縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

火の神アペフチカムイに謹んでお詫びを・・・淡路島の縄文イベントで思ったこと

2023年06月30日 11時30分25秒 | 縄文
縄文音楽祭なるイベントに呼ばれて淡路島までいってきたが、縄文は名ばかりの、日本中どこでもやっている普通の屋外フェスだった。予想通りだけどw
わたしの考える火起こしとは火の神を招来する神聖な儀式なのだが、主催者にとっては縄文っぽい演出の一環であったらしい。
 
ライブの合間の余興のように火起こしさせられ、情けないことに小さなバーベキューコンロの上で焚火にしたのだが、薪をわずかしか用意していないので、誰にかえりみられることなく淋しく立ち消えていった。火起こしの瞬間の写真をインスタにあげたかったのだろうか?そんなことのためにわたしは片道11時間もかけて淡路島に行ったのか?
 
火の神アペフチカムイ様、粗末に扱ってしまい申し訳ございません!ガチな縄文好きなら共通した想いだろう。
 
イベント終了後に早々と淡路島探検に出発。
景色はいいし、海岸におちている石はメノウや青系チャート、瓦の破片が多くてカラフル。
また珪化木を拾えたし、島の至る所に断層が露頭しているので地学好きな人にも面白い土地だ。
「盗まれるほど大人気のトイレットペーパーを売店で発売中!」など、道の駅の看板も面白味ががあっていい。
顔はめ写真にも笑ってしまう
 
こういった諧謔精神が、淡路島出身の高田屋嘉兵衛さんのバックボーンにあるのではないだろうか?
淡路島出身の高田屋嘉兵衛は江戸時代中期後半の偉人。
 
極貧から北前貿易の船主となり、函館港の整備やエトロフ島などの航路開拓をした。無位無官でありながらロシアとの外交問題を三方よしに解決した人物。
 
また和人から奴隷扱いされていたアイヌ民族と対等に交易をして、ロシア人からもアイヌ民族からもタイショー(大将)と尊敬された人物。
嘉兵衛さんの水平的な人間観に、たまらなく縄文の匂いを感じる。人が好きだったのだろう。
 
国家やヒエラルキーを超越した、開明的で現実的な人道主義者、博愛主義者が嘉兵衛さんではなかったか。淡路島の人々が本気で縄文をテーマにした音楽イベントをやりたいのなら、高田屋嘉兵衛さんをテーマにしてはどうだろうネ?
地元の人に聞いても嘉兵衛さんを知らない人がけっこういて、司馬遼太郎が「江戸時代を通じていちばん偉い人」と評した人物を知らないのはもったいないではないか。少なくとも名前だけ縄文より、内実はでると思うけどナ。
 
 
 

勾玉カンザシと縄文カンザシ・・・淡路島の縄文音楽祭にむけて

2023年06月21日 07時22分59秒 | ぬなかわヒスイ工房
週末の淡路島の「縄文音楽祭」にむけて勾玉をつけたカンザシと本物のクルミのカンザシのデイスプレイ台をつくった。
ケースに入れると場所をとるし、手に取ってみた後に別のケースに戻されて商品番号や値段が一致しないことがよくあるので、今回から個別に値段タグをつけ、安い商品は均一値段に統一した。
 
今回のような音楽イベントでは高額商品は売れないから、気軽に買える値段の縄文テイストの商品を揃えたが、ヒスイ製品が売れなくても、いつか勾玉や石笛を買うなら「ぬなかわヒスイ工房!」と宣伝になってくれる。
 
そして糸魚川に興味をもって遊びに来てくれれば、点から面へ、モノからモノガタリへと飲食業や宿泊業にもお金が落ちる。
 
 
 

行政イベントでヌナカワ丸お披露目・・・日本海縄文カヌープロジェクト海

2023年06月19日 07時12分43秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
「ジオカヤック&丸木舟」は絶好の海況に恵まれ、好評のうちに終了。
わたし個人主催のイベントと違い、行政がらみのイベントで丸木舟が表舞台にでた記念すべき日。
実のところ、これまで行政イベントで丸木舟を出したことはあっても脇役的な扱いだったし、評判はよくても担当者が移動すると次がないというジレンマがあった。
運搬には自作のドーリーに載せてターンバックルで結束。アウトリガーを付けてからコンクリートスロープを降ろす。
 
今回は縄文時代の「海のヒスイロード」で丸木舟がつかわれていたという意義をクローズアップして、タイトルに丸木舟の名前をいれて主役級の扱いをしてもらっているのだ。
これは数年前にUターン帰郷した企画会社を運営する伊藤薫さんと知遇を得て、ヒスイの評価をモノからモノガタリへと転換すべきという考えに共感してもらい、その縁で知り合ったアウトドアスポーツに堪能なフォッサマグナミュージアム学芸員の香取さんも交えて「海からみたジオパーク」をやろうではないか!と意気投合したことが発端となり、二年越しで実現したのである。
 
ちなみにジオカヤックとは、カヤックでジオパークの体験学習をするという意味の香取さんの造語で、こうしたネーミングができる行政マンがいることは非常に重要だ。
独りで人集めに苦労していた頃と違い、アウトリガーの組立て、海にだす、引き揚げるなどのシステムを献身的に手伝ってくれるメンバーもいるし、わたしは丸木舟のメンテと当日の運営に専念できるので大助かり。サポート陣は「美山プロジェクト」の方々
 
フォッサマグナのガイドだけ、丸木舟体験だけで終わっては糸魚川の地域特性を語るに片手落ちだ。縄文人がヒスイを丸木舟で各地に運んだというモノガタリが共感を呼び、それが楽しい体験学習であることが重要なのだ。
そしてついに・・・個人所有の丸木舟だから遠慮していたのだけど、屋外保管は劣化が激しいことと、公共性がでてきたのでB&G海洋クラブの艇庫で保管させてもらえないだろうか?と事務局の大ちゃんと池亀会長に相談したらオッケイ牧場~!
 
次なるステップは丸木舟を沖に出して、海から陸地を見てもらうこと、その次は8キロ離れた筒石漁港までの往復航海。海洋高校も乗ってきてくれたら実習船「越山丸」で伴走してもらって佐渡海峡横断と夢は膨らむ。
 
*写真の一部は「ジオカヤック・丸木舟」のアルバムより
 
 

越後と讃岐の縄文コラボレーション作品・・・サヌカイト製鶏頭冠突起ペンダント

2023年06月17日 10時06分26秒 | ぬなかわヒスイ工房
デリケートなサヌカイトの勾玉つくりは、ヒスイより手間暇がかかる。
しかし瀬戸内で打製石器がつくられていた歴史と漆黒が魅力的で、扁平なデザインのペンダントにしてみた。
えらんだ線刻は火焔型土器の口縁部を飾る鶏頭冠突起(けいとうかんとっき)だが、すでに新潟県立博物館が大胆に簡略化したロゴマークにしているので、デザインが被らないように苦労する。
結局、たくさんある鋸歯状の凸凹を研磨しなけりゃならないので勾玉と同じくらい時間がかかったが、勾玉より気軽に身につけられるペンダントとして縄文ファンの心を射止めるのだw。
 
 
 

教えて気付く学び・・・ぬなかわヒスイ工房式の勾玉ワークショップ

2023年06月15日 07時00分40秒 | ぬなかわヒスイ工房
勾玉ワークショップの紐あなの穿孔は、錐もみ・弓きり・紐きりの3種類を試してもらったら、紐きり式が最もつかいやすかったそうだ。
紐きり式は初心者の発火法も同じだから、今後はワークショップのスタンダードにしようと思う。もちろん穿孔具の先端は竹で、石に竹で穴をあけることができるの!と参加者は驚いていた。
手前の赤い服の女性がやっているのは弓きり式、水色の服の女性が錐もみ式の穿孔法。
 
なかには三角形をしたヒスイの欠片をグリグリさせて貫通させた女性もいて、紐あながでかい縄文前期の滑石勾玉ならこんな穿孔法もやっていたかも?と気付きになった。
次回があるとすれば石英を潰して研磨砂をつくってもらい、濡らした竹の先端にくっつけて穿孔してもらおうと思う。作業効率はぐんとよくなるだろう。
休憩時には縄文式の石皿でコーヒー豆を擂り潰してコーヒータイム。みんなやりたがる遊びだ。
 
帰宅して後片付けをしていたら、目の前に土器の内磨きにつかうハマグリの貝殻があって閃いた。縁を鋭利に研ぎだせば丁子頭勾玉の刻みや腹部のえぐり、仕上げ研磨につかえそうだ。
帰路に小谷村の24時間営業の露天風呂で休憩。土曜日は車中泊の常連が夜中まで酒盛りをしてやかましいのだけど、日曜の夜は静かでよろしい。
 
人に教えると勉強になりますな!
 
 
 

 


ハードボイルドなコーヒーを「飲まずに死ねるか!」・・・荒川じんぺいさんの移動コーヒーショップ「野点庵」

2023年06月12日 09時15分30秒 | ぬなかわヒスイ工房
八ヶ岳南麓の縄文講座の前に、荒川じんぺいさんの移動コーヒーショップ「野点庵」に寄る。
荒川さんは流木造形作家やエッセイストとしてアウトドア雑誌「ビーパル」で連載していた時代から知っていたが、この日が初対面。
冒険小説を中心に2,000冊もの装丁をしたイラストレーターでもあったことを教えて頂き、「ハードボイルドだど!」「読まずに死ねるか!」の内藤陳さんなど、交友のあった作家たちとの思い出話をお聞きする。
 
荒川さんに作品を見せていたら、もしかしたら縄文の勾玉ワークショップ講師の山田さん?と声をかけてきた男性がいた。
今回の勾玉ワークショップ主催者の多田氏の友人で、滋賀から漬物つくりワークショップの講師に来ていた中川仁さんだそう。コーヒーを誘って荒川さんの話を聞く。
 
現在の荒川さんは晴耕雨読で悠々自適に、曜日によって三分一湧水公園や井戸尻遺跡前でコーヒーを提供しているとのこと。コーヒー色の軽トラをみたら寄ってみるべし。
日本の冒険小説やアウトドア黎明期の生き証人の淹れるハードボイルドコーヒーを「飲まずに死ねるか!」
 
 
 

 


無秩序な化石探しに物申す!・・・「石のまち糸魚川」が生んだ問題

2023年06月09日 07時35分06秒 | ヒスイ
糸魚川の海岸で化石を探すのだと、ハンマーで石を割っている人がたまにいる。長野の人が多いようだ。
安山岩や花崗岩、蛇紋岩といった変成岩を割っても化石がでることはないし、破片が飛び散ったり、鋭い角ができる危険な行為ですヨと注意してはいるが・・・。
 
「石のまち糸魚川」人気が独り歩きしているのだが、所有欲を満たすためにモノを破壊することに心の痛みを感じない感受性に憤りを感じるし、これは立派な環境破壊だ。
 
モノの希少価値に焦点を当てたPRも考えなおして欲しいもので、観光客に「糸魚川でヒスイや化石をタダでゲット!」と認識されては片手落ちだ。だからこそモノからモノガタリへ!その点、ロックバランシングはいい。
 
あれしちゃ駄目、これしちゃ駄目と、野暮な注意看板が海岸に並ぶ日が来るかも知れない。
 
数年前にフォッサマグナミュージアムの受付で注意喚起してください割られた石をもって行ったことがあったが、何も動きはなかった。
 
長野のローカル新聞やテレビで問題提起してもらうのが効果があるのではないだろうか?動いてみっか。
 
 
 

丸木舟の止水にゼンマイ綿!・・・日本海の女王「ヌナカワ丸」

2023年06月08日 07時16分14秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
6月18日「ジオカヤック」にむけてヌナカワ丸の改修を続けている。
座席を固定式から変更して、内壁に欠き込みをつくり、板を落とすだけにして5人定員に増やした。
 
下手に固定すると接合部が腐る原因になるし、工具なしで外せるようにしておけばメンテしやすく、多少なら漕ぎやすい位置に座面をずらせる工夫である。
ちなみに丸木舟は乾燥すると乾燥収縮してヒビ割れしやすくなるので、座席はその曲げ応力を相殺する横梁の機能もある。
 
頭を悩ませていたヒビ割れ箇所の止水については、和船ならマキハダを詰めるところだが高価だから保留!インドでは解したロープと椰子の繊維を詰めて、アスファルト乳剤でコーティングしていたが臭うので却下!
 
窮すれば通ずで、ヒビ割れにゼンマイ綿、解した木綿紐、ボロ布を詰めて表面をカシュー塗料でコーティングするアイデアを思い付いた。
左からボロ布、解した木綿糸、ゼンマイ綿。たとえカシュー塗料の止水効果が期待できなくとも、ゼンマイ綿をみっちり詰めてあれば止水効果は高いのではないだろうか。自然素材だから海に落ちても安心だ。
ゼンマイ綿を詰めてカシュー塗料を塗った図。何回か塗り重ねてみる予定。ヒビ割れアカ(漏水)は木造船には付き物だから、海水がたまってきたら排水すればいいのだ。
 
このアイデアが駄目でも、それも学び。日本のロケット開発の父、糸川英夫博士は失敗を「成果」として評価したそうだ。
 
 
 

縄文翡翠ワンド誕生!・・・「ハリーポッター」で人気がでた魔法の杖ワンド

2023年06月06日 07時25分53秒 | ぬなかわヒスイ工房
ぬなかわヒスイ工房謹製「縄文ヒスイワンド」でございます。
ワンドなるものとは?魔法使いの杖らしいw
 
ここ数年、先端に水晶をつけた棒をもった来客が増えてきて、訳をきいたら映画「ハリーポッター」に登場してから人気が出たグッズだそう。
 
そこで「ハリーポッター」を観たら、主人公が「選ばれたエリート」「天才の家系」というベタな設定だけで興味が失せ、最後まで観ることができなかった・・・ヒマラヤ山中で苦行を積んで身につけた魔法ならいいのだが( ´艸`)
青ヒスイでござります。
 
ワンドは人によってはヒーリンググッズ、あるいは魔女コスプレグッズ?と用途や意匠は様々なようだ。
天然国産赤メノウでござります。市販の赤メノウは着色したブラジル産が多いので貴重なのです。
 
スピリチュアルやヒーリング方面には半径50m以内に近づきたくないタイプだが、縄文好きのヒスイ職人として創作意欲が湧いた。
 
自己満足に終わらず、女子のハートを鷲掴みするモノに仕上げるために試作品を魔法使いっぽいご婦人たちにメールしてみてもらい、アドバイスをもらっているところ。奥しゃ~ん、よかろーもん?と、縄文イベントで売るのである。
 
 
 
 

縄文ヒスイ漫談トーク会のご案内・・・ヒトとヒスイの物語

2023年06月05日 08時25分45秒 | ぬなかわヒスイ工房
縄文ヒスイ漫談をしながら、午前中は「海のヒスイロード検証実験航海」のトーク、昼から出土品の勾玉の複製ワークショップやります。
縄文時代の勾玉の複製ワークショップは珍しい、というか誰もやってないかも。もちろん紐孔は竹であけるし、糸魚川の縄文人が愛用していた「手取層群の砂岩」でつくった治具も使用。
 
途中で古武術ワークショップになったりの脱線も見込まれるw