縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

インドの薪割り職人・・・各国薪割り事情紹介シリーズ

2017年07月31日 06時55分45秒 | 民俗学ごっこ

ガイアでの「古武術式薪割り講座」が間近になったので、参加者のために参考資料として各国の薪割り事情を紹介。

今回は南インドの薪割り職人の超絶な仕事振り。

炎天下、小柄な老人が「フンッ!フンッ!」と、呻き声のような、気合のような鼻息を漏らしながら黙々と薪割りしている所に出くわした。

 

状況から薪割り職人であるらしいが、彼の使っている斧は、これまで見たことがないほど巨大な斧!

 

一般的な斧は重さ2キロ前後から3キロくらいで、3キロ以上もあると重さに振り回されて扱いが相当に難しく、日本だと特注品になる。

もっとも薪割りではなく斫り(ハツリ)用の鉞(マサカリ)なら3キロを優に超える重さがある。

鉞は、金太郎さんが担いでいる幅の広い斧で、丸太の上に乗って鉞を振り子状に動かして側面を平らに削っていくものであって、振りかぶって薪割りするにはあまりにも重く、バランスも悪い。

後から市場の金物屋さんに行って、老人が使っていた斧を探したら3・5Kと刻印されていた。

重さ4キロ近くもある巨大な斧をふるって一日中薪割りをしていたのだ。

腕力に頼らず、背骨の力を最大限に使う驚くべき身体能力と体力!

この付近には先端が平らではなく、丸まった丸太も置いてあったので、伐採もチェーンソウだけではなく斧を使っているのだろう。

 

チェーンソウや切断用の鋸である大鋸挽き(オガビキ)で伐採された丸太は、小口(先端の切口)が平らになっているが、斧だと丸くなるのだ。

日本では丸太を玉切りして縦に立てて薪割りするが、インドや東南アジアでは横に寝かせての薪割りしていることが多い。

丸太は用材として使い、用材にならない枝や流木などを薪に使っているという事だろうが、これならチェーンソウは必要ないという訳だ。

丸太の中には先端に四角い孔が穿ってあるものもあった。

 

「メドが立つ」の語源である目途穴で、伐採された丸太を目途穴に角材を差し込んで手がかりとして、森林から引っ張り出すための工夫・・・。

諏訪大社の御柱の先端にも目途穴が開けてあり、糸魚川の縄文後期の寺地遺跡出土の木柱にも加工痕が残っている。

三千年前の縄文の昔から御柱、そして現代インドに継承されている林業仕事の手業・・・凄いもんだ。

 

 

 


この夏、gaiAでウッドジョブ!・・・古武術式薪割り術

2017年07月21日 23時46分44秒 | 田舎暮らし

8月6日に予定されているgaiAでの体験会詳細が決定した。

昼間は林業男子でもあるハラ原人によるチェーンソウを使った丸太の玉切り講座と、私の古武術式薪割り講座の「ハラ原人と縄文人(見習い)のウッドジョブ!」

古武術式薪割りとは、ナンバ歩きを世に広めた古武術研究家の甲野善紀先生が考案した、腕力に頼らない体術としての薪割り術である。

私が主宰した薪割り稽古会にボランティア講師として参加して頂いた時の甲野善紀先生。

私は甲野先生の不肖の弟子で、ある時に同じく刃物好きと分かり、「薪割りは、古流剣術の回剣を使うと効率がいいのだ。」と木刀を使って動きを見せて頂いたのが発端。

あとは実際に薪割りをしながら私が学ぶ整体の解釈を加えて、整体の稽古向きに練り上げていったのが、私の教える古武術式薪割り術。

 斧を体側に沿わて持ち上げて振り下ろす・・・振り下ろす時は足裏を垂直に浮かせるように体落としするのが古武術式薪割り。
 
右手は斧の柄をしっかり握らず、滑らせている所に注目して頂きたい。
日本の古典技芸には「重い物は軽く、軽い物は重く持つ」という教えがあり、この斧の持ち方が最も軽く斧を扱えるという事。
逆に一般的な頭の真上に斧を持ち上げた場合は、斧を最も重く持っている事になる。
時代劇でよくある竹を斜めに切る技術を披露する甲野先生・・・お主、やるな!という場面(笑)
 
竹切りも伝授するが、ただしgaiAは高原地帯なので竹は自生しておらず、小枝で代用。
 
私のコレクションの一部。実はこの3倍くらい持っている(笑)
 
 
この夏、gaiAでレッツ、ウッドジョブ!
 
 

 


斧を研ぐ

2017年07月20日 21時26分03秒 | 田舎暮らし

先日のgaiA訪問時、空き時間があったので薪割りでもしてやろうかとハラ原人の斧と鉈を見て絶句。

私は他人の刃物を見るたびに絶句するのだ(笑)

斧も鉈は刃が丸まっているばかりか欠けもあり、全体に錆びが回っている。左端の細長い斧は、根切りといって樹の根っこを切断する斧で、臼作りの時の内側抉りにも使う貴重な斧・・・拾ったそうだ(笑)

 

普段は薪割りばに放置してあるから尤もだが、これでは薪割りも容易ではない。

まずは研ぐ事が先決だが、最初に欠けた部分をグラインダーで成形して、小形砥石で蛤刃を付けてやった。

 

研ぐ前と後では作業効率が大違いで、ハラ原人も驚いていた。

ボランティアスタッフも薪割りに参加。

危険なモノを慎重に扱う力仕事をする若者の姿っていいもんだ。

私が普段持ち歩いている鉈は、土佐の枝打ち鉈。刃が膨らんだ「おたふく」になっているので木の製材にも使え、丸木舟作りの時も活躍した。

これも普段から車に積んである剪定挟み。ホームセンターでも売っている岡恒というメーカーで、植木屋の愛好者も多い。

 

そんな訳で、8月6日のgaiAでの体験会は、昼間は斧や鉈の研ぎ方を含めた薪割り講座、夜は予定通りに忍者入門講座をすることになった。


南魚沼のレストランgaiA訪問記・・・大人の遊園地

2017年07月18日 10時12分49秒 | 田舎暮らし

糸魚川に何度も遊びに来ている南魚沼のレストランgaiA(ガイア)のハラ原人夫妻に乞われて、8月6日のイベントの講師をすることになった。

内容は忍者入門講座(笑)

どんな内容が出来るのかを事前調査するため、初めてgaiAを訪れた。

広い敷地付のスキー客用のロッジを格安で買い取り、大人の遊園地を作っているのがガイア。

大人の遊びには欠かせない焚火スペース

正体不明のオブジェは、共通の友人である柏崎出身の放浪の歌姫、Phoka(ホカ)ちゃんの作品。

タイ奥地に点在するヒッピーコミュニティの風景のようなピザ釜スペース(笑)

 

この日は屋久島在住の前衛舞踏家の虫丸さんの即興舞踏イベントがあり、ニュージーランド人、フランス人、ロシア人、インド人も交えて老若男女が集って大盛況。

特によかったのが、最後に越後が誇る民俗芸能、瞽女漫才と舞踏のセッションで、剽げた調子の瞽女唄に虫丸の舞踏もノリノリとなり、田楽踊りのようだった。

お金のない個人がこれだけの人を集めて楽しませる、素晴らしいこと。

ボランティアスタッフのために飯を給仕するハラ原人の本名は原君。焚火で炊いたご飯が絶品という技を持ち、奥ゆかしくもたくましい男。

 

今後は竪穴住居や露天風呂も作っていこうぜ、と我々は意気軒高である。

お金はないけど、仲間と楽しい時間を過ごすために知恵を絞り、労力を惜しまないハラ原人夫妻にエールを送りたい。

 

 

 


夏の履物・・・糸魚川ならギョサンがイチオシ!

2017年07月14日 07時53分59秒 | 田舎暮らし

明かり取りのために屋根を透明なポリカーボネード波板で葺いたぬなかわヒスイ工房・・・夏は地獄のように暑い。

汗をかきかき仕事した日は、早めに仕事を切り上げて海に入るのが愉しみ。

素潜りセットを籠にいれて自転車で5分のヒスイ海岸へ。

高校生の時に買った足ヒレは、30年経っても現役!用途に応じて幾つかの足ヒレを使い分けているせいもあるが、メイドインジャパンは凄い。

深度2mの海底でラベンダーヒスイを拾った。小さくて発色が悪いので海に戻す・・・大きくなって帰って来いよ~!(笑)

 

ヒンヤリした海水が火照った体を冷やして気持ちいい。

深度2mくらいの所から潜って海底を這うように沖に向かう・・・徐々に海水が冷たくなり、火照った体を冷やしてくれる。

聴こえるのは自分の吐く息の泡ぶく、ウネリに揺れる海底の砂利の音くらいの静寂の世界。

海底から明るい海面を目指して浮上・・・サワサワと体表面を撫でていく海水が心地よい。

泳いで冷えた体を残照で温める・・・田舎暮らしっていいな。

 

さて問題はビーチサンダルである。

藤沢在住時代は地元ブランドの「げんべい」のビーチサンダルを愛用していたが、糸魚川のような石浜や岩場の海では、足を取られて鼻緒が抜けてしまうことがある。

そんな訳で現在はギョサンを愛用・・・小笠原諸島の漁協で売っている漁師さんご用達サンダルだから漁業サンダル、転じてギョサン。

鼻緒が抜けない一体成型だから、足場の悪い所でも安心だし、水にも浮く。

26㎝サイズの私にはLサイズがピッタシだから、磯遊びや石拾い用はLサイズ、ゆとりのあるLLサイズは日常用と色を変えて使い分けている。

 

Lサイズを履いて足の指を広げると、指が少しはみ出すので、踏ん張りが効いて実に具合がいい。

濡れた鉄板の上だと滑りやすいウレタン製のサンダルより、滑べり難いのもいい。

サイズやカラーバリエーションが豊富で耐久性抜群、これで800円は安さ。

色々試したが、糸魚川ならギョサンが一番向いているぞ。

 

 

 


ラベンダービーチの乙なオブジェ・・・ソッテ(鳥竿)

2017年07月08日 22時21分06秒 | 糸魚川自慢

たった三畳しかないぬなかわヒスイ工房は、来客はギリギリ二人までが限界。

時には10名を超える来客もあるが、最も多い来客単位が1~3名なので、私も入れて4名は工房で寛いで話すために増築を計画している。

といっても、敷地に制約があるので三畳から六畳弱に広くなる程度。

大勢の来客時には工房前の庭を整備して寛いで頂くため、ガーデニングを先行している。

ガーデニングには石が必要・・・夕闇迫るラベンダービーチに石を拾いに行ったら、乙なオブジェ発見。

誰が作ったのか、まるでソッテ(鳥竿)そっくりだ。

 

ソッテは朝鮮半島の道祖神のようなもので、鳥居の上に乗っているバリエーションもある。

鳥が居るから鳥居なのだな、と即座に理解できる鳥居の元祖?

日本の鳥居の元祖を中国・朝鮮とする説があるが、北部ラオスのアカ族の村境にだってよくある。

右の鳥居の横にぶら下がっている物体は・・・。

赤と青の鳥形。

場所によっては鳥居が幾つも続いていることもあり、まるでお稲荷さんのよう。

彫刻があり、天に指向する先端が尖った横木を持つパターン。

七夕飾りのようなパターン。籠目が付けられている所に注目して頂きたい。

 

発祥地や伝播ルートはともかく、鳥は常世と現世を「トリ繋ぐ」役目をイメージさせてくれる生き物であるには違いない。

糸魚川の春の風物詩、けんか祭りの大役の鳥爺(トリジ)も、神様の使いなのだ。


外国人のクールジャパン!・・・縄文と身体文化

2017年07月05日 11時11分04秒 | ぬなかわヒスイ工房

南魚沼のレストランgaiA(ガイア)のハラ原人夫妻が、ヒッチハイク旅行中のフランス人建築家のルイ君を連れてきたので、我が家に泊めてあげた。

ルイ君は日本土産に「ぬなかわヒスイ工房」で作っている縄文オカリナを買いたいとの事。

外国人にも縄文のクールさが解るらしく、店舗販売して頂いている京都の「民族楽器コイズミ」さんでも外国人旅行者が面白がって買っていくらしい。

縄文オカリナがいたく気に入ったルイ君。肩に風呂敷が掛かっているが、これは私のお袋からのプレゼント(笑)

三味線の稽古は、新潟県の民謡大会で優勝したお袋の日課。二階の納戸から聴こえてくる三味線の音色に「ナンダ?」という事になり、稽古に乱入の図


さてルイ君、お袋の三味線に興味を持ったのを手始めに、私の縄文文化論や身体文化論に興味津々で、ついには侍や忍者の作法や所作実演のミニ講座が深夜まで及んだ。

縄文もクールだが、外国人にとっては古の日本の身体文化や民俗文化もクール。

一本歯の下駄は修験者の登山靴。私の所属する整体協会では腰の感覚を掴む稽古グッズだ。


そのご縁で、8月にgaiAで「忍者入門講座」をすることになった(笑)

君も忍者になれる!



物作りからモノ造りへ・・・やってきた石笛「珠玉」

2017年07月03日 22時20分21秒 | ぬなかわヒスイ工房

一見してヒスイ原石に孔を開けただけのような姿の石笛、実は葡萄ヒスイと呼ばれる原石を半分くらいまで削り込んで造ってある。

葡萄ヒスイは、不純物である黒い角閃石が混じった圧砕ヒスイで、極端に柔らかい角閃石部分が凹んで葡萄のように見えるヒスイ原石。

完成した時、その姿、存在に圧倒されて、売り物扱いしただけで罰が当たるような気がした。

ワタシが作った石笛ではなく、ワタシという主語のない、やって来た石笛。

珠玉と銘打って、非売品扱いにした。

「物作り」と「モノ造り」の違いが、朧気ながら解りかけてきたのか?

天然石笛があるのに、何故、人為で石笛を作る必要があるのか?

それは物質からモノへの変容・・・私は芭蕉の造化という言葉に答えを求めている。

古典教養や花鳥風月に通じ、尋常ならざる感覚の鋭いあるお方に、珠玉を観て頂いた。

私が人生最大の師匠と仰ぐお方。

珠玉を手にした師匠、「具象が残っているだろ?抽象を目指さないと・・・例えばこの部分とこの部分。」と、禅問答のような事を仰る。

なるほど、とは思うが、今の私には具体的にどうすればいいのか解らない。

禅問答が続くが、この石笛がやって来てから何かが変わった。

目指すのは長次郎!

先は長い。