縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

邪馬台国の勾玉の謎・・・勾玉探偵

2023年02月26日 08時26分12秒 | ヒスイ
勾玉探偵のおどろき!
佐賀県埋蔵文化財センターに勾玉のことを問合せたら、邪馬台国の拠点?と取り沙汰される「吉野ケ里遺跡」から、たった1点の勾玉しか出土していないと聞いて驚いた。
どんな勾玉か知りたければ、誰でも無料使用できる画像サービスがあると教えられたのがこの写真。
 
①石針で片側穿孔している②良質なヒスイ③頭部に一条の刻みがある特徴は、縄文勾玉の系譜にある弥生前期の北部九州の勾玉のようだ。時期的には納得できる勾玉であるものの、邪馬台国の拠点であったなら、もっと沢山の勾玉が出土してもよさそう。
 
そこで「最初は吉野ケ里遺跡にあったが畿内に遷都した説」に乗っかって、遷都でお宝も畿内に移した?という疑問が湧く。それならば畿内に類型の勾玉がたくさんあるはずで、奈良の橿原考古館に行って確認せねばならん。
 
「吉野ケ里遺跡は朝鮮交易の出先機関・畿内は行政庁説」にもこの図式が当てはまるりそうだけど、それにしても1点しか出土していないとはどういうこと?深掘りするほど謎がでてきますですなぁ。
 
 
 

インパール戦に従軍した学徒兵・・・映画「きけわだつみの声」

2023年02月25日 07時59分29秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

インパール戦に従軍した学徒兵を題材にした映画をレンタル屋でみつけた。

後に東映社長として大衆受けする戦争大作をヒットさせていく岡田茂が26歳の時に製作した映画。岡田が絶対的な存在として製作をしていた東映の戦争映画は軍国主義を賛美していると批判をうけることもあったが、岡田自身は無思想で「映画に芸術はいらん。なんぼ儲かるかだけだ」と豪語していた。この映画にも時代劇の悪代官のような上官が登場するが、文芸映画の範疇でヒットさせている。

 

半藤一利さんの追悼番組のなかで、大正時代の学生は「八紘一宇」という概念を笑っていたが、その風潮が一機にかわったのは昭和の満州事変から、との証言があった。

調べたら満州事変から学徒出陣まで17年間。この期間になにがあったかを学校できちんと教えなければならないのだが、サラッと習った記憶しかない。
 
当初はインテリ層に笑われていた皇国史観が、世界的な帝国主義の時流と合致して国是として絶対化して、日中戦争をへて太平洋戦争となっていく見逃せない期間なのだから、学校で教えるべきだろう。
 
圧倒的な兵力差と空腹に耐え、上官からパワハラをうけ、泥にまみて死んで、埋葬されることもなく朽ちていったのは「学業なかばで戦場に駆り出されたかわいそうな学生」だけではなく、学校へ行けなかった圧倒的多数の民草はもっと死んでいる。
 
わたしの祖父も民草として「生き地獄のインパール戦」に従軍したが、飢餓から目がみえなくなった部下を見捨てず連れて生還した立派な人。
戦争について何も語ることはなかった祖父だが、死後に助けられた元部下から追悼の手紙がきて、そのことが書かれていた。尊敬する。
 
 

人差し指で空手家を圧倒する武術家・・・古流武術家「黒田鉄山」

2023年02月24日 06時52分59秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

【古武術×空手】超豪華達人コラボ!中達也師範が体験した黒田鉄山師範の“神速”の世界とは⁉︎ 前編 Budo collaboration! Tetsuzan Kuroda × Tatsuya Naka

松濤館空手本部道場の師範、中達也先生を相手に、人差し指で腕相撲する古流武術家の黒田鉄山先生。どのような結果になるのか興味ある人は動画をみてほしい。
 
「型は実戦の雛形ではなく、技をかける体の使い方、術理を学ぶためのもの」と教える鉄山先生の演武は舞いのように美しい。暴力的な力の拒否、力を抜くこと、等速運動を唱え、ゆっくり静かに動いて技が効かないと技になっていないと断言する。
 
他流では刀の柄頭を抑えられたら柄を回転させて相手をブンと投げるが、鉄山先生は相手がいないかのように簡単に抜刀してみせる。これほどの達人でも、直径15㎝もある柿の樹を一刀両断、満州で馬賊に襲われた際に小銃ごと真っ二つにしたご尊父の泰治先生には遠く及ばないと謙遜する真の武術家。
 
NHKの人気番組「明鏡止水」に各界の達人がゲストに呼ばれてていて、ひさしぶりに鉄山先生の演武を観たら「日の本一の武術家」と実感した。改めて著作を読み直し、動画を視聴してみると、わたしのヒスイ加工の基本理念に多大な影響を受けていることも実感。
 
この動画で披露している「遊び稽古」は、わたしの恩師の甲野善紀先生との出逢いから、現代人に術理を学ばせる方法として鉄山先生が考案したものであるらしい。わたしも弟子筋の方から教えてもらったことがあるが、それは既存の身体観を覆す体験で、失われてはいけない日本の文化遺産だと思った。若い頃に出あいたかったですねぇ。

出雲大社の宝物「真名井の勾玉」の謎を追う・・・勾玉探偵の気づき

2023年02月20日 07時26分40秒 | ぬなかわヒスイ工房

「勾玉探偵の気づき」

左端の宇木汲田の丁子頭勾玉(20%スケールダウン)と、中央の真名井の勾玉(原寸大)を同時につくって大変な収穫があった。
右端はわたしの定番デザイン勾玉(縦27㎜)で、サイズ比較に並べると小さくみえるが、現代の勾玉にしたら大型の部類だ。
出雲大社の宝物と知られる流麗な真名井勾玉は、北部九州の定形勾玉の系譜と思いきや、頭部と尾部の大きさに大きな差がなく、同心円状の腹部のえぐりをもつ西部北陸の半玦勾玉をスマートにして面取りした系譜、と実感した。
対して、宇木汲田の勾玉は釣針状の腹部のえぐりを持つので断面の曲面率が変化し続けるし、胴部が間延びしてもいるので造形も研磨も大変で、回転工具のリューターでは凸凹して滑らかに仕上げられず、最後は大昔と同じく棒砥石で手研磨。
 
その点、真名井勾玉の系統は造形も研磨も難しいものではないが、その特徴の無さが僅かな差で美醜の分かれ目になる点では難しい立体造形だ。実物の紐孔は5㎜もあるので魚や蛇などの生き物の眼を思わせるが、訳あって4㎜にしてあるので、ちょっと印象は違う。
 
考古学の先生方にもファンが多い宇木汲田の勾玉は、つくるのに手間暇がかかり過ぎる。
だから勾玉が量産される古墳時代以降は、シンプルな半玦勾玉の系譜に吸収されていったのではないだろうか?
 
ちなみに私の定番モデルは北部九州の定形勾玉を手本にした、頭部が腹部に若干入り込んだ形状なので、やはり手間暇がかかる。
ほほ笑んでいるようで、つくるのが楽しいんですよねぇ。
 
 

春だから特別な贈り物・・・古代風の勾玉首飾り

2023年02月18日 07時49分57秒 | ぬなかわヒスイ工房
水晶の管玉は考古資料にはなく、幕末以降くらいからつくられていたようなので、古物と偽って転売される恐れはなかろうと開発した古代風の勾玉首飾り。
ヒスイ勾玉を中央に据え両脇を赤メノウ勾玉に従えた。
ヒスイ勾玉の形は弥生時代の定形勾玉にしたいが、現代につくられたものということを明らかにするためにオリジナルデザインにしてある。
 
遺物の画像検索をしていたら、真名井遺跡の勾玉とわたしの勾玉を388,820円という半端な値段で売っているサイトを発見した(笑)噂の偽サイトであるらしいが、会社概要もなく日本語も怪しく、画像無断使用の抗議をする気にもならず笑ってしまった。
 
けしからんのはオタマジャクシみたいな安っぽい勾玉が、70万円で売っているではないか!どんな価値観の人がつくったサイトだろう( ´艸`)
 
水晶の管玉と赤メノウの組合せは女性的な印象になりますねぇ。
なぜか今年の年度末は、地元の人からお祝いの贈り物の依頼が多い。昨年亡くなった親父が応援してくれてるのかな。
 
まだ注文品は残ってる。次いこう~!
 
 
 

 


真名井の勾玉の謎!・・・勾玉探偵

2023年02月17日 07時55分23秒 | ぬなかわヒスイ工房
勾玉探偵の趣味と実益をかねた遊び。
右端が北九州の宇木汲田遺跡出土の丁子頭勾玉、右から3番目が出雲大社の宝物でもある真名井遺跡出土の勾玉の実測図からおこした原寸型。
 
2番目と4番目は、そのプロポーション比較のために縦27㎜に縮小した型だが、際立ってデザインの違いがわかった。
 
わたしの関心は、ヒスイの加工をしていなかった島根の遺跡から出土した真名井の勾玉が、いつ、どこでつくられた?というもの。
 
実測すると真名井の勾玉の紐孔は、直径5㎜もある片側穿孔なので、石針で穿孔したにはでか過ぎるので、管錐で穿孔した縄文勾玉の系譜のように思える。してみると製作時期は弥生中期の前葉か?ちなみに宇木汲田を含め、北部九州の勾玉は両側穿孔された小さな紐孔のようだから、穿孔技術は北陸系のようだ。
 
勾玉のプロポーションは、胴部の断面が宇木汲田が円形に対して真名井が楕円形。
 
スマートな北部九州の定形勾玉と、角を丸めないCの字をした西部北陸方面の半玦形勾玉の折衷なのではないか?
 
見逃せないのは、真名井の勾玉はガラスのような透明感のある非常に美しいロウカンヒスイということで、これはロウカンヒスイの勾玉の本家といえる唐津平野から出土する勾玉の系譜ということだ。
 
そこで点と点を繋いで・・・弥生中期の定形勾玉が完成する以前の北部九州に、西部北陸から半玦形勾玉が渡ってきて、北部九州でも半玦形勾玉系をロウカンヒスイでつくるようになった。
 
その北部九州メイドの半玦形勾玉をスマートにしてみたのが真名井の勾玉で、こりゃいける!と喜んだ職人が頭部を球状に、胴部断面を円形にした、さらにスマートな定形勾玉へと発展させていった。ということは真名井の勾玉は、定形勾玉のプロトタイプではないか?・・・という物語りが浮かびあがってきた。
 
もちろん「既存のアカデミズにとらわれない学問領域」のニューアカデミズおじさんではないから、断定はしない(笑)
 
石川県・福井県といった西部北陸、丹後半島、北部九州の勾玉の出土状況、玉つくり遺跡を調べて検証を地道にしていく訳ですな。
 
 
 
 

石なのに柔らかく温かみを感じるモノをめざす・・・笑う岩偶モチーフ石笛

2023年02月16日 09時36分08秒 | ぬなかわヒスイ工房
すっかり忘れていたのだが、二年前に投稿した「笑う岩偶」をモデルにした石笛の写真がでてきて、われながら斬新な作品だ!と笑った( ´艸`)
あの当時は地味で不人気な色のヒスイの活用がマイブームで、艶消し研磨してから線刻する土偶モチーフを連作していた。
額の孔はペンダント仕様の孔だけど紐をはずすと吹くことができ、量産品の石笛よりいい音がする。
奇をてらったデザインと笑うなかれ。ちゃんとオクターブ半の音域があるので、名人クラスなら楽曲演奏もできる。
石なのに柔らかく、温かみを感じる質感を目指しております。これぞ芭蕉先生の仰る「造化」ではないか?
 
「艶消し研磨」と「切削傷や研磨傷がのこっている艶が出てない研磨」をいっしょにしてもらっては困る。似て非なる異次元の技術差なのだぞ(笑)
 
 
 
 

 


勾玉キーホルダー金具の補修・・・焼き入れ・焼きもどし

2023年02月14日 07時38分01秒 | ぬなかわヒスイ工房
地元の人が土産物屋で買った勾玉のキーホルダーの金具が壊れたとの補修依頼。
最初はバチカンという華奢な金具であったらしいので、ステンレスの針金で自作。
 
針金そのままでは弱いので、大まかに成形してからバーナーで赤く焼いてから水で急冷する「焼き入れ」をして硬くする。そのままでは脆いので、再びバーナーで焼いて空冷して靭性を復活させる「焼きもどし」をして、成形の微調整。
 
黒い煤をスポンジヤスリで磨いて取付け完了。指でひっぱったくらいではびくともせず合格!
 
この技術は「平成の大首飾り」で。線径5㎜もある銅線で耳環を作る必要があり、ネット検索で自得した。簡単に書いているけど、ジャスト寸法・形にするのに4回も作りなおしているのですぞ。これがプロの仕事( ´艸`)
 
 
 

ステンレスに孔をあける・・・プルプルゆれる「ゆりかご勾玉」

2023年02月12日 07時09分46秒 | ぬなかわヒスイ工房
初代のプルプルゆれる「ゆりかご勾玉」では自作シルバーリングをつかっていたが、既製品のサージカルステンレス製リングにかえてみた。
リングを母胎、勾玉を羊水に浮かぶ胎児にみたてたシリーズ。自作したシルバーリングのバラつきがおおきすぎて規格化できずにいたので保留のままになってたのよ(笑)
サージカルステンレスは医療用メスと同じ素材だから貴金属ではないというデメリットがある反面、頑丈なうえに錆びず、安価で金属アレルギーにも強いメリットもある。
 
そして非常に硬いので、最初は直径1㎜の小孔ですら貫通させられず、足掛け一週間の試行錯誤の末に、ついに5分で貫通できる方法をみつけた。
ワイヤーも金と銀で試作したが、次はリングの奥行き幅を1㎜アップしたリングを取り寄せて勾玉の小型化したりと相性を確かめ、オシャレ女子たちの意見を聴いて育てていく。
 
 
 

女友達は「カワイイ」の先生・・・ラベンダーヒスイの勾玉

2023年02月09日 07時40分27秒 | ぬなかわヒスイ工房
ラベンダーヒスイは紫よりスミレ色のヒスイと呼びたい。
ヒスイ業界では濃くて均一な色が好まれる傾向があるが、白地に斑のコントラストがわたし好みだ。
ラブリーなヒスイだから、ぽってりとカワイイ感じの勾玉が似合う。
これほどラブリーなのに、出土品にラベンダーヒスイがないのはなぜだろう?ヒスイと認識していたのか?認識していなかったのか?
やはりヒスイは緑色であることが王道であったらしいが、ヒミコやヌナカワ姫といった女王にこの勾玉を見せて「なにこれ!はじめて見た!超カワイイ!」と言っている図を想像する。太陽光に透かして透過光の神秘に驚いたに違いない。
 
既存の価値観から脱皮するには、感覚的なカワイイが突破口!だから積極的に女友達の意見を聞く。
均一さ、緑だけがヒスイぢゃないぜ。