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志ん生に負けず劣らず、現役の貧乏話で有名な噺家は、滝川鯉昇(たきがわりしょう)師匠。
外見のインパクトに対し、静かで上品な語り口調のギャップからして可笑しい。
入門時に師匠から最初に教わったのが、噺ではなく食える雑草の知識だったそう。
鯉昇師匠は噺もむろん上手いが、落語に入る前の「まくら」が秀逸で、「食えない時代にはジョギングを装い、皇居のお堀の植え込みの陰で大根を栽培して食費を抑えていたが、上には上があるものでスコップと鍬を隠して農業をしている人までいました・・・」などと、ほのぼのとした口調で爆笑の渦に誘う。
弟弟子の春風亭昇太師匠によると、「鯉昇兄さんの若い頃はものすごく暗く、ホームレスみたいな恰好をしていた」ので、明治大学の落研時代に高座着を包んだ風呂敷を持って歩いていたら泥棒と間違えられて捕まった逸話も持つが、いまやチケットは即日完売の売れっ子で、有望な弟子も多い。
いちど独演会の会場で挨拶したことあるが、高座では春風駘蕩の噺家でも、ものすごく澄んだ目を持つ腰の低い苦労人という印象。
YouTubeで初めて観るなら「時そば」がいい。
津軽三味線の当代の高橋竹山さんは筋金入りの落語好きで、好きな噺家の話で盛り上がったけど、鯉昇師匠の「時そば」を語る時には吹き出していましたヨ。
「いわゆるトイレットペーパーを交換する場合においてはですね、交換者は発生した芯をですね、自主的に廃棄するということが当然の行為となる訳でして・・・これは何も私の個人的な都合というなどではなく、専門家のみなさまにお集まり頂いて、法的根拠に基づいて得た結論でございまして、なんら問題のないところでございます・・・その根拠に関してではですね・・・個人情報の保護の立場から、お出しする訳には参りません!」
いつものように工房のラジオで無観客の大相撲千秋楽を聞いていたら、普段は放送しない「出世力士手打式」と「神送りの儀式」も最後に放送するというので、リビングに戻ってテレビで視聴。
ヒスイにおける「モノ売りからモノガタリ発信」の一環として、古代風首飾りをレンタルすることにした。
大小ペアの首飾りで、男性的な意匠の大きい「ぬなかわ彦」、女性的な意匠の小さい「ぬなかわ姫」だ。
2018年に松阪市から注文を受けた「平成の大首飾り」の経験を活かすべく、実測図を手本にした弥生~古墳時代の勾玉類をメインに据え、切子玉、管玉、丸玉で作られた首飾り。
某大学の考古学教授から、玄人でも古物と見分けが付きがたいので、売ってしまうと古物と偽って転売される恐れがあると指摘されてしまい、「大首飾り」複製と違ってエイジング加工していないし、レンタル専用にした経緯があるのデスヨ。
「ぬなかわ彦」は円周81㎝、重さ199g
「ぬなかわ姫」は円周71㎝、重さ168g
ぬなかわヒスイ工房の来客にも身に付けてもらえるように、桐材で箱も自作。
焼印を特注して正解でしたねぇ・・・。
「ぬなかわ彦」は「ぬなかわ姫」の父親、「黒姫」はその妃の名前であると同時に「ぬなかわ姫」と口碑にあり、政治的族長である「ぬなかわ彦」と妃の「黒姫」の間に生まれた子供の中から、巫女の才能がある娘を選び、祭祀リーダーの「ぬなかわ姫」として、代々と世襲した母系集団が、古代ぬなかわ族なのであると私は推測している。
弥生時代中期~後期にかけて、東征を続ける出雲勢力がヒスイ交易権を巡ってぬなかわの民と争いになり、戦に負けたぬなかわ郷は出雲の支配下に置かれ、ぬなかわ彦は殺され、ぬなかわ姫は能登に拉致され政略結婚させられたが逃げ帰って自害された・・・考古学と口碑、古文書などの検証から私はそう結論付けているが、このペア首飾りは、昨今の糸魚川で莫大な宣伝費をかけて官民挙げて喧伝されている「古代のラブロマンスをテーマにした観光客誘致策」へのカウンターカルチャーであり、ぬなかわ一族の慰霊でもある。
むろん、モノ消費、もしくは希少鉱物としての価値ばかりが取り沙汰されるヒスイを取り巻く現状に対し、文化的価値にも興味を持って欲しいという願いもある。
ぬなかわヒスイ工房の来客には、首から下げて記念撮影してもらいたい。
レンタル価格は当面は応談だが、興味ある方は観に来て欲しい。
願わくば届いて欲しい・・・ぬなかわ姫へ!
朝刊に高校時代の体育の先生が出てたので、県外在住の同窓生のために!