小雨けぶる夏の終わりの日、最近フェイスブックで繋がった、長野県白馬村の大塚浩司さんの工房兼販売「森の生活」にお邪魔した。
大塚さんは、シルバーアクセサリーと糸魚川ヒスイを組み合わせた作品を作っているのだ。
「森の生活」にお邪魔して解ったのだけど、大塚さんは若い頃からネイティブアメリカンに興味を持って、ナバホやホピの居留地に通い続けて、西部開拓時代の動脈的な役割を果たした「ルート66」の研究家として有名な方であるようだ。
現在の糸魚川ヒスイを取巻く環境は、よりよい原石を使った作品を、より安く売るという方向で扱われており、以前より「誰でも気軽に入手できる存在」になってきている。
20年前は10万円もしたような勾玉が、今では半額前後で売られていたり、ネットショップの在庫処分品や宣伝目的でオークションに出回っていたりするので、枯渇寸前なのに逆に価値が下がっていく傾向がある、と思う。
縄文から奈良時代のヒスイと言えば、売買の対象ではなく、祭器や威信財であった事と比べると、その価値の凋落ぶりは悲惨というもの。
大塚さんに近著の「糸魚川翡翠 シルバージュエリーを作る」にサインして貰った。店舗にはシルバージュエリーは無論の事、ライフルのモデルガンや西部開拓時代のグッズ、ナバホ関連グッズが所狭しと飾られている・・・気が合わないハズがない(笑)
ヒスイは気軽に買える存在でいいのか?
一時間で一個の割合で作られた勾玉に、祭器としての価値があるのか?
私も「ぬなかわヒスイ工房」というネットショップでヒスイ作品を売ってはいるが、市場経済の真っただ中に身を置きつつも、何時もその事を逡巡している。
だから、せめてヒスイや仕事に誠実でありたいと思う。
「森の生活」の前で。ネイティブアメリカンの文化に詳しいので、その視点から縄文やヒスイを語る大塚さんの話しは興味深く尽きる事はない。よい友ができた。カラー写真よりセピアカラーの写真が似合う雰囲気(笑)
大塚さんは、インディアン・ジュエリーのアイデアをヒスイに組み合わせる事で、ヒスイ本来の祭器としての精神性を復活させようとしている。
私も縄文文化に焦点を当て直す事で、ヒスイの魅力を広く再認識させようと努めている。
表現方法は違っても、友達にならないハズがないではないか。
最近、こんな想いを同じにする仲間同士が同調・共鳴して、繋がっていく動きが顕著になってきた・・・即ち、ヒスイの魅力復興委員会ネットワーク!
興味のある方はお気軽にご連絡のほどを。