糸魚川駅北火災の復興支援市民ボランティアは、大晦日から1月3日まで正月休みに入った。
ところが公的な支援サービスが休みの大晦日にも関わらず、被災地で個人的に支援ボランティアをしている人達がいた。
南魚沼から来ている山崎一さんと、「とちぎボランティアネットワーク」の藤久保誠さんだ。
大晦日に被災地で支援活動をする山崎一さん。類は友を呼ぶというやつで、共通の友人が何人もいる。
彼らは公的支援サービスが休みに入っても、困っている人から手助けを求められるならと、一個人として残っているのだ。
山崎さんとは12月29日の市民ボランティア初日に出会ったのだが、前日から糸魚川市に来て1月15日まで車中泊すると聞いてたまげた。
いくらボランティアだからといっても、3週間近い車中泊はあまりにも気の毒。
山崎さんの愛車は、格安で買った中古車の座席を取外し、車中泊仕様に改造してある。なんてたって自動車修理工場経営者!
敬愛する整体のM先輩に風貌と雰囲気が似た自然体が好ましくもあったので、出会って10分ほどで自宅に泊まったらどうですか?と聞いたら快諾して貰った。
私のできるささやかなボランティア。
しかし山崎さんは、寝る所さえ提供して貰えれば有難しと、食事や弁当も辞退されるばかりか、布団不要と部屋の中でも持参の寝袋で寝るという、まるで修行僧のようなストイックさ・・・只者ではない。
今回の被災地でボランティアに求められているのは、瓦礫撤去前に貴重品や想いでの品を掘り出す事。作業内容は遺跡の発掘と同じで、作業効率よりも丁寧な作業が求められる。
山崎さんと寝食を共にして濃密な時間を過ごすうちに、彼の履歴を聞いて再びたまげた。
彼は自動車修理工場を経営していた2年前に大事故に遭い、奇跡的に蘇生してから人生観が変わり、国内各地の被災地どころかネパールまで自費で支援ボランティアを始めたのだそう。
彼の活動資金は、財産の切り売りで捻出・・・凄い男がいたもんだ。
たった独りでも、公的支援が行き届かない部分を補いたいという山崎さんの支援方法は、天台宗の開祖、最澄の「一遇を照らす」という言葉を地で行く活動ではないか!
29日の支援活動によって掘り出された婚約指輪。例え黒焦げであっても、被災者の人生を物語るお宝なのだ。
他人にとってガラクタでしかなくても、被災者にとっては人生の1ページを彩るお宝(2点とも所有者の写真使用許可を得ています)
私は山崎さんをサポートしているつもりだったが、実は彼こそが糸魚川市民をサポートしに来ていた、そんな当たり前の事に気が付いて愕然とした。
私が捉えていたサポートのベクトルが逆だったのだ。
彼の活動は年明けの3日から再スタート。
山崎さんが灯した小さな火種が、糸魚川市民によって松明、かがり火に成長させられるかどうか・・・我々市民がしなけりゃならんのだ。