縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

ベトナム人の手技・・・ジュラルミンの舟

2015年03月28日 08時04分39秒 | 旅先にて

前回に続きベトナム人の生活力への賛美。

私は手仕事が好きなので、旅に出ると手仕事をしている人を探して仕事ぶりを観せてもらう。

日本の職人さんは煙草を吸わない人も多いが、東南アジアやインドでは煙草好きが多いから、煙草をすすめると喜んで手を休めて仕事場を観せて貰えるのだ。

特に海と船が好きなので、漁村や造船所を好んで探して歩く。

こんな旅のスタイルだと、河があれば河口から上流に遡っていくと造船所が見つかることを経験から得ているので、意外に簡単に造船所は見つかる。

フエの郊外で、ジュラルミン製?の漁船を作っている造船所を発見。

もしかしたらジュラルミンではなくアルミ製なのかも知れないが、この漁船は運河などの艀(はしけ)などに使われているようで、海に浮かんでいるのは観た事がない。

裏返して置いてあると、ジェット戦闘機のドロップタンク(燃料の増層タンク)みたいで格好いい。

この舟を作っているのを観ると、どうも廃材で作っているようだ。

厚み3㎜前後のジュラルミンだと相当に硬い筈だが、接合部の合いじゃくり部分を、なんとペンチで正確無比に手曲げしていた。

合いじゃくりした金属板同志を嵌めてから叩いて密着・・・この技法は日本家屋の金属屋根の作り方と同じだ。

理屈で言えば屋根屋さんでも作れる技術だが、曲面の板金仕事の手作業だから難しいだろう。

地面に差したバカ棒(計測器を使わないで済む簡素な定尺機器)に、木のフレームを取り付けてから接合した金属板を設置していく。

簡単に観えるが、こんな単純な作業こそが精度を出すのが難しい・・・経験者は語る(笑)

少し離れた所にあるフレーム大工さんの家に持って行き、船首・船尾・舷側補強の板を取り付けて塗装して完成。

 

もしかしたら、ベトナム戦争の時の戦利品・・・墜落した航空機の外版を利用したのがルーツなのかも。

世界で一番の器用な人々・・・ベトナム人って凄い。

 

 


軟弱日本人よ、サバイバルの達人であるベトナム人に学べ

2015年03月26日 22時45分01秒 | 旅先にて

整体の大先輩が四月にベトナムのフエに行くというので、ベトナム事情を聞いてきた。

東南アジアとインドなら任せて下され、と色々とアドバイス。

インド人と似ている部分もあるが、ベトナム人は強かで逞しい。

歩いていると、至る所でベトナム戦争の痕跡を観ることができる。

露天で売っていた、米軍の認識票。つまり戦死したアメリカ兵の遺品も商売にしてしまう。

 

地雷で吹き飛ばされたのか、片足のない老若男女も結構いる・・・これはカンボジアも同じ。

フエのような世界遺産の観光地も、ダウンタウンには昔ながらの村の鍛冶屋がいて、大砲の薬莢を逆さまにした鉄床の上で赤めた鉄を打っている。

フエの繁華街は、夜になると赤い提灯でライトアップされて、お伽話の世界になる・・・照れ臭い街だ。

 

関係ないが、ベトナムの豚まんは世界一美味い!しかも安い!!

黒胡椒の産地だから、アンコに入れた粗挽き黒胡椒が効いているのだ。

しっとりフワフワの皮にかぶりつくと、アツアツでジューシーな挽き肉のアンコがジュワーと出てきて、最後に黒胡椒の香りが口中に広がり、ピリリと痺れる。

「喜んでる!お口が喜んでる!お口が美味しいっていっているぅ!」と、軽い味見のつもりが5個もくっちまった。

高価な横浜中華街の豚まん、さがりおろう!って感じだし、本場中国の豚まんは安いが、皮がフニャフニャベッショリな上にアンコだって少ししか入っていないぞ(怒)

 

とにかく身に周りにある物を活かした生活力が凄いのだ。

私が関心した一つが、下の写真。

鍋も竃になるんだあ・・・。今時の日本人は、竃(へっつい)と読めない人も多いのだろうなあ。私ですかぁ?落語好きなので高校の時には「竃幽霊」を聞いて存じておりました。

 

天変地異で世界がひっくり返っても、ベトナム人は生き抜くだろうなあ、と思う。

昨今の日本では、自分で靴ひもが結べない軟弱な中学生もいるが、ベトナムの田舎にでもホームステイさせりゃいいんだがね。

 

 


糸魚川の海岸から姫川薬石が消えた日

2015年03月23日 00時12分00秒 | ぬなかわヒスイ工房

久し振りに晴れたので、海岸にヒスイ拾いに行って愕然とした。

何時もなら海岸にゴロゴロ転がっている姫川薬石が、まったく落ちていないのだ。

一ヶ月前は沢山落ちていた。

 薬石が無くなった親不知海岸

事情通に聞いたら、海が凪いできたので関東や信州、それに糸魚川市内の薬石の原石を売っている業者がトラックを乗り付けて、根こそぎ持っていった後らしい。

 

糸魚川市の押上から寺町、青海から富山県の越中宮崎の海岸まで、何所に行ってもまったく無いそうだ。

3・11の後、薬石が放射能を吸着するとかのデマが飛んで以来、原石を大量販売する輩が出て来た。

確かに糸魚川市の石英斑岩や流紋岩は、奈良時代から薬石と呼ばれて薬効ある石と珍重されてきた歴史があるのだ。

薬石が泣いている

 

個人が趣味で集めたり加工するために拾うくらいならたかが知れているが、トラックに積み込んでまで大量に売りさばくのは如何なものか。

法的には、海岸は私有地ではなく、昔から石拾いをする地域という事があるので、行政当局は黙認という事らしい。

ヒスイに比べたら絶対量が多いし、今後も山から供給は続くだろう。

しかし中には一輪車で海岸を運んで、2tダンプ一杯に積んでいく業者もいるとの事。

可愛げがない・・・大人げない・・・知恵もない・・・遠慮もない・・・傍若無人で濡れ手に泡のような商売だねえ。

そんな事してたら、ヒスイ、朱鷺、黒マグロ、ウナギと同じ道を辿るよ。

誰が朱鷺や黒マグロ、ウナギが絶滅危惧種になるまで乱獲されると予想していたのか?

いつだって絶滅危惧種になってから大騒ぎになるのだ。

 

 


三という数字・・・安定・定着・そして生命の誕生

2015年03月20日 07時59分14秒 | ぬなかわヒスイ工房

私が運営するぬなかわヒスイ工房では石笛(イワブエ)を作っていて、プロ演奏家からの注文も多くて色んな要望や意見が寄せられる。

市販されている石笛の多くは、意匠やヒスイの品質に重点が置かれていて、楽器としては使い物にならない・・・事が多い(笑)。

だからプロ演奏家からは楽器扱いされていなかったし、民族楽器作りが趣味の私としては、楽器としてのクオリティーを追い求めてきた。

そんな中で京都の老舗民族楽器店「民族楽器コイズミ」http://www.koizumigakki.com/さんでも取り扱って貰えるようになった。

楽器としての価値が認められたのだ。

 

石笛の可能性を探っている時に、原石にそのまま精度の良い孔を沢山開けたら?というアイデアが閃いたのが、下の多孔タイプ石笛。

三つの異なるサイズの孔を開けたら、まるで「もののけ姫」に出てくるコダマになった。

石笛仙人の守山鷲声さんから褒められたのが嬉しい。

二個の孔では安定しない・・・三個ならデザインとして安定する・・・面白い。

三権分立、三羽カラス、古代中国の青銅の鍋である三つ脚の鼎(カナエ)、色の三原色・・・三は安定や定着を意味する数字らしい。

整体にも三点法という定着化の基本技がある。

平面図形なら二点なら線にしかならず、図形として完結するには三点以上が必要なので、原初の図形という意味も読み取れる。

三点あると、どの角度から見ても顔に見えるのが面白い。

 

中国語の影響下にある数字の読みは、イチ・ニイ・サンだが、やまと言葉ではヒトツ・フタツ・ミッツとなる。

沖縄方言ではヒトチ、フタチ、ミッチだが、これはより古語に近い読み方であるらしい。

古語で「チ」とは、ヤマタノオロチ・イノチ(命)・チ(血)に代表されるように、生命を意味するとも聞く。

奈良時代の発音なら、ピトウティ・フタアティ・ミッティになるだろう。

三がミッティなら、ミ(身)にイノチ(命)が宿るという意味にならないか?

即ち生命の誕生!

整体の稽古会ネタになりそう(笑)

 

 

 

 

 

 


「女たちの審判」・・・フェリーニに映画化して欲しい小説

2015年03月14日 23時22分23秒 | 整体・動法・稽古会・体験会

整体の大先輩の紺野信吾さんの書いた小説の処女作が、この春に日経文学大賞を受賞して、受賞作「女たちの審判」が今月出版となった。

山形県白鷹町で整体道場を持つ指導者だけあって、「文章を身体に見立てて、整体操法するように小説を書いた・・・」のだそうだ。

 

死刑囚を巡る人間模様が綾なすこの作品は、まるで中世の絵巻のように、俯瞰的な描写で淡々と展開していく。

読み進む内に、とてつもなく切ない、答えの出ない混沌とした世界に引きずり込まれた。

審判するモノが審判されるモノであり、陪審員の視点を持つ読み手こそが審判される立場である事に気が付いて愕然とする。

それでも・・・泣くしかない、笑うしかない、そして生きていくしかないのが、ヒトの世というもの。

イタリアが生んだ「映像の魔術師」、フェデリコ・フェリーニ監督が生きていたら、映像化して欲しい小説。

名画「カビリアの夏」の主人公カビリアのように、登場人物たちは涙を流して力なく微笑み、それでも生きていくのだ。

 

紺野さんの稽古場は、築百年を超える納屋を改装したもの。モノクロ画像が似合う。

まるで「たそがれ清兵衛」に出てくるような雰囲気。

元ボクサーにして、誕生日が同じの一歳上の兄貴分として親しくして頂いていたが、やっぱり尊敬に値するホンモノのヒト。

 

小説を書いた紺野さんが整い、登場人物も整い、そして読み手が整い、混沌のまま浄化されていく。

整体指導者が文章を書くと、こんな小説ができるのだ。

ご一読のほどを!

 

 


下を向いてあるこう!・・・フォッサマグナミュージアムでヒスイ拾った

2015年03月10日 08時07分17秒 | 糸魚川自慢

3月14日は北陸新幹線開業に向けて、糸魚川市は祝賀ムードが高まっている。

フォッサマグナに関係した鉱物類の博物館、フォッサマグナミュージアムもこの機会に新装された。

この土日に市民無料開放されたので、友人一家と見学に行った。

改装費用5億円かけたというだけあって、人口5万人弱の糸魚川市にしては立派な博物館。

入館してすぐに、ヒスイの故郷「ヒスイ峡」をイメージした説明・・・異次元への入口だ。

消火栓は展示に紛らせて芸が細かい・・・やるぢゃないか。

トイレにはウオシュレット完備・・・いいぢゃないか。

 

今度はヒスイを前面に出して、ビジュアル系や体験型の施設も増設されたので、友人の子供たちはおおはしゃぎだった。

子供たちは、博物館を堪能した後に玄関脇の砕石を歩いてヒスイ探し。

ある訳ないだろ!と笑うなかれ。

子供たちが「見て~!これヒスイ?」と聞いてくるので、付き合って一緒に歩いていたら、俺がヒスイを拾った。

質はよくないけどね。

 

自宅前の道路工事の砕石から、ヒスイを拾った知人もいる。

姫川で採取された砂利に混じっていたのだろう。

皆様、新幹線に乗って糸魚川に来たら、下を向いて歩きましょうね!

 

 


君はズラパワーをみたか?!・・・善光寺の七味唐辛子

2015年03月05日 07時35分46秒 | 旅先にて

冬の善光寺を訪れた。

善光寺と言えば、「八幡屋礒五郎」の七味唐辛子の土産が有名だ。

七味唐辛子の具材の一つ、麻の実は、近郊の鬼無里村が麻の産地という事で、善光寺の参道で売られるようになったとか。

伝統ある土産も、3月14日の北陸新幹線の長野駅開業に向けてこんなバージョンに!

鉄男の友人への土産に買った。普通の唐辛子より20円高いのは、JRへの上納金(使用料)でしょ、とは土産をあげた友人の見解。

 

「鉄道マニアはこんなのが好きズラ!」・・・七味唐辛子製造会社の社長

「そうズラッ!!」・・・従業員一同

「新幹線景気にあやかって、いっぺい売るズラ!」・・・七味唐辛子製造会社の社長

「売るズラッ!!」・・・従業員一同

「いっぺい売って、トンガラシ御殿建てるズラ!」・・・七味唐辛子製造会社の社長

「建てるズラ~ッ!!パチパチパチ」・・・従業員一同が拍手。

こんな風景が浮かんで微笑ましいが、越後人から観た信州人は逞しい。

 

その点、我が新潟の新幹線熱気はイマイチ。

しかし長野にズラパワ-あれば、オラ達にはダッチャパワーがある。

漫画「うる星やつら」のラムちゃんも、「ウチは・・・ダッチャ」と語尾にダッチャを付けているが、これは越中弁だ。

糸魚川は富山の東隣りだから、同じくダッチャ、またはチャと付ける。

オラ達も信州に敗けんよう、頑張って儲けるっチャ!・・・ズラに比べたら、気勢が挙がらんねえ。

 

 


図解「熱気球大解剖」・・・タイのコムローイ

2015年03月03日 09時24分51秒 | 民俗学ごっこ

柏崎市高柳町は、「かどえで和紙」の産地。

旧正月のイベントで、地域特産品の「かどえで和紙」で熱気球を作ったら、半分くらいしか飛んでくれなかったと現地の友人から聞いた。

実物を観たことのない人が試行錯誤で作ったそうだから、今回はタイではコムローイと呼ばれる熱気球を大解剖!

俺はガイドブック無しで旅をするので、予備知識もなく夜空に1個だけコムローイが飛んでいるのを観た時はUFOかと思った。

現地の人に聞いたら、タイではローイクラトーンという春節の祭りで飛ばす習俗があるのだけど、時期になると雑貨屋さんでコムローイが売られるので、祭りとは無関係に遊びで飛ばす事もあるそうだ。

1個だけ飛んでいるとUFOですな。

 

実際のロイクラトーンでは何千個も同時に飛ばすので非常に幻想的なのだけど、時期が合わなくて撮影できなかった。

調べたら、同様な熱気球は諸葛孔明が司馬仲達の軍勢に包囲された時に、助勢を求める合図に使った故事から、中国では「孔明灯」「天灯」と呼ばれ、英語では「チャイニーズ・ランタン」と呼ばれているのだそう。

本来は精霊流しのような意味合いがあったようだ。

折よくチェンマイで、ラーマ9世国王の誕生日祝祭イベントで、お寺でコムローイを飛ばしている場面に遭遇した。

 

コムローイは、下端を針金で輪っかになった袋状の和紙で袋状になっており、熱源は針金で吊るしたドーナツ状の固形燃料だった。

最初にコムローイを広げて、空気を入れて形を整える。それから着火。

その気になりさえすれば、百均で全部道具が揃う簡単な構造。

着火すると、ものの数秒でコムローイが自立して浮いてくる。

燃料の燃焼時間は10分くらいなので、燃え尽きると自然落下するが、稀に和紙に火が移って落下した熱気球で火事が起こることもあるそうだ。

最初はお坊さんが飛ばしていたが、最後のほうになると見物客にも着火させてくれたので、俺も飛ばさせて貰った。

着火した後の浮力は相当に強よく、しっかり持っていないとすぐに浮き上がるので、注意が必要。

 

高柳町は、糸魚川市から車で2時間以上もかかる中越地方だけども、糸魚川と同様に黒姫山が鎮座する地区。

奴奈川姫の信仰もあるから、彼らも奴奈川族の末裔に違いない。

つまり俺とは先祖が同じだから他人事には思えないし、「海のヒスイ・ロード」航海を機会に縁も出来た。

来年こそは夜空一面に熱気球の華を咲かせて欲しいもんだ。

ガンバレ~、高柳!