという事態もあるだろうし、頭の保護や風除けや雨除けにもなるということ。
便利ですよう。
糸魚川市には、県立海洋高校(旧能生水産高校)がある。
報道では、海洋高校の相撲部やダイビングなどの全国的な活躍が伝えられており、県内唯一の水産高校とのことで他県や市外からの入校希望者もいるとも聞く。
ところがだ・・・市内在住の登山家の青田浩さんから紹介された、海洋高校のM先生から意外な相談を寄せられたのは昨年暮れのこと。
海洋高校のM先生と会食!
二年前は、上越市の総合技術高校(かっての高田工業高校)の、やはりM先生からコンクリートカヌーの設計・施工の相談を求められて交流していたが、新潟の高校には熱心な先生がいるもんだ。
M先生によると海洋高校への入学者は年々減少傾向にあり、現在は一学年に3クラスにまで減っているとのことだ。
このままでは伝統ある海洋高校が消滅してしまう・・・M先生はそのことに非常に強い危機感を持っており、なんとか海洋高校ここに在り!と内外に示したいと目を付けたのが、海の高校らしくシーカヤックの活用だ。
将来的には高校生たちにシーカヤックやカッターでの、糸魚川市~佐渡の海峡を横断させたいとの夢を聞かせて貰った。
彼らは昨年に能生~筒石間の11キロ程度の片道航海も成功させているとの事。
結構なことだが・・・糸魚川市~佐渡までは最短距離で100キロもあり、時速5キロで漕いでも20時間はかかるので、アスリートクラスでもなければ実現は前途多難と・・・と一緒に飯を食いながら俺は答えた。
20時間の航海ともなれば夜間も海の上であることは必定で、漕ぎ手の交代も必要になるだろうが、日本海にだって大きくて危険なサメは稀にいる。
20年ほど前にはシーカヤックで佐渡~柏崎間の横断をしたグループが、昼にも関わらずシャークアタック・・・つまりサメに船体を齧られて1隻が沈没した事件もあるのだ。
その時には全長4mのシーカヤックよりでかいサメが突然噛り付いてきたとも聞いているが、その一週間前に俺もウインドサ-フィンで同じ航路を横断していた。
俺たちは無邪気にも、昼休憩の時には海況の真ん中で海に潜ったり泳いだりしていたのに、暢気なもんである。
しかし夜間の航海は危険度が高くなる。
M先生から連れて行って貰ったのが、上越市の七福食堂。名物がオムライスの大盛りとのことであったので注文したら、総重量2キロの巨大なオムライスが出てきた!ご飯だけで三合あるらしい・・・
俺は「メシは残すな!」を座右の銘とする男。
食った!吐くほど食った!舐めんなよう!と意地になって食った!!!
俺はその代替案として、例えば親不知・子不知間の15キロ航海や、日本海縄文カヌープロジェクトが保有する縄文カヌーや、友人の葦船野郎の石川仁を呼んで、小型葦船の手作り体験会なども提案した。
葦船プロジェクトはこちら
http://kamuna.net/
その気になれば、波板トタンで簡単なカヌーを作ってミニ航海だってできる。
折よく、中村造船の社長から地元中学の某教諭も海を利用したイベントを企画したいという希望を持っているとの噂も聞いた。
面白くなってきた・・・中学校と海洋高校、そして市民団体の日本海縄文カヌープロジェクトが連携して、海で遊ぶのだ。
俺は食っても食っても一向に減らない目の前の巨大オムレツに誓った。
我は海の子也!海の遊びならひと肌脱いじゃるケン!と。
海洋高校に喝!活!!舐めんなよ巨大オムレツに勝つ!!!
とりあえず巨大オムレツには勝った!どうだ参ったか!!
2キロきっかり増えた体重は重かった・・・戦いに勝利した後は虚しいぜ。
今年の夏も忙しくなりそう・・・。
山梨県が記録的な大雪で激甚災害指定となって、我らが泉田新潟県知事が素早く除雪車派遣をしたとフェイスブックで高評価されている。
イザという時に頼りになる知事だ。
知人には大雪で車が出せずに、食料品の買い物どころか灯油が尽きて暖房に困っているという人もいた。
備えあれば憂いなし・・・今回はお奨めのサバイバルグッズの紹介。
以前にも紹介したけど、それは廃車になった車から取ったシートベルトだ。
スタックした車の牽引に使えるくらい丈夫で、俺は普段から愛車に輪っかにした状態で四~五本は積んでいる。
シートベルトは軽くて柔軟だから、軽トラの運転席裏の狭い空間に収納できるくらいに収納性は抜群だし、工夫次第で重量物の移動や命綱と多用途に使える。
サバイバルグッズというと、キャンプ用品などが紹介される事が多いが、本当のサバイバル状態では「壊れず・多用途・どこにでもある」道具が威力を発揮すると思う。
例えばこんな使い方はいかが?
モデルは五歳児の母のM嬢(推定年齢三〇代半ば・小柄)。
ポリタンに満タンの20キロの水や灯油を運ぶには、男でも大変だ。
でもポリタンにクラブヒッチでシートベルトを結わえて、額で持上げれば女性でも移動が楽になる。
前傾気味になれば額から腰骨に掛けて重量を分散できるので、腕で持つより格段に楽なので、俺は体験会でも紹介している。
雪の上を滑らせてもいい。
この方式は、アイヌ民族の背負子(ニエシケ)と背負い縄(タラ)を参考に考案した。
背負い紐を肩に担ぐ和式の背負子だと手が不自由になることと、もし山道で熊に出会ってしまった時でも、額を上げれば簡単に背負子を捨てて逃げられるという理由で、アイヌ民族はこの方式の背負子なのだということ。
出典先・・・「アイヌの民具」 萱野茂著より
また昔に観たフランス映画にも、アイヌ民族と同様に、ジプシー女が平べったい紐を額に固定して大量の薪を運ぶ場面があった。
ポリタンへの固定は、輪っかにしたシートベルトを取っ手に通して、再び輪っかをくぐらせるだけのクラブヒッチ。
ポリタンがちょうど腰に乗る位置に、輪っかを調整しておくのがコツ。
両手は左右の輪っかを持つか、M嬢のように荷物を抑える事。
例えば自重180キロもある丸木舟の人力移動には、前後2ヶ所で二重にしたシートベルトに単管パイプを差せば、男4人で担いでの移動も可能だ。
本来、このような重量物移動には、スリングという平べったい専用具を使うが、高価なのと重量物移動以外には用途が無いのが難点。
その点、シートベルトも平べったい形状だが、スリングより薄くて柔軟なので移動したい重量物にピッタリと馴染んでくれるので有難い。
これを応用すれば担架や負ぶい紐を作って怪我人の移動にも使えるが、ロープだと馴染みが悪いので滑って危険なこともある。
それに柔かくて色んな形状に馴染む特性は、人命救助や命綱として、身体に食い込みにくいという特性でもあり、威力を発揮する・・・と思う(笑)
スクラップ屋さんに行けば只で分けて貰えるが、それなりのお礼はしたい。
通常の車から取れるのは長さ2.3m程度の長さしかないので、俺は用途によって一重継ぎや舫結びなどで繋いだりしている。
シートベルトを多用途に使うために覚えておくと便利なロープワークは、簡単な順にクラブヒッチ・本結び・八の字結び・一重継ぎ・二重継ぎ・舫結び・・・。
一家に一本は用意したいサバイバル用品。
車には積んでおきたいエマージェンシーツール。
しかも廃物利用でエコロジー、そして只で入手可能という点が素晴らしい。
アイデアをシェアして頂く分には構いませんが、他のブログや雑誌でこのアイデアを紹介したい場合は、エチケットとしてご一報くださるようお願い致します。
追記
残念なことに、このブログで紹介しているアイデアを無断でパクる人が過去にいました。
バックパッカーにも色んな楽しみ方をしているヤツがいる。
俺の場合は、旅先で市場や路地裏の探検、職人のモノつくり現場を観て歩くのが好きだし、それがしたいから旅に出るといってもいいくらい。
映画も好きだから、世界最大の映画市場を持つインドに行くとインド映画も観る。
インド映画で一番好きな女優は、ジュヒー・チャウラー様。
この写真は、インドの路上で買ったブロマイドのコレクションの一つ。
褐色の肌には、バラより蘭が似合います。口角がキュッと上がったところ堪らない!
この写真も路上で買ったブロマイドだが、背景があんまり(笑)。
恐らく撮影所の隅で撮影待ちの間に適当に撮影したんだろうなあと、インド人の大雑把さに思わず笑ってしまう。
文句ない美女には、背景や写真修正ソフトは必要ないでしょ!ってジュヒー様の声が聞こえそうだ。
彼女はオードリー・ヘップバーンを肉感的にした美貌と気品に加え、グラマスな肉体を持つ元ミスインドで、コメディーからシリアスまで役幅も広い。
でも彼女のはまり役はラブコメディーの天真爛漫なお金持ちのお嬢さん役だ。
言い寄る男達を翻弄して、時には肘鉄をピシャリと決める気の強いお嬢様役。
本人もコメディー映画出演が好きなようで、テレビで「コメディーはテクニックじゃないわ!現場で楽しむ雰囲気作りが大事なの」って流暢な英語で答えていた。
役柄のイメージから彼女はB型・サソリ座であろうと踏んでいたが、インドの映画ファンに聞いたら、血液型は不明だがやはりサソリ座とのことであった。
やっぱり!俺は直情径行のオヒツジ座だから、神秘的な雰囲気を持つサソリ座に弱いからよく解るのでR!
インドは広いので、州が違うと売っているブロマイドの種類も変わってくるから、俺のような趣味を持っていると町歩きは宝探しの様相を呈してくる。
肖像権なんか無視して、各地で勝手にブロマイドを作っているのではなかろうか?
集めたジュヒー様のブロマイドの一部。
だからインド人にコレクションのジュヒー様のブロマイドを見せると
「これ持ってな~い!何処で買った?えっ、グジャラート州で買ったって??俺に売ってくれ~!」ということもあって愉しい。
「あんな美女は存在自体が奇跡だね。生きているラクシュミー(インドの女神)だね!」と言うと、「そうだろ!日本にゃあんな美人はいるめい!」とインド男は目をキラキラと輝かせて意気投合するから、俺は買い物する時はよくジュヒー様のブロマイドをちらつかせて値引き交渉を有利に進めていた(笑)。
さて、問題は安宿に帰ってからその日の戦利品・・・ジュヒー様のブロマイドを整理していた時のことだ。
隣のベッドの卒業旅行で初めてインドに来た大学生が、「これどこで買ったんですか?安そうだし嵩張らないからお土産にいいですよねえ?」って聞いてきた。
すると反対のベッドの平田君が「普通に売ってないモノですよね!」と会話に加わった。
平田君は半年かけてインドを旅していた旅慣れたバックパッカーだ。
えっ?あちこちの路上で普通に売ってるじゃないの!と平田君に答えると、「ボク、半年間インドにいて、そんなの見たことないですよ!」と異なことを言う。
二人を宿のすぐ近くの路上のブロマイドを売っている所に案内したら、平田君は「俺は半年間もインドで何を観て歩いてきたんだろう?」とションボリとしていた。
映画スターのブロマイドは、電柱の数ほどあちこちで売られているのだ。
興味が無ければ在っても無いと思い込んでしまうのが面白い。
もっともプロの民俗学者のフィールドワークも似たようなもんで、「日本以外には類例はない!」と断言した報告が誤りであったということも俺は何点か確認している。
在るのに無いとは・・・まるで人生における唯識論的教訓ですなあ、と三人でチャイを飲んだ。
今年の糸魚川市平野部は小雪。
だから雪かきらしい雪かきはしていない。
我が家では親父は軽いプラスチック製スコップを使っているが、俺は孔開きスコップを愛用している。塗装されているので、雪も土もくっつき難いし、孔開きだと粘性土でも大丈夫。
プラスチック製の中で一番使えるのはポリカーボネード製スコップだけど、高価なことと締め固まった重い雪だと役に立たないが、軽い新雪なら一番使い勝手はいい。
アルミ製も軽いけど雪がくっつくのでシリコンスプレーなんか吹きかけるといいが、やっぱり新潟の雪は重いからアルミ製だと軽すぎて、雪を割ったり差し込んだりする時に苦労する。
鉄製のスコップも錆びると雪がくっついてしまが、イチオシは全国津々浦々の植木屋や土方が愛用するのは「金象印」の塗装された鉄スコップ。
金象印のスコップは柄が鉄パイプなので、テコにも使えるから、重いことを除けば丈夫でオールラウンドに使える頼れるヤツ。
いざという時のサバイバルのためにも、一家に一本は金象印のスコップは置いておきたいもんだ。
去年の冬に石川県加賀市の「百笑の郷」という市民団体から縄文体験会を頼まれたが、俺は整体協会の動法教授資格者ということもあって、ついでに雪かきの指導もしてくれと頼まれた。
動法とは、分りやすく言えば昔の日本人の身体の扱い方で、整体操法では必須の技術である。
宮本武蔵みたいな武芸者、農家、古典芸能など、全て動法の原理による身体扱いをしていたとして、我々はその研究をしているのだ。
動法は一言で言えば、筋肉に頼らない骨の動きであり、その動きは腰と腹に要を置く感覚的な身体扱い。
体験会当日の朝になってから急に動法的雪かきを指導してくれと頼まれたのだが、慌てずに雪かきの指導に臨めた。
動法の原理は色々なことに応用が利くのだ。
受講者は子供とその父兄だけど、俺の指導を聞いていたスタッフの地元のお年寄り達が「長年雪かきしているけど、こんな楽なのは初めてだ!」って驚いてた。
指導内容はいたって簡単。
スコップを持つ時に、普通は柄を持つ前の手を逆手で持つ。
一般的に逆手でスコップを持つ写真モデルは、除雪歴60年のFさん。
逆手で持つと、両腕がバラバラになってもろに筋肉だけの動きになって疲れるのが難点だ。
ところが前の手を逆手から順手にすると、背中と両腕が繋がり、腕の筋肉の負担が少なくなり両腕に統一感が生まれる。
その代わりに腕が逆手の時より自由に動かなくなるが、その分を下半身の操作で補うようにすればいいのだ。
主役が腕ではなくなるので、腕の局部的な疲労が無くなる訳だ。
コツは両肘を左右に張って、脇の下に空間を作ること。
スコップの操作は、腕ではなく下半身を主役にした全身で行うことの2点。
順手で持つとこうなるが、Fさんは高齢者で足腰が弱っているために膝を曲げて体を沈めることができないので、両肘が左右に張れていない。
これで歩幅の調整や膝の曲げ具合、股関節の動かし方の工夫で両肘が張れればずっと楽になる。
スコップの微妙な操作が必要な時は、腕が自由に扱える逆手に戻せばいい。
スコップ扱いのプロ・・・植木屋や土方はこうスコップを使う。
初歩的な動法だけど、随分と雪かきが楽になるハズ。
確定申告の書類作りで頭がグニャグニャになったので、家から20分ほどの早川区にある笹倉温泉に行った。
市街地の真ん中にある俺の家から車で30分圏内に七ヶ所も温泉がある。
早川区には昔からある静かな湯治宿の焼山温泉(入浴料500円)と笹倉温泉(同800円)の二ヶ所があって、どちらも静かで落ち着けるのでお気に入り。
子供の頃も笹倉温泉の建物は古い木造で、家族で自炊しながら長逗留したこともあった。
昔は稲刈りを終えた農家が骨休めに泊まりに来て繁盛していたらしい。
共同の台所には5円いれると使えるレトロなガスコンロが並んでいて、温泉のお湯で炊いた黄色いご飯は、ちょっとだけ硫黄臭くて旅情を感じた。
朝は朝靄の中を歩いて、近所の畜舎に搾りたての牛乳を分けてもらいに行った記憶がある。まだ湯気がたっている牛乳は美味かった。
さて、笹倉温泉のお奨めは、なんたって露天風呂の壺湯だ。
三つ並んだおひとり様サイズの陶磁器製の壺湯の縁に、首と肘、膝をかけてソファーにふんぞり返る姿勢を取る。無作法な恰好だけどラクチン。
見知らぬ入浴客同志でも自然と会話に華が咲く。
「いい湯ですなあ~!」「いやあ、まったく!」
この時も石川県からの湯治客に話しかけられて、糸魚川自慢をした。
温泉は人を善人にすますなあ。
尻が湯に浮いた状態になるが、肘の位置を調整すると安定する。
手足が外に出ているのでのぼせ難いから、10分はボーと空を見上げてしまう。
首から上と掌、足の裏は温度に敏感なので,湯の外に出すと体は温かいけどほどよく涼しいという快適な状態になるのだ。
外に出た手足が冷えてきたら首まで湯に沈んで温まる。
温まったら再び手足を出してふんぞり返る。
これを繰り返すと、のぼせずに30分くらいはボーっとしていられる。
ババン、バ・バン・バン・バ~ン!と口を付いて出るのは 「いい湯だな」。
こんな時は得意のビートルズはお呼びじゃない。
やっぱり「「いい湯だな」が一番ぴったりくる。名曲だねえ。
尻っぱしょりしに襷掛けの浴衣、股引き姿のドリフが愉快そうに歌う映像が目に浮かんで、自然にウキウキした気分になってくるぜ。
露天風呂に入っての雪見なら、浪曲もいい。
この時も誰もいなかったので、廣澤虎三の「次郎長伝」の外題付け(最初の一節)をうなった。
「旅ぃ~行ぅけぇば~ああっ、駿河ぁ~の道ぃ~にぃっ、茶のうぉ~おお香りぃ~」という重厚な出だしから、中盤で陽気なアイノコ節に転調して「あまたぁ~身内のぅ、ある中でぇ~、四天王の一人にっ、えっえ~、乱暴ぅっ!者のうっと、異名を取るっ!遠州うっ!石松の石松のぉ~、苦心談のお粗末を、を、をっ、悪声っ、なっあがらぁ~もうおうっ、務ぅめぇまぁす~!」と畳みこんでいくところが堪らない。
嗚呼、日本に生まれて良かった・・・と実感するのはこんな時。
露天風呂にも色々あるけど、雪見風呂ならここの露天風呂は最高だ。
お蔭で頭はスッキリして体はポカポカグニャグニャになってくれました。
癒されますなあ。
土曜日は六反田南遺跡の報告会があった。
講演しているのはこの日の3番目の講演者の伊藤調査員。糸魚川高校の後輩だ。
右端の後頭部は土田孝雄先生。
埋蔵文化財センターの担当者だったT先生が、出土品の説明をしている時に「この矢尻は珪質頁岩(けいしつけつがん)で作られていますが、糸魚川市では拾えません・・・」という部分があったので、講演の後でこっそりと姫川で拾えますよ~と教えてあげた。ヒヒヒ!
これが珪質頁岩で作った石笛。
前回紛失したと書いた石笛の代替品である。
お客さんから首からぶら下げるペンダントタイプで作って欲しいという要望があったので、シルバービーズを奮発!
加工中のちょっとした衝撃で欠けが入ったりして苦労したが、この段階まで研磨すると、珪質というだけあって黒曜石並みの光沢になった。
でも石笛はあんまりツルツルピカピカに加工すると滑って演奏し難くくなるから、程々に研磨しなきゃね。
因みにペンダントタイプの石笛は、史上初、我が「ぬなかわヒスイ工房」が開発したのでR。
そして同じ日に加工したオンファス輝石の石笛がこれ。
こいつもペンダントタイプにしたが、ビーズはシルバーよりブラスが似合った。
緑のオンファスに補色の赤系のブラスとウッドビーズが栄えてくれた。
糸魚川ヒスイの緑の部分は、実はヒスイ輝石ではなくオンファス輝石であることが多いそうだ。
このオンファス輝石は、ヒスイ仲間が姫川で拾ったものをプレゼントしてくれた。
小滝産ヒスイの深緑色の部分は角閃石で、こいつが入ると柔かいので削れ過ぎて加工に苦労する。
さてオンファス輝石だけど、はっきりいってセコなヒスイより加工しやすい!
セコとは、「せこい」のことで、もともとは寄席の符丁だ。
俺は子供の頃からの落語ファンだから、寄席の符丁を日常的に使うのでR。
600番の耐水ペーパーで空研ぎした段階でツルツルピカピカになってくれた。
面白いや。
改めて糸魚川の鉱物資源の豊富さに感動した。
ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ~。
西原理恵子の漫画で、取り返しつかない失敗をした登場人物が、目を三日月形に吊り上げて頭を抱えて「あ”~っ!」と叫ぶ場面がある。
この時の「あ”」は、乱暴な筆文字で書かれている。
母音の「あ」に濁音を付けるとは実に秀逸な表現で、そんな時の感じがよく出ている。
他にもイジケタ時の「ぢい~ぢい~」も凄い表現だ。
言語と擬態語を合体させて絵で表現する西原理恵子は天才だ。
で、私も先日「あ”~っ!」をやっちゃいました。
以下はその顛末記。
史上初と思われる頁岩(ケツガン)の石笛を作った。
縄文時代の御物石器みたいに渋い石笛になった・・・俺って天才!
金色の粒は黄鉄鉱であり、微生物の死骸が変成したもの・・・だそうだ。
完成直後にキー測定のためのチューナーが壊れて、新しいチューナーをネット注文。
自慢じゃないが、石笛を作っている人でキーを測定した上で売っているのは我がぬなかわヒスイ工房だけだ。
そんな折に東京のお客さんから石笛の問合せ。
まだネットショップにアップしていない頁岩石笛をお勧めしたら気に入ってくれて、キー測定を待って購入の予約を頂いた。
キー測定をした晩に、地元のお客さんが勾玉の注文依頼で工房にやってきた。
参考として作品を見せるために、自室に置いてある作品を入れてあるコンテナを裏庭にある工房に運び込んで、お客さんと商談。
お客さんが帰ったあとに整理したら、頁岩石笛だけが無い!
工房や自室、ポケットのなかにも無い!
あの晩は大雪が降ったので、もしかして雪の中に落とした?
「あ”~っ!」・・・俺って大バカ野郎!!
既に石笛を注文したお客さんから入金までしてもらっているのに~!
お客さんに事情を説明して、返金・代替品を送る(値段問わず)・頁岩石笛を作り直すという三案を提示して検討して頂いたら、どうしても頁岩石笛が欲しいとのことでその晩から作り直すことになった。
それにしても良いお客さんでよかった。
どなたか、雪が溶けて石笛が出てきたら拾ってくださいな(泣き)