縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

理想的な車載スコップを発見!・・・浅野木工所の「カチ割りスコップ」

2024年12月15日 07時30分26秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
こんな車載スコップが欲しかった!という理想的な商品をネットでみつけて購入した。
これまで車載していた金蔵印の鉄製の軽量タイプの角スコとサイズ比較。
 
除雪のプロも愛用している金蔵印の鉄製の角スコは、堅牢であらゆる雪質でつかえる反面、荷物が多かったり同乗者がいると車載すると邪魔になる。
 
車載用に売られているスコップにはポリカーボネート製が多く、凍結した雪や圧雪では歯がたたない。
購入したのは三条市の浅野木工所のアルミ製の先端にステンレスの刃がボルト溶接された「カチ割りスコップ」で、北陸の除雪をよくわかっているネーミングが秀逸。
同じアイデアのスコップがコメリで半額で売られているが、こちらはステンレス板の固定ボルトが裏表ともに出っ張っていて、着氷やアスファルトに引っかかってもどかしいと思う。
 
この点は浅野木工所の「カチ割りスコップ」の方が断然つかえそうだし、砂や泥の除去につかえようというもの。
 
カタログも送られてきたが、北海道や信州などの寒冷地向きなど多種多様なラインナップを揃えていて、ユーザーの要望に応えてきた証しだろう。
1200ccのソリオなら標準サイズのスコップでも横にして置けるが、車中泊や荷物が多いと邪魔になる。
 
YouTube動画にも商品紹介ページがあり、社長らしき男性が「いやぁ困ったなぁ・・・これは便利だなぁ!」とベタな演技で旧来品と自社商品の比較をしていて微笑ましい。
 
仕事を愛していて工夫好きな社長の人柄を感じる良い買い物をした。
 
勾玉などヒスイ製品も、安ければいいという人は別にして、実は作者の仕事への姿勢や人柄の評価をしてもらっている・・・と思うナ。
 
 
 

戦争で輸送に従事した男たちの悲愁と悲劇・・・堀川恵子著「暁の宇品」

2024年12月08日 08時46分55秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
BSスペシャル「暁の宇品」で帝国陸軍の船舶輸送を担う広島の宇品港に司令部がある暁部隊のことを知った。
こちらが番組の元になった著作。ブックスサカイさんに注文せねば。
世界の戦争をかえた上陸舟艇は、暁部隊が独自開発して上海事変からつかわれた「大発」(ダイハツ)が最初だった。写真はウキペディアさんから借用
 
しかし日中戦争の初期から兵員輸送が限界で、民間の輸送船を船員ごと徴用していたが、連合軍の好餌となり終戦までに6万人を超え、海軍軍人の倍以上が海没(戦死ではない)したが、犠牲になっても恩給のつかない軍属扱いだった。
 
これらを危惧した司令官が大本営に意見具申しても黙殺され、退役させられてしまう。エリート集団が立案した作戦に馬車馬屋ふぜいがなにを生意気な!という意思表示で、当時の日本軍がいかに輸送を軽視していたかわかるエピソード。
 
ちなみに馬車馬屋とは輸送部隊をバカにする時の旧軍の常套句。
 
お国のためと「大発」を開発した天才技術者は、中国での日本軍の蛮行を目の当たりにして軍をはなれ、戦後も戦争犠牲者の慰霊のために造船の世界から距離をおく隠遁生活を送った。
 
広島に原爆が投下されて3時間後、暁部隊司令官は独断で市民の救援を決意。宇品から「大発」で川を俎上させて救援に向かわせた。この時の兵士は、本土決戦に温存されていた10代の特攻要員たちだった。
 
「戦果」を挙げることもなく、黙々と地味な裏方に徹した暁部隊の功績が正史で語られることのないのは、日本軍が輸送を軽視していたこともある。しかしその功績と、将兵の苦悩を調べると太平洋戦争の実態が浮かび上がってくる。
 
わたしの祖父は3度軍役についたが、中国にも南方にも宇品港から出港して、運よく入港できたことが県庁から取り寄せた「兵籍簿」と「部隊略歴」に記載されている。その祖父にしてもビルマ・インパール戦の独立輜重隊(どくりつしちょうたい)という陸上輸送の部隊の曹長で、馬車馬屋とバカにされてもインパール戦では歩兵より犠牲者が多かったと聞く。
 
戦死した陸軍陸軍将兵、軍属の船員たちが人生最後に踏んだ国土が宇品港だった。これはもっと知ってほしいもの。
 
 
 

オヤジの三回忌で知る宗教文化の内実・・・きな臭いポピュリズムの時代の文化の役割

2024年10月27日 08時30分08秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
仏間を占領していた大量の漆器を、オヤジの三回忌のために移動して空っぽにした。
空になった家具膳の箱は立派な杉材なので捨てるにはもったいない。差上げますので下駄箱や工作用にいかが?発送可能。
工房屋根の断熱実験につかっていた空き缶もやっとおろしたけど、こちらも有効利用する方に差上げます。
 
どちらも無料だけど「能登に正月餅をおくる作戦」に、小銭でも寄付してもらえたらありがたし。多くの人からの浄財であることが大事なのだ。
 
三回忌の会食は「すし廣」の出前を頼んだ。
夫婦ともに同級生で、オヤジの通夜に参会してくれた恩返し。同級生っていいな。
 
3回忌ともなるとオヤジが生きているように感じる。年忌もケジメをつける先人の知恵だな・・・宗教文化の内実。
 
今朝の新聞に外国人観光客に着物を着せて茶道の体験とでていたが、野球帽かぶったままで茶室にいれてしまって茶道の内実は伝えられないだろう。わたしが師範なら毅然とした態度で脱帽させる。
 
世界的にポピュリズム(大衆迎合主義政治・衆愚政治ともいう)が流行ってるけど、文化こそは大衆迎合主義の潮流への防波堤たらん。輪島漆器もヒスイも内実を伝えないとネ。
 
区切りがついたので今週は能登へ。帰ったら年年に2回ある作品展に出品する作品つくりに集中するので、しばらく面会制限しますぞ。
 
 
 

アイヌのマキリを愛用する奥能登の漁師・・・北前貿易で能登に移入したアイヌ文化

2024年10月26日 07時07分33秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
能登とアイヌ文化(その2)
アイヌ語で小刀をマキリといい、今でも東日本の日本海沿岸や青森・北海道の漁師がつかっているが、わたしの見聞の範囲では奥能登がもっとも純粋なマキリ文化が残っている。
アイヌのマキリは、持ち主が柄と鞘に凝った彫刻を施し、まるで一面に文様を施す縄文土器のようだ。美術用語ではやや上から目線に感じる「空間恐怖」と説明されるが、モノには神が宿ると考える「偏在神世界観」というべき視点も大事ではなかろうか?
 
アイヌの刃物の特徴は切っ先のある片刃の平造りだから、日本刀の祖型ともいわれる蝦夷の蕨手刀の系譜なのかも知れないが、「大昔から連綿と能登にマキリが残っていた」のではなく、江戸期の北前貿易で福井などの刃物産地で受注生産していた名残りではないかと思う。
 
アイヌ漫画「ゴールデンカムイ」の主人公のアシリパさんも、右腰に刃渡り4寸5分ほどのマキリを下げ、左腰には刃渡り8寸ほどの山鉈のタシロを下げているが、長短二本の刃物を携行するのがアイヌが山歩きする時の姿。
 
能登町宇出津の家庭では出刃包丁としてもつかわれていると聞くが、輪島では漁船の常備品であって家庭では使わないそうだ。
宇出津の「ふくべ鍛冶」さんでは、伝統的な漁師仕様のマキリの他に「日本最古のサバイバルナイフ?」のコピーで玉鋼製、ステンレス鋼製、両刃に仕様変更したサバイバルナイフとバリエーションを揃えている。
右端が日本刀をつくる時の玉鋼製のマキリで、なんと11万円という驚きの安さ。銀座の「菊秀」あたりだったら桐箱入りで30万円はするのではなかろうか。
 
マキリを怪しげな漢字で当て字して、素人向けに高価なカスタムナイフが売られていたりするが、ふくべ鍛冶さんのマキリは無駄を省いた実用品。
 
青森・北海道のマキリは新潟の三条でつくられている安価な大量生産品で、鋼と軟鉄がサンドイッチになった利器材という工業製品の板を切りだした鍛造品だから刃が薄く、イカ裂きに使えても出刃包丁代りや薪割りなどは無理。
 
またふくべ鍛冶さんのマキリは、鉈と同じくマキリの茎(なかご)を割った柄に差し込んで釘留めしてあるので、濡れても茎が錆びて折れにくい工夫がしてある。
柄が角ばっているのも好みに削ってカスタマイズできる工夫か?よく考えてあることに感心するし、サバイバルナイフとして現代向けの商品開発に意欲的な姿勢にも感心する。
 
いざという時のために「最強のサバイバルナイフ」を教えてちょうだいと聞かれたりもするが、どんな刃物も研ぎと使い手次第。
 
日ごろから包丁を研いだり木工したりと刃物に慣れしたしんでいないと、ふくべ鍛冶さんのマキリをもっていても宝の持ち腐れになる。
 
 
 

オヤジに献杯してからボクシング観戦・・・異次元の進化をとげた日本のプロボクシング

2024年10月15日 07時46分33秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

10代からボクシングキチガイと呼ばれたオヤジが亡くなってから、オヤジが遠征試合の帰りの電車でよくやっていたようにウイスキーのポケット瓶のキャップで献杯してからボクシング中継を視聴するようになった。今月は三回忌だ。

アマゾンプライムでボクシングの世界戦を二日続けて視聴したが、どれも見ごたえのある試合ばかりでオヤジが生きてたなら隣家にも聞こえる大声で「ジャブだっちゃ!ジャブ!ダボめ!なにやっとるんだやぁ!よしっボデイ!ヒット~!」と騒いでいただろう。

試合をみていて、70年代に「ボデイビルダーのような筋肉から強打」でKOの山を築いた」ロイヤル小林が、フェザー級王者の「ニカラグアの貴公子」アレクシス・アルゲリオに挑戦した試合を思い出した。

ロイヤル小林さん。確か自衛隊体育学校出身のハードパンチャーで、当時の連続ノックアウト記録保持者だったと思う・・・中学の頃の記憶(笑)

両雄がリングに上がった際、引退後に俳優になったほどの美男子で長身痩躯で足の長いアルゲリオと、扁平な顔立ちで上半身は立派でも足が短いロイヤル小林の体格差に唖然として、当時小学生のわたしでも闘う前から小林の敗北を悟った。

アレクシス・アルゲリオは端正なマスクと基本に忠実なスタイリッシュなボクシングとジェントルな試合マナーから、アマチュア選手のお手本になると言われた伝説のボクサー。わたしのアイドルボクサーだった。

「体格に劣る日本人ボクサーはスタミナとスピード、手数で圧倒するしかない」というのが当時のプロボクシング通念だった。

昨夜に的確な強打でKO勝利した中谷潤人や、一昨夜は実直なボクシングで判定勝利したユーリ阿久井もボクシングスタイルは違っても、アルゲリオの体型に似て長身瘦躯で足が長く、オヤジの言葉を借りると「ホンモン」のチャンピョンだった。

リーチ差17㎝もある体格差から勝てそうには見えない拳四郎など、強いチャンピョンをサンドバックのようにして強打を自在に見舞ってKO勝利して、体格差問題を一蹴!

主要4団体の「黄金のバンタム」王座を日本人選手が独占という、20世紀までは考えられなかった事態。その中で中谷は群を抜いている。

日本のプロボクシングは明らかに異次元の進化を遂げたようだ。
技術、スピード、パンチ力もそうだが、なによりメンタルが強くなっている。

好ましいのは態度も言動も謙虚なチャンピョンが多い傾向。これはアマチュアボクシングジムを運営していたオヤジが口うるさく指導していたが、ガッツポーズをする今どきの柔道選手より、よほど武道家にみえる。

#中谷潤人 #拳四郎 #ユーリ阿久井 #ボクシング #おやじ


方言こそ文化、能登の復興のチカラ・・・半村良著「能登怪異譚」

2024年10月08日 06時50分43秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
神社仏閣が軒並み損壊し、過疎化で祭礼の存続が危ぶまれる地域もでてきたし、伝統産業も大きな打撃をうけた能登の文化はどうなる?
そんな心配をしていた矢先にブックスサカイの選書コーナーで見つけた半村良著「能登怪異譚」は、全編が能登方言で書かれた創作怪談で、方言こそ文化と能登の人にすすめまくっている。
 
子々孫々と語られてきた方言こそ地域の基層文化であり、文化の最後の砦。能登に人がいる限りは能登方言は無くならないのだから、能登の子供たちに読み聞かせてやってほしい。方言で話すとご先祖に想いを馳せることができ、けっして独りではないのだと生きる気付くハズ。
 
新潟は方言がないと自慢げに標準語で話す輩がたまにいるが、テレビばかり見て祭りの熱狂とは無縁な生活をしているから、帰属社会の文化に疎いだけなのだ。
 
祭りは世代をつないで文化を継承するもの。方言は文化であり、方言の喪失は文化の砂漠化だ。
 
そこにいくと能登方言は「能登はやさしや土までも」そのままに、温かく柔らかい。
 
ひとくちに能登方言といっても地域差はあるし、同じ輪島市内でも海女同士の会話は異質で、まるで中世の祭文や音楽を聴いているかのような心地よさがある。職能集団で方言が違うのが能登の面白さ。
 
海女たちは中世に北九州から移住してきた海民の子孫たる自負が強く、海女言葉に誇りもってつかっていて実にあっぱれと思う。
 
知ってますか?
 
海女は海士町(あままち)以外の地域に嫁ぐと漁業権が失われるために、結婚しても夫婦別姓の内縁関係だそう。能登を知るたびに文化の奥行きの深さに圧倒される。
 
 
 

頭を垂れて森羅万象を畏れる・・・新海誠監督作品「すずめの戸締り」

2024年10月01日 07時57分50秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
ブックスサカイの選書コーナーで買った浅田次郎著「神坐す山の物語」と「オオカミの護符」を堪能して、いやぁ面白かったです!山岳宗教が好きなんですか?とW主任に感想を伝えたら、この二冊がオオカミを信仰する御嶽神社に関係していることをご存じなく、なんとなく読んでみたいと選書したそうだ。
 
それはそれで見事な勘の良さですねぇと会話してたら自然崇拝の流れになり、東日本大震災とヒトの想いをテーマにした新海誠監督の「すずめの戸締り」を教えられ、DVDをレンタル。
こちらも素晴らしく、「神坐す山の物語」と「オオカミの護符」と森羅万象を神なるものと畏れていた時代の文化を模索する流れにピッタリでしたと感激を伝えたら「すずめの戸締り」は観てないし、オススメした記憶がないと言われた・・・あらぁ・・・。
 
もしやW主任は巫女的な資質があるのか?幽霊とかみたりしない?( ´艸`)
ご本人も驚いていたが、こんなデキゴトを「不思議なことがあるもんだ。畏み畏み」と、人智をこえた神なるものの計らいと感謝し、野暮な分析をせず受容するのが自然崇拝だ。
 
そしてこの態度こそ「縄文人(見習い)」を自称する者の矜持。うわぁ、ミラクル~!なんてSNSで自慢したりはしないw
 
3日から能登入り。能登の神、祖霊のお導きのまま。畏み畏み。
 
 
 
 

山を畏れ「お狗さま」を祀った人々の文化・・・小倉美恵子著「オオカミの護符」

2024年09月28日 06時57分48秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
「自然界の報道写真家」を自称するカメラマンの宮崎学さんとやり取りしていて、「晴れても明日は仏滅だから山にはいらない」と言われてハッとした。
生っ粋の信州人にとって山は恵みをあたえてくれる場である反面、異界として畏れる対象であることに、今さらながらに気づいた。
本書は関東山地から信州南部に多いオオカミ信仰の実態をレポートしたドキュメンタリー映画「オオカミの護符」の撮影後日談も加えた書籍。「ブックスサカイ」のW主任の選書コーナーで購入。ちなみに映画のチラシは当時大学生だった友人のナナちゃんがデザインした。
 
山の生態系の頂点にたつオオカミは、人間を襲わずイノシシやシカを間引いてくれるので、主に山間地で焼き畑農業をする農民から「大口眞神様」「お狗さま」と尊崇された。
そこには天照大御神を頂点とする神界ヒエラルキーも、神なるものの愛や救済の思想はなく、ただ畏れと祈りがあるだけだ。
 
日本が文明国家の仲間入りをした明治期に日本オオカミは絶滅したが、戦後となると山村の若者が都会にでてゆき、「お狗さま」を祀る神社の講も担い手が減少し、山の荒廃もすすんだ。
 
畏れる対象でも利用価値もない土地になったから、メガソーラーや風力発電が無秩序に乱立するに至ったのではなかろうか?
 
今の時代、いまいちど海や山を畏れ祈っていた時代を見直す必要を感じる。
 
 
 
 

大谷翔平と井上尚弥に共通したメンタルの強さと家庭環境・・・ジョー小泉著「ボクシングは科学だ」

2024年09月21日 08時06分35秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
大谷翔平や井上尚弥など、海外で活躍するプロアスリートの出現に隔世の感があるのはわたしだけではないだろう。
本書はわたしと同世代のボクシング経験者なら誰もが読んだ革新的な教本なのだが、日本人ボクサーが世界で評価されない理由として以下のようなことが書かれている。
 
①精神論が優先する練習環境
②強烈なパンチを生む上半身の筋力が劣る体型
③和食は水分が多いのでボデイが打たれ弱い
 
以上から日本人ボクサーが海外で認められるチャンピョンになるには合理的な練習をして、ファイティング原田のような無尽蔵のスタミナとフットワークとデイフェンスを駆使したボクサースタイルと結論していた・・・40年前に読んだのでうる覚えだけどw
今となっては②と③は古臭く感じるが、①に関してはごもっとも。
 
しかしメンタルの弱さについては、精神論に支配されて緊張しすぎとくらいまでしか書かれてはいなかった記憶がある。
 
本書はかって日本人プロ野球選手が、大リーグで活躍できなかった時代に書かれていて、そのままプロ野球にも当てはまるだろう。
 
大谷や井上のみならず、最近のオリンピックで活躍する日本人選手は、傲岸不遜な言動がないこととメンタルが強いことで、それら資質を生んだ円満な家庭環境が共通しているのではないか?
 
特に槍投げで金メダルをとった女子選手の天真爛漫な立振る舞いに、どんな家庭で育ったのか興味が湧く。
 
スポーツだけでなく、今の日本社会はこの人たちのメンタルの強さと家庭環境を学ぶべきなのかも知れない。
 
ちなみに本書の著者のジョー小泉さんは、出版当時は英語・スペイン語・タイ語に堪能で海外にネットワークをもつ謎のプロモーター兼トレーナーとして知られていて、東南アジアっぽい容貌と本職は三菱重工の役員を勤める工学博士という噂もあったので「得体の知れない怪人物」とボクシングマガジンに書かれていた。
 
90年代に衛星放送で解説をするようになり、ダジャレ好きな気さくな人柄が知られるようになり、得体の知れない怪人ではなくなった。
 
世界屈指のボクシング映像のコレクションを誇る研究家、語学力を駆使した試合レポートと解説、プロモーターとしての功績を認められ、ファイティング原田、具志堅用高とならんでボクシングの殿堂入りをした。
 
 
 
 

時代は「石橋湛山」を求める・・・自民党総裁選に思う

2024年09月17日 07時34分09秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
自民党総裁選のポスターに居並ぶ歴代総理のあつかいは、在任期間と認知度でえらんだそうだが、その選定条件と「時代は誰を求めるか?」のキャッチコピーは一致するのだろうか?
わたしならリベラル保守の石橋湛山のような総理大臣を求める。よくわからない人物で、さしもの半島一利さんの著作を読んでもわからない。
 
戦前の湛山は、世論とは真逆に帝国主義・ファシズム・海外覇権主義を批判して、「大日本主義」から軍縮と朝鮮半島・台湾の統治を放棄した道義的国家に舵をとり、国際協調を目指す「小日本主義」を訴えつづけたジャーナリストだった。
 
兵役時の湛山は社会主義者ではないかと上官に睨まれたが、やがて誠実な人道主義者と認められたほどの人格者であったようだが、よくも戦前戦中に堂々と軍部と国策を批判して抹殺されなかったものだと思う。
 
戦後は自民党から政界入りし、岸信介をやぶって55代内閣総理大臣に就任したが、脳梗塞に倒れて岸に総理の座を禅譲した在任65日の短期政権に終わった。
 
今でも党派をこえた国会議員の湛山研究会があると聞くが、なぜ戦時中に抹殺もされず、自民党の総裁になれたかを調べても、人物のスケールが大きすぎるのかよくわからない人だ。
 
ぶれない哲学と折れない心、そして保守と野党にも認められたバランス感覚と人間力。もし総裁選のポスターのど真ん中に湛山がいたなら、自民党もまんざらではないと思うのだが。