縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

ケシと枡で「消します」・・・江戸の纏とヒスイの根付

2019年01月29日 08時13分41秒 | ぬなかわヒスイ工房

30年来の付き合いのある浅草の三社祭りの仲間から、爺さんの形見という煙草入れの根付交換のご注文。

私と同じ江戸趣味の男だから、江戸の火消し纏(まとい)をモチーフに趣向を凝らすこと半年あまり・・・。

 

纏とは江戸時代の火消し鳶が、火事の最戦線の屋根の上で「ここから先の家を倒壊させて火を防げ」という目安に振った道具で、通常は火の粉除けための和紙の短冊状をしたバレンが付き、火消しの威信をかけた旗印のようなもの。

鳶のだれでもが纏を持てる訳でなく、各火消し組の兄いと呼ばれる豪胆で目端が利き、火事場を仕切る器量のある纏持ちだけに許される火消しの花形。

家族と言えども迂闊に纏に触ろうものなら、どやされたというくらいに大事にされたもの。

幕張の増田君だから「ま」の字の線刻は外せないし、彼の地元の祭り半纏の背中には「ま」の字が意匠されているので一石二鳥。

ヒスイ製の枡形に十字を線刻して田の字で「マスダ」と洒落てみた。

 

薬石の玉はケシの実を意味しており、丸い玉と四角い枡形を組み合わせた「消しマス」という洒落で、実在する纏をモデルにしている。

江戸っ子は駄洒落落ちが好きなのだ。

野暮と粋の差は一歩引いた諧謔の有無で、これが江戸っぽくなるかどうかの分かれ目。

わっかるかな~・・・わからないヤロウは野暮天ということになっている(笑)

 

 


これで反応なければ不在・居留守・死んでます!・・・DIYドアノッカー改

2019年01月27日 09時28分16秒 | こんなモノ作った!

せっかくドアノッカーを木槌で自作したのに、お客さんも宅急便屋さんも気付いてくれず、相変わらず大声で呼ばれている。

初期型ドアノッカーは目立たなかった・・・。

そこで自転車のベルとテーブルベルを増設して、ビジュアル的に目立たせる作戦に出たが、すべて100均商品と端材で自作。こちらは正面玄関。

家族や宅急便屋さん用の裏口はこんな感じ。

 

来客は、木槌・ベル・チャイム・拡声器などお好みのアイテムで呼んでもらう趣向である。

それでも反応がない時は不在・居留守・死んでいるのどれかですので、諦めるか携帯電話をコールして安否確認をお願いします・・・。

 

よく行く百均のお店で、平日の昼間に不思議な取り合わせのものばかり大量に買っていくので不審に思われるのだろうが、今やレジの人に顔を覚えられ「今度は何を作るの?」と聞かれるようになった。

どんな職業の人?と聞かれたら、ゲージツ家ですと答えている(笑)

 

 

 


沼名川の底なる玉 求めて 得し玉かも・・・ベターハーフ勾玉

2019年01月23日 22時29分56秒 | ぬなかわヒスイ工房

アメリカに移住して結婚するという方に注文を受けたベターハーフ勾玉が、出国ギリギリで間に合ってくれた。

提示された予算に見合う質のよいヒスイ原石が入手できず、かなり焦っていたのだが、今時は入手したくてもできないレベルの原石が手に入った。

万葉歌人が詠った「沼名川の底なる玉 求めて 得し玉かも 拾いて 得し玉かも・・・」と、ヒスイを求めても求められないことを嘆く和歌が、今やヒスイ職人でさえ同じ境遇になりつつある。

厚めに作った勾玉を縦半分にして作るのがベターハーフ勾玉なのだが、その厚みが取れるヒビや石目、角閃石などが入っていない原石となると多くはない。

勾玉を縦半分にする工程でこれまで刃の厚み1㎜の小割機を使っていたが、極上ヒスイなので少しでも無駄にしたくなく、懸案だった刃厚が半分以下の小割機を手持ち工具のリューターで自作。

右側の勾玉に白い斑(ふ)が入っているが、一般的には価値が落ちるとカットされてしまう部分。しかしせっかくの綺麗なヒスイ原石だから、余すところなく縄文風の景色として使いませんか?と提案して、了解して頂いた。

 

ヒスイの綺麗な部分だけを最上として作品作りをするのではなく、今後は不純物や石目も味わいとする作品作りをしていかないと、近い将来に困ることになると思う。

私にとって、昨今のヒスイ人気は有難くも心配の種でもある。

 

 


舐めてみたくなりそなピンクヒスイ・・・ヒスイだけが糸魚川の石ぢゃないぜ!

2019年01月21日 22時47分18秒 | ぬなかわヒスイ工房

ピンクヒスイと俗称されてはいるが、硬玉ヒスイとはまったく別の桃簾石(トウレンセキ)。

ヒスイと比べて非常に柔らかい石だけども加工の難易度が低いということではなく、それなりの難しさはある。

桃簾石製の石笛。砂糖菓子のような質感が好きだし、柔らかくてデリケートだから、作っている時も子猫と遊んでいる感じの愉しさがある。

なぜか冬に注文されることが多く、みなさん春を先取りして花見気分を味わいたいのか?・・・春よ来いってなもんかな。

ヒスイだけが糸魚川の石ぢゃないぜ!

 

綺麗な原石入荷、注文ください!(笑)

 

 

ヒスイ石笛 糸魚川ヒスイ ピンクヒスイ ぬなかわヒスイ工房 縄文人見習いの糸魚川初


カタチに内実を!内実がカタチ?・・・不動明王梵字「カーン」線刻石笛

2019年01月18日 17時05分05秒 | ぬなかわヒスイ工房

不動明王の梵字「カーン」を線刻した石笛を注文された。

原石の鮮やかな黄緑を活かすために非対称になったが、図らずも揺らぐ炎を背にした不動明王っぽいカタチになった。

このタイプのヒスイは自然光で撮影したいのだが、悪天候続きでは照明器具に頼るしかなく、ちょっと残念。

線刻には色の濃いヒスイのほうが栄えるので黒ヒスイにしようかと迷ったが、依頼主が女性だったので草色に鮮やかな黄緑が発色したヒスイを使用。結果的にそのほうが良かったと思う。

背景色でヒスイの色合いが変わるので、背景は何種類か使っております。

 

梵字を線刻する際には内実が大事と、緊張しながらも不動明王のルーツとされるインドのシバ神の真言「オム・ナマハ・シワイ」を唱え続けていた。

私は宗教に詳しい訳でもヒンドウ教シバ派信者という訳でもなく、インド旅行中にインド人同士が挨拶で言い合っているのを見て、覚えただけである。

勾玉でも内実がないと「勾玉のカタチをしたヒスイ」で終ってしまうが、オレは「ヒスイで作った勾玉を作るのぢゃ!」と息巻いて仕事に励んでいる。

内実がカタチになるのか?カタチが内実を生むのか?どっちが先だ?・・・自問自答しながらのお仕事。

しかし・・・不動明王はシバ神をモデルにしているものの、マハー・カーラという別の神様ということが後から判明・・まぁ、私の仕事はその程度(笑)

 

 

ぬなかわヒスイ工房 糸魚川ヒスイ ヒスイ石笛 不動明王 縄文人見習いの糸魚川初


今はこの程度ですが一生懸命やってます!・・・縄文スタイル・草書の石笛

2019年01月13日 09時33分13秒 | ぬなかわヒスイ工房

昨年は「大首飾り」で楷書の作品をたくさん作った反動か、自由の身になってから草書の作品が作りたくて仕方ない。

私の説く楷書の作品とは、形状と寸法が厳密に決まっているモノ。

草書は当初からデザインを明確にせず、作りながら決まっていくモノという意味で、世間的な意味ではない。

誰も見向きもしない地味な原石から面白味を引き出す仕事は、手間暇に見合った利益は望むべくもないが、原石形状をの活かした非対称の作品作りは、操作願望が後退してヒスイとセッションする感じが面白いからやめられない。

操作願望が前面に出てしまうと、嫌味が滲み出てしまって自分でも嫌になってしまう。

売れてくれれば嬉しいのは収入になるからという上に、面白味を共有できるお仲間がいるという確認になるからだと思う。

 

ヘタな人やいい加減な仕事で「草書の作風です!」「歪な感じが縄文風でしょ!」と言ったらバカだと思われる。

バカにされずにこう言えるのは難しい・・・これが悩みの種なのだが、とりあえず「今はこの程度ですが真面目に一生懸命作りました」とだけは言える(笑)

 

 

 

 


玉依比賣命神社「児玉石神事」・・・日本列島人の成り立ち

2019年01月10日 07時44分07秒 | ぬなかわヒスイ工房

玉依比賣命神社になぜ800点を越える大量の玉類が奉納されているのか?

今年は2点の奉納(来たり石という)があり、総計852点の玉類を数えた。

氏子の方によると近隣に「大室古墳群」があり、かって古墳を崩して田畑を造成した時に出土した玉類が奉納されたのが最初ではなかったかとのこと。


古墳時代中期の古墳群は505基の古墳が確認され、その多くは渡来人墓制の石積みされた合掌形石室を持つ円墳。石積みされた古墳だから壊すと大量の石材が入手でき、田畑造成の際は法面保護に具合がよかったそうだ(笑)


新潟県はけっして古墳は多くはない地域なのだが、大量の古墳がなぜ信州の高原に存在するのか?

しかも渡来人系の・・・。

彼らがやって来たルートが日本海ルートであったにしても、安住の地を途中の新潟ではなく信州に求めた理由はなんだったのだろう?

右上の大珠は縄文時代前期?、その右隣りは中期?と推測しているのだが、いかがなものだろうか。

弥生時代に日本海沿岸の北陸地方で盛行した子持ち勾玉は、もちろん糸魚川でも作っていて、この中に私のご先祖の作品があったかもと考えると感慨深い。

 

私には古墳時代の遺跡は稲作に適した平地という思い込みがあったのだけど、稲作地帯ではない蕎麦や麦といった粉食文化圏の信州、甲州、上州といった中部高原地帯に以外と古墳が多いことに目からウロコが落ちる思いがする。

弥生、古墳時代の渡来系の人々が中部高原地帯で勢力を持っていた動かぬ証拠・・・。

日本列島人は単一民族などではなく、その成り立ちは一筋縄ではないですな。

 


玉依比賣姫神社「児玉石神事」にミニ大首飾り奉納

2019年01月08日 21時55分16秒 | ぬなかわヒスイ工房

UFO!

UFOっぽい写真の正体は新年最初に製作した超小型勾玉の連環で、大首飾り完成記念として信州松代の玉依比賣姫神社に奉納するためのミニ大首飾り。

ミニな大首飾りという日本語はヘンだというなかれ。

大首飾りは松浦武四郎の遺した歴史的遺物に付けられた固有名詞だから、ちゃんとした日本語なのだ。

勾玉4点の素材は、大首飾り作りで苦楽を共にしたヒスイ・青碧玉・赤瑪瑙・水晶。

玉依比賣姫神社は1月7日に「児玉石神事」があり、その時に玉類の奉納を受け付けてくれるのだが、3年前に友人から誘われて参列して以来のご縁。

仕事の納品ではギフト用に頼まれでもしない限り桐箱は使わないのだが、その理由は自分の作品を恭しく桐箱に納めても、内容にその価値があるのか?という照れくささと、私のお客さんは普段使いのお守りとしてご注文を下さるので桐箱は不要という考えだけども、神社に奉納するからには威儀を整えて桐箱に納めた。

児玉石神事は、奉納された縄文から近代までの800点以上もある玉類を厳かに一つづつ数えて吉凶を占う大変に珍しい神事で、出土品を間近に観察できる滅多にない機会でもある。

ぶっ違いの日の丸が実によく似合う風景。漁村の祭りで大漁旗と共に漁船に飾られる日の丸もいい。国旗としての賛否を問うイデオロギー論争は抜きとして、こういった飾られ方なら日章旗も悪くない。

 

 


六千年前の職人とヒスイ談義・・・天神遺跡出土大珠復元

2019年01月05日 09時03分32秒 | ぬなかわヒスイ工房

石目や欠損部まで再現して、天神遺跡の大珠の木型作成。

頭部に欠けがあるのは、平らな面から2㎜くらい下に平行に沿った石目があり、加工途中で欠損してしまったと推測。

実物

平らに成形した面を正面と捉えていたらしいが、ヒスイの質はルノワールの裸婦像を連想する滑らかで豊満な曲線を持った裏側の方が綺麗だし、正面には目立つ石目が2ヶ所あるのだ。

 

恐らく当初の原石の形から、作りやすい面を正面とした他に、正面下部の鮮やかな緑を見せたかったのだろうと推測。

正面から片側穿孔で貫通する際に裏側の孔周辺が大きく欠損したらしく、その部分だけ横軸方向に削り取られている。実物は裏面のヒスイの肌が大変に綺麗でうっとりした。

 

六千年前の職人さんと時空を超えた対話。

写真と実測図は2次元表現なので、そのままヒスイで大珠を作るのは無理がある。

遠回りでも木型を作ることで、製作工程の確認ができたし、目を閉じると微妙なデティールがイメージできるようになったので後が楽。

こんな愉しい仕事はない。




仕事始めにドアノッカー自作

2019年01月03日 07時59分23秒 | こんなモノ作った!

明けましておめでとうございます。

 

私は耳が敏感らしく、仕事中は耳栓をしないと電動工具類の騒音がつらい。

来客に気付かないこともあるので、新年最初の仕事は裏口に100均で買った木槌と端材でドアノッカー自作。

それでも気付かない場合は、ドリフのいかりや長介よろしく拡声器で呼んでもらう二段構え(笑)

訪れた人の「なにこれ?!」とクスリとする顔を想像しながら作るのが愉しいのでR。