神奈川県藤沢市からUターン帰郷する時に、工房兼住居にしていた借家を引き継いで陶芸のアトリエを開設した林彩子嬢から、新作が贈られてきた。
出産で中断していたアトリエ活動を再開した挨拶代わりとの事。
合六茶わんよりやや大振りなどっしりとした手応えで、姿もよく普段使いのメシ茶碗として使う事にした。
ほんのり桜色をした白い茶わん。優美で清潔感を感じる姿の中に潔さを感じるのが彩子スタイル。こういう茶わんを普段使いにすると、質素な食事でも豊かな食卓になり愉しい。食事の度に文化に触れる喜びが加わるのでR!
不思議な借家で、私が引っ越した時に庭にウッドデッキを作っていたら、砂の中から素焼きの壺が出てきた・・・???
完成したウッドデッキで縄文土器を作っていたら、お向かいさんが「前に住んでいたご夫婦とお友達?」と聞いてきたので訳を聞いたら、前の住人は陶芸家の夫婦だったそう。
大都会の藤沢にありながら海に近くて静かであり、モノ作りに集注しやすい環境であったので、Uターン帰郷の前に友人達に声を掛けて借家を引き継いでくれる人を探した結果、手を挙げたのが当時は陶芸修行時代で独立を迷っていた林彩子さん。
私の整体の師匠の家のお嫁さんだ。
という訳で、何故か三代続けて陶芸をする人が住む借家!
そこで引越しする直前まで私が窯場をセルフビルドして引き継いだのが六年前。
私がセルフビルドした窯場。江の島までチャリで15分、波乗りポイントまで10分であり、夏にはビギニ姿の若い女が闊歩する湘南の閑静な住宅街にある。コンセプトは「寄せ集めの資材で格安に建てるハウルの動く城」だが、対面にある家の中は和室に洋風の調度をしつらえたお洒落なアトリエ兼ギャラリーで、陶芸教室に集う女の子に人気らしい。
今や彩子嬢は、「湘南の美人陶芸家」として有名になりつつあるようだ。
At Home Wroks という自分のブランドまで設立して、若い女性ばかりのお弟子が三人もいるらしい。
「At Home Wroks」 (http://athome-works.com/) のブランドマーク。お洒落である。
陶芸教室を経て、独学で陶芸家になった人から抹茶茶わんを貰った事があるが、申し訳ない事に「お上手ですな」としか感ぜず、人にあげたり納戸に入れたまま。
抹茶茶わんの形をした普通の茶わんで、抹茶をたてる気にはならないのだ・・・観るに忍びないというか、哀しくなってしまう器。
対して、きちんと師匠について長年修行を積んだ陶芸家から頂いた茶わんは、日常雑器であっても「潔さ」を感じるのが常で、普段使いの器として愛着が増していくし、興に乗れば抹茶だって飲みたくなる。
修行を積んだ本寸法の陶芸家の作品かどうかが、観るだけで感じ取れる・・・これは不思議だ。